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『ロマサガRS』インタビュー。新章クラウド・レルム編は2026年までを見据えた長期シナリオに。5人のメインキャラクターが活躍する群像劇が、やがて大きなシナリオにつながる

『ロマサガRS』インタビュー。新章クラウド・レルム編は2026年までを見据えた長期シナリオに。5人のメインキャラクターが活躍する群像劇が、やがて大きなシナリオにつながる
 スクウェア・エニックスとアカツキゲームスが手掛けるスマートフォン向けRPG『ロマンシング サガ リ・ユニバース』(以下、『ロマサガRS』)。メインストーリー第3部にあたるシィレイ編が2023年末に完結した後、メインストーリーに動きがない状態が続いていたが、ついに2024年9月2日に、新章である“クラウド・レルム編”がスタートした。

 2024年1月に実施したインタビューでは、「第4部は世界観がガラリと変わる」とほのめかされていたが、その宣言の通り、クラウド・レルム編では、これまでとは異なる世界が舞台に。リラ、ターミン、アドラー、A.J.、アイスという5人の新キャラクターが登場し、彼らを中心に物語が展開する。また、ストーリーの舞台の変化に合わせて、ホーム画面やガチャの演出、ナビキャラクターなども一新された。
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 クラウド・レルム編のシナリオライターは、過去に『エンペラーズ サガ』などに参加にしていた青春脚本氏が担当。メインキャラクターデザインは、『ロマサガRS』ではシィレイ編のリアム、アーニャや五神獣のデザインを担当していた高橋紗梨氏が手掛ける。新たなメンバーを加えて挑むクラウド・レルム編の見どころは? 開発チームに詳しくうかがった。

市川雅統氏(スクウェア・エニックス)いちかわまさのり

『ロマンシング サガ リ・ユニバース』プロデューサー

石原 光氏(アカツキゲームス)いしはらひかる

『ロマンシング サガ リ・ユニバース』開発スタッフ

佐々木ジョシュア氏(アカツキゲームス)ささきじょしゅあ

『ロマンシング サガ リ・ユニバース』開発スタッフ プロジェクトリーダー

青春脚本氏(青春脚本)せいしゅんきゃくほん

『ロマンシング サガ リ・ユニバース』クラウド・レルム編 シナリオライター

高橋紗梨氏(スクウェア・エニックス)たかはしさり

『ロマンシング サガ リ・ユニバース』クラウド・レルム編メインキャラクターデザイン担当 ※高橋氏の“高”の字は、正しくははしごだかです。

新章“クラウド・レルム編”は学園が舞台の群像劇!

――前回のインタビューから約半年、『ロマサガRS』の運営と並行しながらも、この間は舞台や『サガ エメラルド ビヨンド』(以下、『サガエメ』)の発売がありました。市川さんはとくにお忙しかったのではないでしょうか。

市川
 舞台については、僕よりも、とちぼりさん(とちぼり木氏。スクウェア・エニックスのシナリオライター。『ロマサガRS』ポルカ編シナリオや、舞台のシナリオをメインで手掛ける)のほうが忙しかったように思います。僕は『サガエメ』の発売までがたいへんで、いまはひと段落ついて、ようやくしっかりお昼ご飯を食べる時間を作れるようになりました(笑)。

 舞台と
『サガエメ』以外にも、佐賀県コラボや『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』を発表したりと、『サガ』全体でいろいろとお届けできた半年間だったのかなと感じています。

佐々木
『ロマサガRS』ではそのころ、ちょうどクラウド・レルム編を仕込んでいる段階でしたね。2023年の10月ごろから動き出していました。

市川
『ロマサガRS』プレイヤーの皆さんからしてみると、「舞台や『サガエメ』のことばかりやっている!」という印象があったかもしれませんが、裏では新シナリオを並行して準備していました。通常の運営を続けていく中で、同時に大型コンテンツの開発をしていくのはなかなか難しく、プレイヤー目線で見るとやきもきしてしまう時間がどうしても長くなってしまうのは、本当に申し訳ないと思っています。

――『サガエメ』発売記念イベントなどを提供しながら、クラウド・レルム編の新しい世界やキャラクターたちを準備していた期間だったわけですね。

市川
『ロマサガRS』はシリーズキャラクターが一同に集結する、オールスター系のゲームではありますが、大きなアップデートがあるたびに新しいオリジナルキャラクターを立てて、世界観を構築してお届けしています。その土台となる部分を、しっかりと作り上げることに注力していました。

――シィレイ編までは、『ロマンシング サガ3』から地続きの世界が舞台になっていたと思います。クラウド・レルム編の物語の序盤を見ると、これまでとは異なる、新たな“クラウド・レルム”の世界が生まれていたように思えました。新しい世界にすることは、企画当初から決めていたことなのでしょうか?

