
月刊湿地帯と言えば、『ファミレスを享受せよ』でおなじみのゲームサークル。タイトル自体は2023年に発表されていたが、プレイアブルで出展されるのはこれが初めて。同作が出展されていたわくわくゲームズブースは、試遊を求める人でときに通路がふさがれてしまうほどの人気ぶりだった模様。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a962b018624493c35031ceff0863da3d1.jpg?x=767)
「そうですね。ジャンルとしてはたぶん広義のRPGになるのかなと思っています。ストーリーは、天変地異が起きて、気候がめちゃくちゃになった未来が舞台で、北海道も吹雪で人が住めなくなってしまったのですが、札幌市だけが地下に居住地を移して、そこで暮らしている人たちがいます。そんな未来の札幌市のさらに奥深くに、殺人ペンギンたちがいるんですね。未来の札幌市は“サポロシティ”と名前を変えているのですが、主人公は、殺人ペンギンたちと戦う……というのが大まかな流れです」
とのことで、『ファミレスを享受せよ』の作者らしい、なんともシュールな設定。BitSummitの試遊では、シティを走るペンギンを運ぶ列車に乗り込み、各車両で連続して戦う“列車戦”を体験することができた。疾走する電車の車両を移動していって、各車両にいるペンギンたちと戦っていくという趣向だ。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a3f27de6779065e769fdae66caa63bd0a.jpg?x=767)
主人公のバームは、“ペンギン頭”と呼ばれるペンギンを模した被り物をつけた戦士で、多彩な攻撃方法を持つ。攻撃方法はコマンド方式で、4種類の方向を選んで攻撃。スティックでコマンドを選んで、ターゲットを選択して攻撃する。
攻撃にはコストがあって、消費すると攻撃できなくなる。行動を終了すると敵のターンに移行し、自分のターンになるとコストが復活するという流れだ。
敵(殺人ペンギン)は隊列を組んで複数で登場する。それぞれ有効な攻撃があるので、見定めて倒すというのが攻略の基本となりそう。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/abb2983b458425d14967be9fd492abcb3.jpg?x=767)
主人公は強力な攻撃方法を持っており、たとえば、横一列に並んでいる敵は、より強力なクロスボウで一網打尽にすることもできる。ただし、強力な攻撃は回数制限があるようだ。また、ひとつのステージで1回だけしか使用することのできない攻撃もあるとのことで、使いどころもカギとなりそう。
さらにデモでは、大中小の敵が1列に並んでいるときを狙って、“SYZYGY”という技を駆使する攻撃をすることもできた。タイミング次第では、揃っている敵に攻撃して大ダメージを与えられるのだ。
また、“FATAL”という要素も。こちらはある一定の条件が満たされると敵の頭上に赤いマークが表示され、どんなに弱い攻撃でも倒せるというもの。
「単純に倒すだけだと手間がかなりかかりますが、こういった効果を利用することで、いかに効率よく殺人ペンギンたちを倒していくかが、キモになります」とのこと。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a9efc125ca153998f7eed6ab4ec1c1a50.jpg?x=767)
なお、今回体験できたのは、“列車戦”という1ステージ中のボス戦に相当するもので、各ステージの最後に楽しめる。1ステージでの戦闘はけっこう頻繁に起きるが、戦闘が連続するのはボス戦にあたる“列車戦”のみ。
サポロシティの地下には区ごとに謎の地下鉄が走っており、殺人ペンギンたちが送られてくる。主人公は発生源を止めるために列車に乗り込んで列車を破壊する……というのがステージごとの流れになる。ひとつのステージにはアドベンチャーパートなどもあり、探索などもしていくことになるという。
ステージごとに“列車戦”の趣向も凝らされており、敵もバラエティーに富んでいるようだ。ちなみに、サポロシティは現実の札幌市と同じく10区で構成されており、本作のステージも10なのかと思いきや、そのへんは少し調整中なのだという。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a6976cf1f30e678c2953304088996eca5.jpg?x=767)
さて、『METRO PENGUIN EUTOPIA』のデモにあたり、説明をしてくれたのは、おいし水さんと、きょむけんさん。きょむけんさんは本作のプログラムを担当しており、本作から月刊湿地帯に参加することになったのだという。そんなわけで、おいし水さんときょむけんさんにちょっとだけお話をうかがってみた。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a57e061217a28bc33737bd858c65e8c9e.jpg?x=767)
おいし水(おいしすい)
月刊湿地帯『METRO PENGUIN EUTOPIA』クリエイター(イラスト左)
きょむけん
月刊湿地帯『METRO PENGUIN EUTOPIA』クリエイター(イラスト右)
自分の中の興味のあるものをつなぎ合わせた結果できたのが、殺人ペンギンが地下鉄で暴れまくるRPG
――ユニークな設定ですね。
――頭に浮かんだそんな設定を、ゲームに落とし込んでいったのですか?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a1b8d8733f2fa01d102426ee4570bcfab.jpg?x=767)
――世界観やストーリーをゲームに落とし込んでいくにあたってこだわったポイントはどのあたりですか?
――地下鉄の車両の中で、殺人ペンギンたちを倒していくというシチュエーションも、世界観設定の要請から生まれて、戦闘システムが練り上げられていった感じですか?
