バンダイナムコエンターテインメントより発売中の『鉄拳8』。2024年10月1日に実施される大型アップデートをいち早く体験できるメディア体験会が実施され、追加キャラクターの“三島平八”や、さまざまな追加要素に触れることができた(三島平八はアーリーアクセスが10月1日、一般アクセスが10月4日に開始される)。
本記事では、体験会内で実施された、開発陣へのメディア合同インタビューの模様をお届けしよう。
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池田 浩平氏(イケダ コウヘイ)
開発プロデューサー兼ゲームディレクター。プレイヤー時代の“ナカツ”の名前でも知られる。(文中は池田)
安田 直矢氏(ヤスダ ナオヤ)
マーケティングプロデューサー。eスポーツ事業に関わる際には“安田イースポーツ”と名乗ることも。(文中は安田)
見たことのない平八を届けるために
――新たなストーリーモードは、メインストーリーの裏側を描くことを最初から決めていたのでしょうか。
池田
基本はメインストーリーの裏で、エディやリディアが何をしていたのかを描いています。そして平八が、“鉄拳僧”たちとどのように絡んでいくのか。そこを補間しつつ、キャラクターと物語のつながりを感じられることを軸に、新たに考えて追加したものです。
メインのストーリーとは異なり、基本的には変則的なバトルは少なく、本来の『鉄拳8』に近いバトルが楽しめます。
――『鉄拳8』における、平八のデザインコンセプトを教えてください。
池田
見た目としては、いままでの平八らしく黒い道着を着た、平八らしい平八かと思います。本作では道着の中に“鉄拳僧”の要素などが感じられるように、さまざまな要素を盛り込んで新たにデザインしています。
――『鉄拳7』で死亡したはずの平八でしたが、『鉄拳8』を開発するにあたり、登場させることは初期から決まっていたのでしょうか?
池田
登場させることはかなり前から決まっていたことですが、前作の物語ではカズヤと平八の親子喧嘩の決戦を描いています。カズヤが平八にトドメを刺し、溶岩の中に落として倒しているわけですが、そこではカズヤの勝利を皆さんに見ていただき、平八の死を感じ取ってもらいたくて、描いたシーンです。
そういったシーンを描いたからこそ、復活させることはかなりの議論や検討を重ねました。『鉄拳』シリーズが30周年を迎えること。『鉄拳8』を発売したあと、ファンの皆さんから「それでも平八が使いたい」といった声も多くいただきましたし、「平八がいない『鉄拳』は寂しい」といった意見もありました。
そういった声に応えつつも、復活させるにはそれ相応の準備が必要です。そのために、復活するためのストーリーをしっかり用意し、納得してもらえるように“鉄拳王の帰還”を描きました。それをこなすために、相当の覚悟を持って復活させることを決めました。
――物語の中では"きれいな平八"の状態だけ今回体験できましたが、その状態をデフォルトの平八にしなかった理由はありますか?
池田
平八はシリーズを通して、悪逆非道なことをくり広げてきた、悪役のイメージが強いです。ストーリーでは“皆さんの見たことがない平八”を描いていますが、格闘ゲーム部分においては見たことのある平八にすることを意識しました。
なぜ平八がそんな状態になり、そこから悪役らしい平八に戻ったのか。そこを楽しんでもらいたいこともあり、“綺麗な平八”を登場させました。そのあたりは、ぜひ追加ストーリーモードを遊んで確かめてほしいです。
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――“見たことがない平八”を描くうえで、意識したことはありますか?
池田
物語を読み進めていく中で、もとの平八にどう戻っていくのか、想像しながら遊んでもらえるように意識していました。また、“見たことがない平八”を描くうえで、新たな一面を見た驚きやワクワクを楽しんでもらえるように作っています。表情やしゃべりかたにも注目して、遊んでみてください。
――平八は比較的扱いやすいキャラクターでしたが、今回新たな“構え”などの要素が加わり、遊びの違う部分もあります。どのような狙いがあったのでしょうか。
池田
麗奈の存在がありつつ、新しい平八をバトルでも表現したい想いがありました。平八といえば“風神、雷神”イメージがあると思いますし、三島家を代表するキャラクターでもあります。新しいプレイヤーの人にも、平八の魅力を知ってもらいたくて、“風神ステップ”を使わなくても平八の代表的な技を使えるようにしています。
また、往年のプレイヤーにとっても、構えから『鉄拳8』ならではの立ち回りができます。新しいプレイヤーと、そしてこれまでのプレイヤーにも、新しい平八を楽しんでもらえるように作りました。
――物語としては、鉄拳僧としての修業を通して新たに技を会得したのでしょうか。
池田
そうです。三島流喧嘩空手もありつつ、修行の中で鉄拳僧に伝わる技を習得して、本作の平八になりました。
――『鉄拳7』では、平八はeスポーツシーンでは地味な印象がありました。
池田
小技を中心とした立ち回りが得意で、地味な戦いかたになりがちでした。そこは改善したい想いもあって、構えを使った攻防や、“武の境地”に至ることで発揮できる能力で、非常に力強く戦えることを目指しました。
――新ステージの“GENMAJI TEMPLE”は昼固定と、夕~夜ステージに分かれていますが、理由はありますか?