佐々木
 最初は『ロマンシング サガ3』から、さらに続く世界というものも考えていました。さらに、『ロマンシング サガ2』から続く世界を舞台にするという案もありました。そのふたつの案がありつつ、いろいろと議論していくうちに、さらに内容が発展していきまして。いままでは、“異界の戦士たちが塔に集う”という設定でしたが、「各タイトルのキャラクターや場所がすべてつながっているような、まったく新しい世界を作るのはどうか?」といった話になりました。

 既存の世界観にするのか、オリジナルでいくのか。いろいろと議論を重ねた結果、まったく新しい世界観の、現在の“クラウド・レルム”が生まれたんです。

――前回のインタビューでは、「メインシナリオもイベントシナリオも内包できる世界観にしたい」と言っていましたよね。

佐々木
 たとえば、過去作のワンシーンをテーマにしたイベントがあったとして、そのタイトルの世界を舞台にしてお話を展開するのではなく、クラウド・レルムの世界観の中で物語が展開していく形になっています。青春脚本さんに無茶なお願いをして、こういった世界を構築していただきました。

――青春脚本さんが、今回シナリオに参画されることになった経緯を教えてください。

市川
 新しい世界を作るための議論を重ねていくうちに「(これまでに参加していない)いろいろな人と世界を作っていったほうが、いいものができるのではないか」という話になりまして。青春脚本さんには以前にも、『エンペラーズ サガ』の第三部・第四部でシナリオをお願いしたことがありました。

 その際も、
『サガ』チームと青春脚本さんが議論しながらシナリオを作っていたのを見ていましたし、今回チーム内からも「青春脚本さんに書いてもらうのはどうか」という提案がありましたので、今回お願いすることにしました。我々としては、「つい先日『エンペラーズ サガ』でお願いしたばかりですが……」みたいな感じで連絡したのですが、よくよく考えると、10年ぶりぐらいの連絡だったんですよね(笑)。

青春脚本
 ひさしぶりに連絡をいただいたと思ったら、まさかの『ロマサガRS』のシナリオの件だったので、驚きました(笑)。さらに、“世界観を根本から変えたい”みたいなコンセプトだったので、それにもびっくりしつつ、かなりプレッシャーも感じました。

 また、お話をいただいた時点で、正直あまり時間がありませんでした。世界観はゲームのいろいろな部分に影響してくるので、シナリオの土台となる部分を早急に作らないといけなくて。たいへんでしたが、楽しく作らせていただきました。

――新しい世界観を作るのは相当な大仕事だと思いますが、どのように作り上げていったのでしょうか。

青春脚本
 僕がベースを考えてはいますが、シナリオチーム、佐々木さんたちと相談しながら作っていったので、ひとりで作っていた感覚ではなかったです。チームで取り組むことができたおかげで作れたと思います。

佐々木
 クラウド・レルムという世界を作ることが決まった段階で、「そこまで世界が変わるのであれば、ホーム画面やガチャ演出も変えるべきだ」と考えました。ですので、最初から「ホーム画面を変えるために世界を変えよう」としたのではなく、世界観が変わることが最初に決まって、それであれば「あそこも変えよう」、「ここも変えよう」と話がどんどん発展していきました。

 最初は自分たちも「リアム編のときくらいの変化で収まるのかな」と想像していましたが、思った以上にあらゆる部分が変化することになりましたので、そこもぜひ注目してください。

――今回のクラウド・レルム編のメインキャラクターデザインは、これまでメインキャラクターを描いていた倉持諭さんに代わり、高橋さんが担当されたそうですね。

市川
 もともと高橋さんはリアム編で登場した“五神獣”のデザインに参加していましたし、『サガエメ』でもシウグナスなどのデザインをしています。これまでも『ロマサガRS』には参加していたのですが、今回はメインキャラクターデザインをすべてお任せすることにしました。
 
