2024年7月19日~21日、日本最大級のインディーゲームの祭典“BitSummit Drift/ ビットサミット ドリフト”が、京都市勧業館みやこめっせにて開催。
同イベントにて、KADOKAWA Game Linkageがパブリッシングを担当する手掛けるアクションゲーム『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』が出展された。会場にて、開発を手掛けるSkeleton Crew Studioのディレクター、立石真基氏にお話をうかがうことができたのでその模様をお届けする。
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立石真基氏(たていし まさき)
Skeleton Crew Studio『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』ディレクター
原作者によるセリフの監修で『ニンジャスレイヤー』感はさらに満載に
――『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』の企画が立ち上げられた経緯を教えてください。
立石
企画が立ち上げられたころは、僕はまだSkeleton Crew Studioには在籍していなかったのですが、社内にたくさん『ニンジャスレイヤー』のファンがいまして、「ゲーム化したらおもしろそう」ということでトントン拍子に話が進んでいったみたいです。
――好きな方の声から始まったのですね。
立石
それで、パブリッシャーをどうしよう……というときに、KADOKAWA Game Linkageさんがインディーゲームプロデュース事業を始めるということで、いい企画を探していたところだったらしいんですね。そこで『ニンジャスレイヤー』の企画書を出したところご縁ができて……という流れになります。
その後僕がSkeleton Crew Studioに入社して、ディレクターを担当することになったのですが、プロジェクトに加わったときは、企画はほぼ白紙状態で、いちから企画を練り上げていきました。
ちなみにですが、意外なことに、それまで『ニンジャスレイヤー』は、ほとんどゲーム化されていなかったんです。一部出ているものもあるのですが、主役がニンジャスレイヤーではなかったりして、「なぜ、原作をなぞるような本格的な『ニンジャスレイヤー』のゲームがないんだろう?」というのが、企画の発端になっています。
実際のところ小説や、小説を原作にしたコミックは、ザコと戦ってボスが出てきて、派手なアクションがあって……と、極めてゲーム的で、本当にゲームになっていないのが不思議なくらいのIPだったんです。それが、まだ誰も手をつけていなかったんですね。
――何か理由があったのですか?
立石
本当にたまたまのようです。
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――それが今回ゲーム化されたということは、ファンにとってはうれしさもひときわと言えそうですね。そんな言ってみればゲーム向けのIPを、立石さんはどのようにゲーム化していったのですか?
立石
ご存じの通り、『ニンジャスレイヤー』というIPにはファンが多いです。ファンは“ヘッズ”と呼ばれているのですが、ヘッズの皆さんは、とにかく『ニンジャスレイヤー』の世界を愛しています。『ニンジャスレイヤー』というのはとにかく不思議な世界で、ストーリーが時系列で進んだり進まなかったりする。急展開もあったりして、すごく大きな事件があったのに、少し経ったら、その結末は事後にあっさりと語られてしまったりとか……。
そういった複雑なストーリーを持っているのですが、ストーリーを補完するために有志がWikiを作ったりして、それが原作サイドも公式的な位置づけにするくらいで、とにかくコアなファンの方がすごく多いIPなので、そういった熱心な層にいちばんフォーカスするゲーム性を追求することがいちばん重要だと考えました。
――コアなファンに喜んでもらうものをということですね? それでいたった結論は?
立石
ニンジャスレイヤーは最強なので、バッタバッタと敵をなぎ倒していくところの爽快感です。これがゲームとしてはいちばん重要だろうということですね。
――なるほど。
立石
ただ、 ずっと無敵状態でゲームが進むと、それはそれでおもしろくありません。ボスとのタイマンバトルになったら、爽快感というよりもじっくりと戦略を立てて戦ってもらうという、緩急が本作のキモになっていると言えると思います。
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――『ニンジャスレイヤー』はボスも個性的なので、それぞれ異なるタイプの緩急がつけやすそうですね。
立石
そうですね。先ほどお話しましたが、小説もコミックもすごくゲーム的で、最初はザコを倒して、トラップを乗り越えてボスステージのような場所でボスと戦います。これ、原作の話です(笑)。原作がほとんどゲームになっている感じです。
ですので、ユーザーさんも絶対にそれを求めているだろうというのは、ある意味でわかりやすかったです。だからこそ、そこを変に崩さないようにというのも、けっこう意識したところです。
――原作をナチュラルにゲーム化すれば、スムーズに形になると?
