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『ライズ オブ ローニン』坂本龍馬役・武内駿輔さんインタビュー。「続編の要望を送ってほしい」など本作と龍馬に対する思いを語る

『ライズ オブ ローニン』坂本龍馬役・武内駿輔さんインタビュー。「続編の要望を送ってほしい」など本作と龍馬に対する思いを語る
 2024年3月22日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントより発売されたプレイステーション5用ソフト『Rise of the Ronin』。

 “幕末オープンワールドアクションRPG”というかつてない挑戦的なコンセプトはもちろん、爽快かつ奥深いアクション、魅力的な物語、快適でノンストレスなプレイフィールなどさまざまな要素が絶賛され、発売から2ヵ月以上が経つ現在でも着実にプレイヤー数を増やし続けている。

 そんな本作において、ストーリー面で最重要人物のひとりとなっているのが坂本龍馬だ。序盤に出会って以降、終盤までつねに主人公の行く道に寄り添い続け、選択によっては特別なパートナーともなりうる龍馬は、多くのプレイヤーに強い印象を残していることだろう。

 本稿では、坂本龍馬を繊細に演じきった声優・武内駿輔さんへのインタビューを掲載。武内さんにとって坂本龍馬とはどんな存在なのか? 土佐弁で演じる苦労は? 収録時の印象に残るエピソードは? など、気になる質問に答えてもらった。

 また、合わせて本作のプロデューサー兼ディレクターを務めた、コーエーテクモゲームス・Team NINJAの安田文彦氏からのコメントも掲載。武内さんの演技や、今回のインタビューを受けての感想などを語ってくれているので、最後まで漏らさずご覧いただきたい。
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武内駿輔

声優。東京都出身。代表作に『アイドルマスター シンデレラガールズ』プロデューサー役、『アナと雪の女王』オラフ役、『A3!』兵頭十座役、『怪獣8号』神楽木葵役などがある。2015年に第10回声優アワード新人男優賞を受賞。

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収録で難しかったのは、とにかく土佐弁でした


――初めて『Rise of the Ronin』の坂本龍馬というキャラクターを見てどう思われましたか?

武内
僕が見てきたフィクションの世界の坂本龍馬は、武骨というか、男臭さがすごくある人でした。自分の見た目もあまり気にしなさそうで、情熱とか志みたいなものに誇りを持っていて、そこにまわりの人を巻き込んでいく。そんな人物像を多く見てきたような気がします。

 『Rise of the Ronin』の龍馬は、“イケおじ”とでもいうのでしょうか(笑)。恰好もおしゃれですし。みなさんがイメージするいままでの龍馬像を崩さないまでも、自分自身でこの龍馬を操作してみたいとか、この龍馬といっしょに戦ってみたいとか、そう思わせる魅力を持ったキャラクターだと思いました。

 言動もそうですよね。遊び心があるというか、ほかの作品の龍馬よりもノリがちょっと軽かったり、茶目っ気があったり、母性本能をくすぐるような仕草や表情を見せます。そのあたりが愛くるしくもあって、よいキャラクターですよね。

――坂本龍馬に関して事前のイメージはどのようなものでしたか? ご自身で調べられたことや、活かされたことはありますか?

武内
歴史上の人物なので、媒体によって坂本龍馬に対する解釈が違うんですよね。いろいろと調べましたが、じつはこういう人間だったとか実際の人物について考えるよりも、『Rise of the Ronin』の龍馬をどれだけ魅力的に演じられるかに力を注ごうと思いました。

 いろいろな役者さんが演じた龍馬も拝見して、その中にも何となく共通する龍馬像――喋りのテンポ感や人情味のあるイメージは、ある程度参考にはしています。たとえば武田鉄矢さんはご自身が龍馬好きであることを公言されているので、そういう龍馬が好きな方のインタビューを見たり、龍馬について解説している人の龍馬に対する思いを読んだりもしました。そういう方々にも本タイトルの龍馬を愛していただきたかったので、龍馬のイメージにある種の統一感を持たせつつ、新しい龍馬像に仕上げられたらと思いました。

――開発スタッフからキャラクター作りの指導はありましたか?