 とはいえ、世界観が変わるからキャラクターデザインも変えようと思ってお願いしたわけではありません。もともと、つぎにメインキャラクターをデザインする際は、倉持さんには引き続き世界観デザインを担当してもらいつつ、キャラクターは高橋さんにお願いすると決めていたんです。

佐々木
 五神獣のころから「高橋さんにもキャラクターデザインをやってもらいたい!」といった話はありましたし、倉持さんからも、クラウド・レルム編を作り始める前から「つぎは高橋さんに任せたい」というお話をいただいていました。

――高橋さんは、以前、成長したポルカやリズの衣装も担当されていましたよね?

高橋
 はい。ポルカ編2章のポルカやリズの衣装ですとか、シィレイ編のリアムやアーニャなども描かせていただきました。『サガエメ』ではシウグナスのほか、クグツや賢き魔女たち、あとはフルド族(モグラたち)・ブラー(短命種)などもデザインしました。

市川
 高橋さんは、倉持さんとはまた異なるタッチで、『サガ』らしい多彩なジャンルのデザインが得意です。クラウド・レルム編のキャラクターたちは多種多彩な設定になっているので、お願いしてよかったと思っています。

――多種多彩なキャラクターが登場するということで……クラウド・レルム編第1話のシナリオを拝見しましたが、今回の舞台は学園なのでしょうか?

市川
『ロマサガ学園記』とは違う、学園をモチーフにした世界です。とはいえ、ジャンルが“学園もの”であるいうよりは、あくまで、おもに登場する舞台が学園になっているという形です。

佐々木
 先ほど、『ロマンシング サガ2』の地続きの世界も考えていた、とお話ししましたが、学園になった理由はそれが発端です。アバロン帝国大学を中心にするという案があったので、そこから膨らませていきました。

青春脚本
 学園の中で、『サガ』シリーズのキャラクターが生徒や講師として登場します。第0話でチュウタツが登場するのは、アバロン帝国大学を中心とする話の流れを汲んでいるからです。

――そしてクラウド・レルム編では、メインキャラクターが5人登場するんですよね。この5人は、誰かひとりがメインというわけではなく、全員が主人公格という感じなのでしょうか?

青春脚本
 そうです。学園が舞台に決まったときに、群像劇のようなシナリオを描きたいと考えました。全員が主人公なので、エピソードごとに中心となる人物が変わり、それらのエピソードはショートストーリーのような形で完結していくようにしています。

――クラウド・レルムには、『ロマサガ2』の世界から来たチュウタツのように、さまざまな世界の人々が集まっているようです。つまり、メインの5人も、それぞれ別の世界の出身ということでしょうか?

青春脚本
 そこについては申し訳ないのですが、まだ詳しくは語れません。シナリオを楽しみにしていただければと思います。
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個性的な5人のキャラクターデザイン

――5人の出自はまだ秘密ということですが、もちろんしっかりとした設定があって、そこからキャラクターがデザインされていったのですよね。

青春脚本
 設定はもちろんあります。外見に関していうと、同じ大学に通っているということで、「ある程度統一された何かが欲しい」とお伝えしました。それ以外は、キャラクターのイメージをアバウトに伝えたくらいです。そこから高橋さんが素敵なデザインをしてくれました。

高橋
 5人の設定を読ませていただいたときに、ひとりひとりのバックボーンや内面について、すごく魅力的だと感じました。5人の個性を尊重しつつ、共通の要素として、学園のガウンを着用するデザインにしました。今後、物語で5人がどう絡んでいくのかが、個人的にもとても楽しみです。まだ明かせないことも多いですが、デザインの細かい部分でも、何かを感じ取っていただけるとうれしいです。

市川
 ガウンの着くずしかたは、それぞれのキャラクター性がうまく表されていて、注目のポイントです。

佐々木
 やはりゲームですので、全員が同じ見た目になってしまうと、画面内で見分けにくいです。“ガウンを着用させる”というテーマはありながらも、見た目はバラバラにしてほしいとお願いしていました。

 ところで、この記事を読むころにはお気づきになっている人もいるかと思いますが、ゲーム内のとある場所で、ターミンの意外な一面が見られることがあります。それについても今後の物語で語られていく部分ですので、ぜひ楽しみにお待ちください。ただ、ターミンの謎についてはだいぶ後に明かされると思います。

――メインとなる5人は、誰からデザインを始めたのでしょうか?