立石
そうですね。ユーザーさんが「『ニンジャスレイヤー』をゲーム化するとこうなるのでは?」というイメージを最大限守ることにしました。
――『ニンジャスレイヤー』をゲーム化すればこうなるというユーザーが脳内で感じているであろうことを現実のものにしたのが、『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』ということですね。
立石
それはかなり意識しました。『ニンジャスレイヤー』でパズルゲームをやっても絶対におかしいですし(笑)。絶対にアクションゲームを望まれているハズなので。僕が格闘ゲームが好きなので、格闘ゲームに……みたいなアイデアもあったのですが、最終的にはなしになりましたね。まあ、本作には格ゲーっぽさはあまり残っていないのですが、コンボの組み立てかたとか、格ゲー時の要素も取り入れている感じです。
――原作をゲームで再現するにあたって、とくにたいへんだったところとか、再現化が難しかった点はありますか?
立石
そういう意味では、先ほどもお話しましたが、ニンジャスレイヤーは基本的にめちゃくちゃ強いので、本来はザコ敵には絶対に負けないんですけど、ゲーム的にはそういうわけにもいかないので、それなりに強いザコ敵も出てきてしまいます。その登場のさせかたというのは、けっこう苦労した部分ですね。
――強すぎるがゆえの悩みですね。
立石
ザコなんて一撃で倒されて当たり前なのですが、そこはそういうシーンやステージがありつつ、緩急をつけるところでは、ちょっと強い敵が出てきて、その敵を倒しつつ、また先に進んで、そのつぎには爽快感がある。バッサバッサのあとに、バサバサとあって……という、この波ですね。
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――(笑)。あまりに無敵だとゲーム的におもしろくなさそうですものね。主人公のアクションでとくに注目してほしいポイントは?
立石
それで言うと、今回の1番の目玉になるシステムの“ニンジャダッシュ”ですね。これは、バンと素早く敵を攻撃して、さらに8方向どちらへでも移動できるというシステムです。無敵感とスピード感と爽快感を、全部併せ持つシステムです。
――ニンジャスレイヤーの強さを象徴するシステムと言えそうですね。
立石
このシステムのアイデアは企画の最初のころからありましたね。“出発点”と言っていいかもしれません。早く動くというアイデアがあって、それだけだとなんなので、そのときにボタンを押せば、近くの敵を勝手にサーチして、稲妻のような動きかたで攻撃を仕掛けるとか……そういう感じでブラッシュアップをしていきました。
原作ではニンジャスレイヤーはそんな動きはしないんですけれども。
――(笑)。
立石
してもおかしくないのですが。原作のニンジャスレイヤーの強さとスピード感をゲーム化するにあたってどうするのか……ということでたどり着いた結論ですね。で、“ニンジャダッシュ”はとにかく気持ちよすぎるので……。
――気持ちよすぎる(笑)。
立石
ずっと続けているとそれだけでステージをクリアーできてしまったり、それはそれで不自然でもあるので、きちんと制限をかけています。
――メリハリをつけたのですね。
立石
逆にあまり回数が少なくても気持ちよくないので、成長したら使える回数も増えるという感じで調整しています。気持ちのよさはそのレベルに合わせて、どうやって出すかで変わっていきます。
――そんなに気持ちがよいのですか?
立石
はい。気持ちよく仕上がりました!
――そういえば、『ニンジャスレイヤー』は最初から2Dだったのですか? それとも3Dのアイデアもあったのですか?
立石
最初から2Dでした。開発はUnreal Engineでしていて、2Dに見せている感じですね。本作は原作ファンの皆さんにも遊んでいただきたいと思っています。となると、ちょうどスーパーファミコンくらいの時代にとくに親しみのある2Dがマッチするのではないか……という発想もありました。
あと、今回のゲームのグラフィックのベースはコミック版にしようというのも、当初から決まっていたので、コミックの世界観をどうすれば再現できるのかということで判断して、いまの形に収まっていますね。
余湖裕輝さんがコミカライズしていらっしゃるのですが、とにかく絵力がすごくて、コミックを見てしまうと、コミックイコール『ニンジャスレイヤー』の原作くらいのイメージになってしまいますね。ゲームの原作は小説なのですが、コミックも大いに参考しています。そうそう! キャラの動きや容姿なんかも、けっこうコミックを参考にしています。
――キャラクターの動きですか?