武内
見た目はけっこうダンディですが、あまり渋くならなくていい、という指導はありました。たとえば、日本を変えていく自分の夢を語るところで、政治的なニュアンスを強くするのではなくて、発明家のようなテンション感で演じるような。みんなで会議をしているときも、「こうしたらええと思っちょるが、おまんはどうじゃ」とか、龍馬だけテンションが違うんですよね。頭の中にイメージやアイデアが先行して浮かんでいる、そういう感じを大切にしました。

 あとは女性にデレデレなところとか、呑むときはとことん呑んで「でへへ」みたいになっちゃうところとか。でも、ただのちゃらんぽらんな人間ではなくて、自身の目的を遂行するための芯が通っている。収録ではそういうところを照らし合わせながら、「いまのはぐでぐですぎますかね?」とか「ちょっと恐くなっちゃいましたね」とか、スタッフのみなさんといっしょに調整していきました。

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――収録ではどんなことが印象に残っていますか?
武内
そこはもう、とにかく土佐弁ですね(笑)。僕は東京出身なので、方言が難しかったです。いままでもいろいろな方言のキャラクターを演じてきて、富山弁や鹿児島弁なども経験しましたが、その中でも土佐弁はいちばん難しかったかもしれません。

 よく聞く「おまん」という単語も、その後ろに続く文章によって、平板になったり「おま(↑)ん」と中高になったりするんです。なので、ひとつの発音を学んでも、「いや武内さん、この場合はこういうイントネーションになるんです」と言われたりして、けっこうたいへんでした。事前に全部のセリフを監修の方に読み上げてもらって、それを聞いてからスタジオに入るんですけど、メモだけだとどうしてもうまくいきませんでしたね。

 あとは、言葉の立てどころ。細かい違いもあるので、イントネーションだけマネしても、ネイティブの方にはなかなか近付けません。そのため収録のときも、監修の方にセリフを読んでもらって、僕がそれをオウム返しで再現するみたいな形になっていました。ゲームをプレイされた中に土佐弁ネイティブという方がいれば、ぜひ感想を聞いてみたいです。

 ちなみに、土佐弁を監修してくれたのはコーエーテクモゲームスのスタッフさんで、土佐出身でこの時代についても勉強されている方でした。僕と同じ分量のセリフを読んでもらったので、そうとうたいへんな作業だったと思います。僕ひとりの作業というより、ふたりの作業という感じで、終わったときはお互いに労いあいました(笑)。

僕は知ってますよ。みなさんが龍馬と……


――印象に残っているゲーム内イベントなどありますか?

武内
僕は知ってますよ。みなさんが龍馬とどういうことをしようとしているのかを(笑)。まさかのキャラクターたちとの親密度によってロマンティックなイベントがあるということで、本編以外のところも盛り上がっていますよね。

 僕も台本を読んで「こういうイベントもあるんだ」と知っていましたが、収録する段階ではロマンス系の映像がまだでき上がっていませんでした。シチュエーションの細かい指定もなかったので、なんとなくの距離感をイメージして演じましたが、実際の映像を見たら「こんなに近い距離感だったんだ!」とか「こんな肌着みたいな姿なの!?」とか、これはドキドキしちゃいますよね。

 これまでの幕末のお話だったら、男どうしが血と汗と涙を流して、自分の志のために戦う、そんな印象が強かったと思います。でも、親密度が上がるイベントが導入されることによって、当時の人たちのリアルな心情を想像できるような奥行きが生まれたのかな、と。だからこそキャラクターに愛着がわくと思いますし、すごくよい試みだと感じました。一見するとゲームに関係のないイベントに感じるかもしれませんが、それがあることによって、ストーリーの本筋がより楽しくなります。実際にユーザーの皆さんが、そこに興味を持って喜んでくださっているのを見ると、すごくうれしいですね。

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――坂本龍馬は本作の物語の中心人物としてさまざまな人物と深い関わりを持ちますが、その中でとくに印象に残っている人物は誰ですか? 理由(どんな点が印象に残っているか、人柄やエピソード、演者さんの演技など)と合わせてお答えください。
武内
岡田以蔵はビジュアル的にも僕好みで、同じ土佐側のキャラクターとして印象に残っています。「演じてみたいほかのキャラクターは?」と聞かれたら、以蔵のセリフを言ってみたいです。

 女性キャラクターとの掛け合いも楽しかったですね。実際の収録は別録りですが、龍馬が死んでしまいそうなときの楢崎龍の伊藤(静)さんのお芝居はすごくよかったです。

 あとはなんといっても福沢諭吉! 僕はもともと、うえだ(ゆうじ)さんが好きなんですけど、福沢諭吉の声ってうえださんだったんじゃないかと思うくらいのマッチ感でした。10000円札の福沢諭吉を見ていると、うえださんの声が聞こえてきそうな(笑)。これまで何人もの方が福沢諭吉を演じてきたと思いますが、今回が僕の中でのベスト・オブ・福沢諭吉です。