池田
それはストーリー上の演出の都合ですね。昼でのみ戦うシーンと、夕~夜と時間経過するシーンがあるために、1ステージに2バリエーションあります。ちなみに本編の“URBAN SQUARE”も、同じ理由で分けていました。
ちなみに“SEASIDE RESORT”は昼、夕、夜と時間の流れでステージが進んでいきますが、これはステージ設計の最初から時間経過で魅せるステージとして設計していたためです。
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――平八はどのようなプレイヤーに向いているキャラクターでしょうか。
池田
平八はパワフルでド派手に戦えるキャラクターです。一撃の重みを感じたい人にオススメです。また、一撃の重みを重視したキャラクターはスピーディーに動けないことが多いですが、本作の平八は構えの移行なども含めて、スピーディーな動きも得意です。力強さと素早さ、両方を味わえるキャラクターになっています。
安田
悪役ではありますが、『鉄拳』を代表するキャラクターです。なんとなく存在や名前を知っている人が使うだけでも、しっかりと楽しめるはずです。
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そのほかのアップデートや今後の展望も?
――メインメニューのキャラクター変更は、素人目から見ると「キャラクターを変更するだけでなぜこんなに時間が掛かるの?」と思われそうなところですが、やはりライティングや魅せかたのこだわりから、時間か掛かるものなのでしょうか。
安田
じつはそもそも、開発の計画には当初なかった要素なんです。プレイヤーの皆さんが「メインメニューでエディに睨まれるのがイヤだ」といった声が強まってから、生まれてきた新要素なんですよ。
池田
そもそも当初から「カズヤの上半身ばかりを見たくない」といった声もありました。そこからエディになりまた意見が強まりました。ただ、リディアになったら、リディアは睨んだりしていないこともあってか賞賛の声もいただきましたね。
安田
ただそうなると、皆さんには平八の足音が近づいてくるわけですよね。つぎはメインメニューで、平八に睨まれる日々が続くんじゃないかと思うはずです。ですから、メインメニューへの意見はリディアに抑えてもらいながら、平八のタイミングには変更システムを絶対に間に合わせようと決めていました。
池田
僕も対戦を通して、皆さんの気持ちがわかったんです。オンライン対戦で負けてしまって、メインメニューに戻ったらエディに睨まれてると、気持ちが落ち込むんですよね(笑)。でも、カッコよく振舞うリディアだと、負けたときの気持ちが少し晴れるような気がして。メインメニューは、とても大事な場所だなと思いました。
となれば、しっかりと作り込む必要がありました。ただ単にキャラクターを出すのではなく、メインメニュー専用にイチからカメラワークやライティングなどをじっくりと決めています。また、プリセットコスチュームも楽しめるようにしています。
メインメニュー画面だけでもキャラクター性を感じてもらいたく、たとえばファランの場合は「お前を見るのもめんどくさい」といった感じで、プレイヤーに目線を基本合わせてくれません。細かい要素も取り入れながら、それらを全キャラクターに用意するとなると、それ相応の時間が必要でした。
安田
ここまできたら「カスタマイズした状態で出せませんか?」といった意見があるのもわかりますし、自分も苦労をしながらも意見してしまいました。やはりキャラクターごとに合った、それぞれのこだわりの調整で見てもらう要素になっているので、いまは実現していません。
池田
可能であれば、いつか実現したいとは思っていますが、一旦のところは自分の好きなキャラクターを眺めてもらえればと思います。
――ちなみに、もともとはカズヤから始まり、DLCキャラクターを順番みてもらうためのものだったのでしょうか?