高橋
 最初はリラでした。チームの皆さんと初めて顔合わせをしたときに、リラのデザインを持参して見ていただきました。そこから、ほかの4人を順次進めていきました。

 リラは設定の時点で“健康優良児”といったワードがあり、これは彼女の外見のポイントとして表現するべきだと感じました。まずは「金髪にしたいな」といったところからデザインしていきました。
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――そこから、リラがあのような姿になっていったと。

青春脚本
 狙いはいわゆる“昭和のヤンキー”だったのですが、そう書いてしまうと、デザインを決めつけているようになってしまいそうだったので、あえてふんわりとした設定をお伝えしました。それを高橋さんが汲み取ってくださって、スケバン的なデザインにしていただきました。

高橋
 私はもともと『サガ』シリーズのアートの大ファンです。小林智美さんのキャラクターアートを拝見する際、パンクファッションやロックバンド等のファッションのニュアンスを、素敵にアレンジされているなと感じていました。それがとてもカッコよくて、そのイメージがリラのヘアスタイルと親和性があると考えました。リラ自身が自分で「カッコイイ」と思ってしているであろう髪型をイメージして、いまの形になりました。

青春脚本
 デザインから刺激を受けた部分もたくさんあって、「こういったデザインだったら、こういう設定も入れられるな」とシナリオに盛り込んだりしています。すごく助かりました。

高橋
 ちなみに今回のキャラクターデザインでは、小林さんだけではなく、倉持さんのデザインのニュアンスも汲み取って反映させています。

市川
 高橋さんはデザインにおける設定もものすごく考えていて。たとえばリラは、持っている棍棒にステッカーがたくさん貼ってあるんですけど、ステッカーが人の名前になっているのは高橋さんが決めたことです。

高橋
 リラは自分なりのオシャレを楽しんでいるところがありますし、“仲間想い”といった設定もいただいていました。そこから、きっと「自分の持ち物にも愛着を持っている人なんだろうな」と想像して、相棒である棍棒にも愛着を持っているだろう、とふくらませました。どこかで購入したアイテムを使っているのではなく、自分のものとして作り込んでいるなと想像したんですね。

 いろいろとアイデアを模索する中で、最近、成人式で自分の名前の入った“のぼり旗”を作るのが流行らしいと聞きまして。また、倉持さんとも相談する中で「デコった原付バイクに乗ってそう」みたいなアイデアも出てきました。そんなとき、ふと「昔は名前シールってものがあったなあ」なんてことも思い出したりして。

 それらをミックスして考えたときに、「リラのお友だちの名前シールがたくさんデコられている棍棒を持っていたら、仲間のために棍棒を振るう女の子として描けるのではないか」と思い、こういったデザインにしました。

 ちなみに、設定には“リラの得意技はぶりっ子”と書かれていたので、内面のかわいらしさも出していきたいなと思い、棍棒や衣装にハートマークを取り入れています。

佐々木
 ちなみに最初、偶然ですけれども“光”と書かれた名前シールもあって、そこは変えましょうと提案しました(笑)。

石原
 ああ、僕の名前が“光”だから。知らなかった(笑)。それは本当にありがとう! 開発者権限でデザインに入れさせた、と勘違いされるのはイヤなので(笑)。

――(笑)。ゲームシステム面から見ると、各キャラクターが使う武器をどうするかも重要かと思います。リラの棍棒など、各武器の設定はアカツキさんが決めたのでしょうか?

佐々木
 5人いますから、5種の武器でいきたいといった話はしていました。ただ、どの武器をどのキャラクターに使わせるのかは、青春脚本さんに決めていただきました。

青春脚本
 リラに関しては「絶対に棍棒だ!」と思っていましたね。こちらから提案したものもあれば、逆に、皆さんから提案を受けて持っている武器を変えた部分もあります。

佐々木
 術の属性をどうするかも、僕と青春脚本さんで相談しながら、ゲーム内における需要も加味して決めています。

――武器は、リラが棍棒、ターミンが斧、アドラーが大剣、アイスが弓、A.J.が体術ですね。

市川
 そういえば設定では、キャラクターのカラーも指示されていましたよね。日常生活ではあまり聞かない色が割り当てられていて、驚きました。

――具体的に、どのような色だったのでしょうか?