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――もしも本作の続編やDLCなどでまた坂本龍馬を演じる機会が得られるとしたら、坂本龍馬のどんな部分を演じてみたいですか? 人柄面や、エピソード(土佐時代の龍馬、海援隊結成時など?)など、演じてみたいと思うところを教えてください。
武内
僕の中では、龍馬はどんどん前へ進みたい気持ちが強い人物なので、演じていてもつぎのシナリオを早く読みたくなっていたんですよね。ですので、過去の龍馬というよりは、海援隊を結成するところとか、それこそ幕末を生き抜いた先の龍馬を演じてみたいです。未来の龍馬は、よりワクワクしていると思いますし、ナウい龍馬をやってみたいですね。

――『Rise of the Ronin』のファンにメッセージをお願いします。

武内
僕はこれまで、時代物のゲームは歴史好きの人がおもに遊ぶイメージがありました。ですが『Rise of the Ronin』が発売されて、遊んだユーザーさんがたくさんコメントしているんですよね。「あのキャラクターといっしょに戦えるよ」とか、みんなでコメントしていて、いい意味で間口の広いゲームだと思いました。歴史好き以外でもいろいろな人にプレイいただきたいと思いますし、ヘビーユーザーの皆さんには、コーエーテクモゲームスさんやSIEさんに「続編はまだですか!」と要望を送ってほしいですね(笑)。

 あとはゲームの仕組みとして、幕末だけではなくて、いろいろな時代や設定でシリーズ化が望めるゲームだと思いました。それだけの作り込みをしていますし、もっともっと遊んでいただいて間口もどんどん広がって、そういう展開になったらいいなと思います。ぜひ、これからも引き続き楽しんでいただければ幸いです。

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コーエーテクモゲームス・Team NINJA 安田文彦氏からのコメント


 最後に、本作のプロデューサー兼ディレクターを務めたコーエーテクモゲームス・Team NINJAの安田文彦氏からのコメントをご紹介!

――坂本龍馬役に武内駿輔さんを選んだ理由は?

安田
『Rise of the Ronin』において、坂本龍馬はゲーム内のほかのキャラクターからはもちろん、プレイヤーの皆さんからも信用され、好感を覚えてもらえるような存在で、間違いなく最重要キャラクターのひとりです。さらに、コミカルな演出からシリアスな場面、ロマンスまでセリフ量も膨大で、どなたに声の出演をお願いするべきなのか、正直決めかねていました。

 そんな中、これまで「仁王」シリーズなどTeam NINJAタイトルでごいっしょさせていただいている音響監督の方からキャスティング検討の際に武内さんを推薦いただきました。

 お若いながらも深く、遊び心も感じさせる雰囲気の声や幅広い演技はもちろん、バラエティー番組などで活躍されている姿も拝見し、今作の龍馬を演じていただくのにピッタリだと思い、お願いさせていただきました。

――実際の収録を見たときの武内さんの印象は?

安田
武内さんの最初の収録は、主人公と龍馬が横浜の洞窟で出会う場面でした。収録が始まり、龍馬のセリフが入ってすぐに「ピッタリだね」と同席していたスタッフ皆で同意したのを覚えています。独特な特徴を持つ土佐弁には苦心されていましたが、長期間の収録のあいだに、上手すぎるいろいろなモノマネも織り交ぜながら、楽しそうに演じられていた姿はいまも強く印象に残っています。

――武内さんが回答されたインタビュー内容をご覧になって、いかがでしょうか? ご感想をお聞かせください。

安田
インタビューを拝見して、タイトルのテイストや場面ごとのトーン、ほかのキャラクターとの関係性まで、われわれ開発者の意図や狙い以上に、武内さんがイメージを膨らませ、こだわって演じてくださったのだと改めて知ることができました。

 音声収録の時点ではゲーム内の画が完成していない場面も多かったのですが、収録させていただいた音声を実装しながら開発を進めていきましたので、ゲームでは武内さんのイメージをできる限り再現できているはずだと信じています。

 また、改めて全編土佐弁で演じてくださったことには本当に感謝しています。収録の裏話にもいくつか言及されていましたが、当社の土佐弁監修の担当スタッフが実際に土佐弁でセリフを読んでアクセントをお伝えして、武内さんが演じるという流れで収録の多くを進めていったのですが、当社スタッフの演技が、武内さんの演技に引っ張られて少しずつうまくなっていくのも収録中の楽しみのひとつでした(笑)。
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