立石
はい。それには理由がありまして、小説だと、それこそ1行くらいで、「切断した」くらいしか書いていなかったりするんです。その敵の倒しかたがわからない。どう切断したのかもわからない。それがマンガだと、ちゃんと絵として表現されていて、たとえばチョップで倒したということがわかるので、それに則って描く。といった感じで大いに参考にしています。
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――ボスが8人登場するとのことですが、さきほどの緩急をつけるという点において、ボス戦はひときわ思案のしどころだったと思うのですが、その点において、とくに印象深いボスっています?
立石
はい。バイクに乗っているバシリスクというボスがいまして。物語としても節目になるタイミングで登場するキャラクターなので、ひときわ印象深いです。原作では何人もいるボスから今回8人に絞ったのですが、外せないひとりですね。
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開発の事情で言うと、バイクに乗っているキャラを作るのは難易度が高いんです。やっぱり動かすのが、人型のキャラクターよりも難しいですし。いざ作り出すと、相当苦労しました。
結果としては、バイクに乗っていると早いので、そこをニンジャスレイヤーが追いかけて……みたいな感じでゲームとしての楽しさが加えられていきましたね。僕としても、初めて作ったバイクに乗るキャラだったので、思い入れが深いというか、印象に残っているキャラです。
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――原作から8人のボスをセレクトしたとのことですが、選定基準は何だったのですか? ストーリー重視だったのですか? それともゲーム性を優先してバラエティー感を持たせた感じですか?
立石
それで言うと、どちらもですね。ゲーム的な見栄えもそうですし。あと、ゲームとしてはステージがあって、そのステージを攻略して、最後にボスが登場するという構成なのですが、原作ではボスしか登場しないケースもあります。「そこはどうしよう?」ということもあるので、いろいろと判断して兼ね合いで決めた感じです。
――原作でボス戦しかない場合は選ばなかったのですね?
立石
選んでないのですが、そこは適度にアレンジしています。たとえば、バジリスクのシーンも、ほとんど道中は原作にはないんです。高速道路が舞台で、バシリスクが女の子をさらっていったのを取り返すというシーンで、道中には原作には本来登場しないザコ敵を配置したりしています。
――ゲーム版は、適宜原作者の監修を受けているかと思うのですが、印象的な要望やフィールドバックなどありましたか?
立石
ゲームシステムそのものには、そこまでとくに大きなフィードバックはなかったのですが、カットシーンですね。今回、ステージが開始されるときとボス戦が始まるときに、 カットシーンが入るのですが、そのシーンをセリフは、全部マンガのセリフをそのまま使っていたんですね。
ですが、マンガというのは絵の動きだったりとか、これまでのストーリーを読んだ上での会話だったりするので、いきなりそのセリフだけを抜き出してしまうと、少し伝わりづらい部分があったんです。
そんなときに、原作者さんが「それならちょっとこっちで書きます」とおっしゃってくださって。そうしたら、一気に変わったんですよ。見た目はまったくいっしょで、キャラの動きなども何もかわってないストーリーシーンなのですが、セリフが変わったおかげで、『ニンジャスレイヤー』感満載になって、ストーリーの軸は変わっていないのに、新作を見ている感覚になりました。あれは、本当に「すごい!」となりましたね。
――もともとのセリフを原作から持ってきているのに、より『ニンジャスレイヤー』感が強くなったのですか?
立石
はい。そうなりました。なんでしょうね、あれは。本当にすごいです。
――お話をうかがっていると、原作者の方もけっこう積極的にタイトルに関わってくれているみたいですね。
立石
そうなんです。ご意見もたくさん出してもらって、全部ではないのですが、もちろんゲームの中に反映させていただいています。
――今回のゲーム化を喜んでいるようですね。
立石
そうですね。直接お聞きしたわけではないのですが、テンション的にはそうなのではないかと思います。
――今回のゲーム化により、さらにWikiで補完される要素もありそうですね。原作者公認の。
立石
あると思います。バシリスクのステージとかも、原作とは違うことを言っているケースもあったりします。それでもしっかり整合性は取れているので、原作を知っている人も、新しい気持ちでストーリーが楽しめると思います。
――最後に、ゲームを心待ちにしているユーザーに向けてメッセージをお願いします。
立石
『ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上』は、「ニンジャスレイヤーってこう戦うよね!」という爽快感をばっちり再現できたと思っていますので、その強さをぜひ堪能してください。本当にすばらしいIPに巡り会えたと思っています。
――少し気の早い話なのですが、今後の展開などは予定しているのですか?
立石
ユーザーさんの評価次第ですね。今後、新しいことができるようになるといいなと思っています。
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