青春脚本
 単純に“赤色”、“青色”みたいな方向性にはしたくなくて、たとえば黒色ではなく“濡羽色”ですとか、アイスのカラーには“翡翠色”を指定したりしていました。

佐々木
 色に関して言うと、アドラーだけは最初は具体的なイメージがなく、変遷がすごかったですね。

青春脚本
 アドラーはそもそも、色の指定から曖昧にしていましたし、どの色がいいのか相談しながら決めていきました。議論が続く中で、高橋さんが「とりあえず描いてみましょう」と描いてみたところ「あ、これがいいね」と落ち着いたんですよね。

佐々木
 キャラクターの設定的に、イメージが固まりにくかったんですよね。アドラーの背景自体は固まっていましたが、そこからイメージできるキャラクター像がスタッフによって違っていて。折り合いが付かない中、高橋さんがバチッとハマるデザインを描いてくださって、「あ、これがアドラーだ!」となりました。
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高橋
 アドラーの設定はまだ語れませんが、読んだときにとてもグッとくるものがありました。リラのように、“スケバン”といった記号として理解しやすいポイントがなくても、5人が並んだとき、またアドラー単体で見たときにも、彼ならではの魅力で愛していただけるように考え、自然とこの姿になりました。かなり思い入れのあるキャラクターです。

市川
 イラストからも“成長”を感じられるキャラクターだと思います。たとえば立ち絵を見ると、背中にある剣を、握ろうとしている直前で止まっていますよね。その曖昧さみたいなものを倉持さんが感じ取って、倉持さんが描かれたメインビジュアルでも剣を握っていないんです。

――では、リラとアドラー以外のキャラクターたちのデザインについてもお聞かせください。A.J.のデザインコンセプトはどのようなものでしょうか?

高橋
 設定からA.J.はカッコよくて、姿形がすぐに思い浮かびました。体術を使うキャラクターですが、スタイリッシュなイメージがあって、無骨な格闘家のような雰囲気ではありませんでした。

 今回の5人は、耽美な雰囲気のキャラクターがいる一方で、愛嬌のあるキャラクターが登場したりする……そういった、
『サガ』のアートの大きな柱となる部分は踏襲しつつも、 新しいキャラクターとしての目新しさも大事にしています。そこで、『サガ』らしさをどう混ぜつつデザインするかを模索したときに、『サガ』シリーズが昔からたどってきたデザインのニュアンスや、逆にいまのものなど、いろいろなものを取り入れてデザインすることをテーマのひとつにしました。

 A.J.には某特撮ヒーローのエッセンスが入っているのですが、このデザインも、そういったテーマから生まれたものです。もちろん、そのまま取り入れるのではなく、そこから
『サガ』らしさを抽出しています。
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――ターミンのデザインも、同じテーマを意識したものですか?

高橋
 ターミンは、青春脚本さんの中で姿形のイメージが固まっていそうな設定でしたので、それを素直に表現しつつ、ターミンならではの魅力をわかりやすく感じられるようにデザインしています。“何かのエッセンスを取り入れる”ことは、ターミンに関してはあまり意識していないですね。

 ターミンは本が大好きだという設定があって、背中にお気に入りの本を背負っています。また、クラウド・レルムの世界は雲の上にあります。雲の上にいる人たちは、雲の上では体験できないようなことを、本の中で描かれている物語から空想したりして楽しんでいると思うんです。

 それと、本をきっかけに、天空に住むケツァルコアトルのような存在を知って、憧れを持っているだろうと想像したんです。そこから、“ターミンは自作した蛇神のぬいぐるみを持っていて、友だちとして扱っている”という設定にしました。
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石原
 それをみんな聞いて、満場一致で「それでいきましょう!」ってなりましたよね(笑)。

佐々木
 ちなみに、ターミンが持つ本はガチャ画面でも出てきますし、詳しくは語れませんが重要な役割を持っています。そのため、かなり凝ったデザインにしていただきました。