池田
カズヤは『鉄拳8』のひとつの顔ですし、『鉄拳7』のころは平八がそれを担っていた部分があるので、今回はカズヤにしました。そこからDLCを発売していくときに、DLCのアピールも兼ねて追加キャラクターに変更することにしていたのですが、先ほどのように「エディが怖い」といった声が多くなりました(笑)。
実際変更できるようにしたことで、開発チームも自分の好きなキャラクターに設定できるようになって、とてもうれしかったようです。「あ、このスタッフはこのキャラクターの使い手なんだ」と知ることができたりもして、実装してよかったです。
――表示されるキャラクターをランダム表示にはできないのですか?
池田
ランダムにする方針もありましたが、まずは好きなキャラクターを選んでもらえるようにお届けします。今後、ランダム表示もあるかもしれません。ちなみに、タイトル画面だけはDLCの最新キャラクターで固定されます。
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――今回“NIKE”とのコラボや、以前のユニクロコラボ、これまでも外食チェーンなどとのコラボ展開をしてきました。キャンペーンなどのコラボを続けていく、意図や狙いを教えてください。
安田
それぞれの経緯は、はっきり言ってバラバラです。ただ、基本的には現実の世界でも何か展開があることが前提です。アパレル関係でしたら実際に衣服などを販売していただき、そこに対して我々が協力している形です。『鉄拳』のグッズですから、『鉄拳8』のプレイヤーに知ってもらうのが、いちばん効果的ですよね。そのために、ゲーム内のアイテムとして登場させたりしています。
また、ゲーム的には実際に販売されているアイテムをキャラクターたちが装着できると、それだけでおもしろいですよね。部位ごとにカスタマイズできるのが『鉄拳8』の大きな強みでもありますから、今回の“NIKE”さんのシューズですとか、より強調できている施策かと思います。
今後もこういった取り組みは続けていきたいですが、どうしてもほかの会社さんありきのものですから、我々の一存だけで決められることではありません。
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――今後、こういった施策など、個人的にでもいいのでおふたりがやってみたいことはありますか?
池田
僕はある意味、すでに叶ってしまったと言いますか。僕はスニーカーがとても大好きなのですが、“NIKE”さんとコラボしてみたいなあと思っていたところ、決まってとてもうれしかったです。
安田
「じゃあやれよ」と言われてしまうかもしれませんが……。個人的にはオンラインロビーの“TEKKEN FIGHT LOUNGE”内で、初代『鉄拳』からシリーズ作品全部を遊べたらいいんじゃないかと思うんですが、まあ難しいですよね。
池田
TEKKEN FIGHT LOUNGEで言えば、もう他社さんの対戦格闘ゲームも含めて遊べるようになって、まさに本物のゲームセンターになったらいいなとは思います。もっとも、こっちのほうが遥かに難しいでしょうね(笑)。
――今後のDLCキャラクターについても、数体まとめた追加ストーリーモードが用意されたりしますか?
池田
メインストーリーの主軸には、麗奈の存在があります。そこに、今回は平八が大きく絡んでいることもあり、用意した側面があります。メインストーリーに絡むキャラクターが登場の主軸になってしまうと、今後の新キャラクターを選びにくくなってしまいます。
もし追加ストーリーの評判がよくて「今後もこういった形にしてほしい」といった声があれば考えますが、物語に引っ張られすぎて登場キャラクターのラインアップを変えることは、個人的にはしたくありません。
まったく別の形でのチャレンジもしてみたいですし、まだ登場していないキャラクターを『鉄拳8』に参戦させたい思いもあります。今回は『鉄拳』シリーズ30周年であることや、平八の復活といった部分で、新たなストーリーを用意した形です。
安田
正直なところ、予算の問題もあります。今回お届けする新ストーリーは、無料アップデートなんです。それを会社に「やらせてください」と言うのは、なかなか難しくて。もっと描きたい気持ちもあるのですが、やはり特別な理由がないとなかなか実現するのはたいへんです。今回のアップデートも「こういうのを作ってほしい」とは要望していなくて、気づいたらこれだけのコンテンツになっていたんですよ(笑)。
池田
「あなたたちはやりすぎですよ!」と、本編のストーリーモードの時点から言われていましたね(笑)
安田
そのぶん魂の込められた、ファンの皆さんに楽しんでもらえるものになっていると思います。
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