なんて言うんだろう。ジャンルとしてはぜんぜん違うのですが、『ホットライン・マイアミ』みたいな、“やられる前にやれ”みたいなのが好きだなと思っていて、それと、『Darkest Dungeon』とかの、プレイヤーと敵の位置関係が大事な戦闘システムとかが好きだったので、そこを合わせて大量の敵を「やる前にやろう」といったシステムを作ろうと考えた記憶があります。質問のお答えになっていないかもしれませんが……。
――いえいえ、ストーリーや世界観を楽しんでもらいたいということと同じくらいに、本作ではゲームシステムの楽しさも味わってほしいという思いがあるということですか?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/af8b0d0e40960d6b81b856b9743f1ac3c.jpg?x=767)
それが商業の領域になると、さすがに不具合があるとよくないとの思いもあって、まず第一にクオリティーを保証するという意味合いもありますし、複雑なプログラムを組むとなると自分だけでは難しいとの思いもありまして。プログラムがしっかりできる方と組んだほうが表現の幅も広がるかなと思いもあったりしてそうしました。
――どういう関係なのですか? おふたりは。
――プログラムの技術はお持ちだったのですね。
――率直過ぎる聞きかたですが、組んでみてどうですか?
――(笑)。
――(笑)。そんなにちょくちょく仕様変更したりするのですか?
――しばらくは(笑)。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a9fc207a44d51e1cdccd89365cf08db3f.jpg?x=767)
それで、もともとペンギンのゲームを作りたかったので、それは商業で出そう、有料で販売しようみたいなことを決めて作り始めました。
――そんな決意があったのですね。とはいえ、「ペンギンのゲームを作りたい」というのを聞くと、ほのぼのと聞こえますが、実際に作ったのが殺人ペンギンの話というのは、独特な感性ですね(笑)。
地下都市である程度現実的というか、現実をもとにした舞台で、そこにいる敵ということを考えたときに、ファンタジー的なゴブリンや架空のモンスターだとなにかしっくりきませんでした。近くにいそうな虫とかドブネズミとかも、なんか違うな……と思って。
そこで自分の中で、ペンギンというのがすごいしっくりときて、ぬったりとしたイメージとか。自分の中では地下にペンギンが潜んでいるというのは、一種のリアリティーを持っているものに感じています。自分の中では、「ペンギン以外ないな」と思いました。
――本作は、おいし水さんがゲームクリエイターとして食べていくことを決意した第1作という言いかたをしてもいいのですか?
――『ファミレスを享受せよ』でファンになった方も多いかと思いますが、本作は、そんな『ファミレスを享受せよ』ファンに向けてのものなのですか? それとも『ファミレスを享受せよ』とはまた違った方向性のタイトルなのですか?
――ちなみに、『ファミレスを享受せよ』がファンに受け入れられたのはうれしかったり?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/a3303111d78e9ff6f9037c0fbfb0170fa.jpg?x=767)
――自分が作った世界をみんなに楽しんでほしいとかいうのは、あまりない?
大柳(※) おいし水さんは作家魂を持っている方なんです。ふつうの作家さんって1本作ったら売れたにせよそうでななかったにせよ、つぎの作品に取り掛かるまでに少し休憩期間をおいたりするのですが、おいし水さんは『ファミレスを享受せよ』である程度知名度が出てきているし、セールス的にもきっちりと結果を出しているにも関わらず、もうつぎの作品を作りたいんです。
いま『METRO PENGUIN EUTOPIA』を作っていますが、じつは次回作の構想などもあるようです。作家として、つねに創作衝動に駆られ続けているようなところがありますね。
うまく言えないのですが、とにかく続けることに価値があると思っています。
――食うために作り続けようという。それはわかるような気がします。どこかのゲームメーカーに所属して作ろうという発想はない?
――パワフルですね……。もしかして作りたいアイデアがしこたまあって、取り組みたくてうずうずしているとか?
大柳 おいし水さん的な視点からすると、自分を通して外の世界を見ると、いろいろとネタが転がっているから、それを拾っていけばいいのでは?という感覚のような考えなのではないでしょうか。
――『METRO PENGUIN EUTOPIA』も、おいし水さんが筒を通して見た世界を、僕らが体験するゲームになる?
――自分が筒という発想はおもしろいですね。
――その音に合わせて、僕たちは楽しく踊るのかしら……。
大柳 『METRO PENGUIN EUTOPIA』は、たぶんおいし水さんが頭の中でいろいろと想像してきた産物だと思うのですが、“サポロシティ”とか、地下街とか。そういった外のネタをいろいろと組み合わせたタイトルなのかしら。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/ad22be999129ae56ab1eab3f5b51e33c3.jpg?x=767)
大柳 そしてプログラムを助けてくれるメンバーが加わったことで、月刊湿地帯はさらにパワーアップしていくと。
――もしかして、月刊ペースになるかもしれないと。ちなみに、なぜ月刊なのですか?
――最後に、本作を楽しみにしているファンの皆様にひと言ずつメッセージをお願いします!
大柳 きょむけんさんがいるから、おいし水さんの作品がプレイヤーの皆さんのもとに届けられるのは間違いないです。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12106/ac8fe5d9af38563da3b169e876f83872e.jpg?x=767)