高橋
 クラウド・レルムの本なので、雲の合間に星々が輝いて見えるような表紙のデザインにしたり、クラウド・レルムで使われる文字も新しくデザインしたりしています。

――では、最後のひとり、アイスのデザインについても教えてください。

高橋
 アイスは深くは語れないのですが、5人の中でいちばんの年長者で、デザインの指定は“イケメンである”ことでした(笑)。ただ、全身整ったイケメンではなく、アイス自身がどういった心情を持っていて、いまの風貌になっているのか、を意識してデザインしました。もしかしたら、背景にあるものを知ったときに、プレイヤーの皆さんがいちばんビックリされるキャラクターかもしれません。
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――アイスの秘密が物語内で描かれるのが楽しみです。このメインキャラクター5人は、9月2日のメンテナンス終了後に配布されるんですよね。

石原
 はい、5人のSSスタイルを配布予定です。
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今後のアップデートについて

――クラウド・レルム編のメインビジュアルには、新キャラクター5人以外にも、多数の『サガ』キャラクターが描かれています。彼らも物語に絡んでいくのでしょうか?
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青春脚本
 いつ登場するのかは未定ではありますが、彼らが登場してもおかしくない世界観になっています。毎回いろいろなキャラクターが登場し、物語が展開していくでしょう。

佐々木
 とはいえ、メインビジュアルに描かれているキャラクターや、特定のシリーズ作品のキャラクターを特別にフィーチャーするわけではなく、「あらゆるキャラクターが登場するものだ」と考えていただければと思います。

 ちなみに、今回のメインビジュアルについては、僕からのオーダーで、
『ロマサガRS』の最初のメインビジュアルに、意図的に似せた構図にしていただきました。世界は変わりますが、原点に立ち帰るといいますか。

――クラウド・レルム編を展開していく期間についてもうかがいます。シィレイ編は短めのストーリーでしたが、クラウド・レルム編はどのくらいのスパンで描いていくのでしょうか。

佐々木
 具体的な予定はまだお伝えできませんが、少なくとも2026年までは見据えた大型のシナリオになっていますので、かなり長めに楽しんでいただけると思います。更新頻度は、状況によって変わっていくと思うので確約はできませんが、ひと月~ふた月に1回程度は更新したいと思っています。

――また、イベントをプレイする際のモードの仕様が変わるそうですが、どのような形になるのでしょうか?

佐々木
 完全に新しいモードを用意するというわけではなく、ポルカ編やリアム編の際のイベントの遊びかたに近いモードになります。

 ちなみにクラウド・レルム編のシナリオに関しては、期間限定のイベントとして遊ぶものになります。イベント期間が終了しても、物語はアーカイブ化して読めるようにします。

市川
 この1年ほど展開してきたフリークエストモードに関しては、アンケートでは半々くらいの賛否があります。「もう少し違う展開が見たい」といった声もありますし、そのままの形で楽しんでくださっている方も多いです。今後は、フリークエストモードは不定期開催にしつつ、制圧戦のように、“やりたい人は参加して楽しめる”形にできればと思います。

――ほかにアップデートを予定していることについても教えてください。

石原
 今後、遊び心地に変化を付けたいと思っています。たとえば、バックグラウンド周回が可能な“記憶再戦”は、とても好評をいただきました。ただ、ゲームに接する時間を減らすことになっていることも事実で、それによって、キャラクターたちの活躍を楽しめる時間が減ってしまったと感じていらっしゃる方もいると思います。

 いろいろな人のプレイスタイルや時間の使いかたに合わせるのは難しいですが、キャラクターたちと触れ合える機会を、今後もっと入れていこうと考えています。

佐々木
 「もっとゲームに触れる時間を増やしたい」といった意見をアンケートで多くいただいているので、10月に実装予定の新コンテンツは、記憶再戦をする一方で、プレイヤーがゲームに触れてバトルを楽しむようなコンテンツになる予定です。また、12月の6周年には、また別の新コンテンツが登場予定です。さらに、2025年のアップデートも準備していますので、ぜひご期待ください。

――気づけば、もう6周年が見えてきましたね。

市川
 この6年だけでも、ゲーム業界の変化、我々のチーム自体の成長や体制の変更など、とても多くの変化がありました。もともと『ロマサガRS』は、動きが大人しくなっていた『サガ』シリーズを再び盛り上げるためのタイトルのひとつでした。事実、この6年のあいだで、多くのリマスターやリメイク、新作を世に出せたと感じています。それもすべて『ロマサガRS』が、『サガ』らしくチャレンジングなことをし続けて、それにファンの皆さんがついてきてくださったおかげだと思います。

佐々木
 ゲームがずっと同じだと飽きられてしまうので、運営をする中で、ずっと“変化”を狙い続けてきました。「これはよかったね」と思えるものもあれば、仕掛けてみたけれどもうまくいかなかった部分もあります。そこもプレイヤーの皆さんと対話しながら調整していますので、今後もしっかりと対話しながら作り続けていきたいです。

市川
『サガ』チームは「もっともっとチャレンジしなくてはならない!」みたいな意識がすごいんですよ(笑)。

佐々木
 先ほどのフリークエストモードのお話に紐づきますが、賛否半々ということは、半分は楽しんでくださっているプレイヤーがいるわけで、不定期にすることで「もっと遊びたかったのに!」といった声のほうが増えるかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。支持されればまた頻度を増やしたいですし、そういった調整をしていくことも、またチャレンジのひとつです。

 それもすべてプレイヤーの皆さんの声があるから、実行できていることだと思います。これからもどしどし意見をいただければと思います。

石原
 逆に、プレイヤーの意見を取り入れようとしすぎて「あまりプレイヤーの意見を鵜呑みにするな」とプレイヤー側から言われてしまうこともありまして……。4.5周年のインタビューの際に、「プレイヤーの皆さんに損をさせたくない」というお話をしましたが、それを受けて、「損がどうとかではなくて、お前たちがおもしろいと思うゲームを作れ!」と、アツく心に響く意見をいただいたこともありました。ですので、揺るがない信念を持って取り組むところは取り組みつつ、皆さんが不満に思うところは引き続き改善していきたいです。

佐々木
 それと、高難度コンテンツなどの攻略スピードが、我々の想定を遥かに超えていますので、「それに応えなくては」と意気込んでしまいがちですが、バトルコンテンツが全体的に高難度すぎるというプレイヤーさんの声があることも把握しています。難しいコンテンツばかりになるのではなく、ライトなコンテンツも楽しめるように改善していきます。

市川
 いまなお課題は盛りだくさんです。チャレンジする部分と、いただいた声にお応えしていくこと、どちらも取り組んでいければと思います。

――そのチャレンジのひとつがクラウド・レルム編になると思いますが、青春脚本さんと高橋さんから、いよいよ始まるクラウド・レルム編の見どころについて、ひと言いただけますでしょうか。

青春脚本
 クラウド・レルム編は、本編やサブイベント、さらには季節イベントなどもすべてシナリオに内包できる世界観になりました。1本の大きなシナリオがあるというよりは、いろいろな短編を展開する中で見えてくるものが、じつはつながっていて、大きなシナリオになるという描きかたをしています。進んでいないように見えて、じつは話が進んでいることもあると思うので、ぜひ1話1話を見逃さないようにしてください。

高橋
 5人のメインキャラクターたちが、新しく『ロマサガRS』の住人として皆さんに愛していただければ、うれしい限りです。青春脚本さんの描くキャラクターたちの内面が、『サガ』シリーズの新しい物語と影響し合って、じわじわと魅力が伝わっていくのではないかなと想像しています。長い物語になりますが、ぜひご覧になってください。

――最後に、『サガ』シリーズ全体に関する、今後の展望をお聞かせください。

市川
 まず、リメイクタイトルである『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』が、2024年10月24日に発売予定です。また、過去作を現環境で遊べるようにするため、リマスター作品を多数出してきましたが、よりグローバルで楽しめるように、先日『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』のフランス語版などを展開しました。

 今後の課題は、“その先に何があるのか”です。
『サガ』シリーズがこれからどうなっていくのか、河津さん(河津秋敏氏。『サガ』シリーズ総合ディレクター)とよく話をしています。いまはまだお伝えできないのですが、まずは2024年12月に迎える35周年の記念日がひとつの区切りになりますので、今後の情報にもご期待ください。
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