NeverAwakeManのおすすめゲーム
キル・ナイト
- プラットフォーム: Nintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Steam、Microsoft Store)
- 発売日:2024年10月2日
- 発売元:PlaySide
- 開発元:PlaySide
- 価格:Nintendo Switch版、Xbox Series X|S版、Xbox One版は1750円[税込]、プレイステーション5版とプレイステーション4版は2310円[税込]、PC版は1700円[税込]
- 対象年齢:IARC 12歳以上対象
【こういう人におすすめ】
- 超ハイスピードなアクションゲームが好き
- 何度でも立ち上がり続けられる
- 地獄のような難しさに耐えられる
目が乾く。
手が汗ばむ。
呼吸が浅くなる。
こめかみにわずかな痛みが走る。
コントローラーに触れる指先だけが、ただ一心不乱に動き続ける。
──ここは地獄。アクションゲーマーの堕ちる地獄だ。
この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ
だからか、本作を起動するとゲームパッドを使うよう厳粛に警告される。そのため本記事では、Xbox系のボタン配置で説明する。

結論から言うと、このゲームは傑作だ。ハイスピードで、バイオレンスで、スタイリッシュ。血が滾り、肉が飛び散り、骨が折れる。銃あり、剣あり、爆発あり。赤と黒を基調にしたビジュアルはインパクト抜群であると同時に、プレイアビリティを損なわない限界ギリギリのラインを攻めている。『キル・ナイト』には俺がアクションゲームに求めるおよそあらゆる要素が詰まっており、ここ2~3年遊んだタイトルの中でも最高にスリリングな作品のひとつと言える。
……だがその一方で、俺はこのゲームを万人におすすめするわけにはいかない。
なぜなら、『キル・ナイト』を遊んだが最後、あなたのゲーマーとしての自尊心はきっと傷つけられるからだ。それも、酷く、深く、エグく傷つけられるだろう。このゲームを遊んだ人間はみな等しく悪魔に踏み潰されて死に、レーザーに蒸発させられて死に、トゲ床に貫かれて死に、巨大殺人コマにミンチにされて死ぬ。何度も、何度も、何度も。

もちろん、この記事を書いている俺はこういう暴力的なゲームが大好きだ。けれど、だからといって善良なプレイヤーにトラウマを負わせるような不用意なことはしたくない。たかがゲーム、されどゲーム。「クリアーできなかった」という失敗経験はささくれのようになって、心のどこかでちくちくと痛み続けるものだ。
これは別に、読んでもらうために話を盛っているとかではない。「6割以上のプレイヤーが1面突破すらあきらめている」とか「全ステージ突破率は最低難易度ですら3%程度」とかいう異常な数字からも察してほしい。盛りに盛っているのはむしろ、本作の難度のほうなのだ。

本作は4つの難易度を選ぶことができ、後悔→従者→騎士→惨苦の順に難しくなっていく。タイトルが『キル・ナイト』だから“騎士”がノーマル相当かと思いきや、もっともイージーなはずの"後悔"が一般的なアクションゲームにおけるノーマル相当と思えるくらい手強い。そこから先は加速度的に難しくなり、”騎士”や”惨苦”にいたっては……もはや筆舌に尽くしがたい。「歯応えがある」などという言葉では、生ぬるいにもほどがある。ていうか惨苦って何?

俺がこれだけ念押ししてもなお地獄の門をくぐり『キル・ナイト』に挑まんとする者があれば、心の底からリスペクトを送ろう。あなたには1%にも満たないかすかな可能性が与えられる。すなわち、殺戮の騎士となる可能性が。

変則DOOM式

主人公である殺戮の騎士〈キル・ナイト〉に与えられる武器は3つ。ピストルとソード、そしてヘビーウェポンだ。それに加え、アクセサリーでちょっとしたバフをかけることができる。これらの武器やアクセサリーには豊富なバリエーションがあって、チャレンジをクリアーするかゲーム内通貨を使うとアンロックできる。とはいえ、アンロックできる武器のほとんどは単純な上位互換とは言い難い、一癖あるものばかりだ。代償に見合うかどうかは、結局のところナイト≒プレイヤーの腕前次第となる。


だが、地獄から這いよる悪魔の大群を捌ききるには、ピストルとソードだけでは明らかに頼りない。ピストルは単純に火力が足りないためどうしても引き撃ちを強いられるし、ソードも後隙が大きくカウンターを喰らいやすいのでブンブン振るわけにいかない。そうして気付けばステージの端に追いつめられ、悪魔の群れに蹂躙されて……死ぬ。
そこであっさり死なないために必要なのが、ヘビーウェポンだ。初期装備のヘビーウェポン“ルインショット”は扇形に強力な散弾を放ち、低級悪魔であれば群れごと一掃できる。退く場所がなくなったらヘビーウェポンを発射して悪魔の群れをなぎ払い、空白地帯を作って仕切り直す。これが『キル・ナイト』の立ち回りのカギだ。ヘビーウェポンは非常に頼もしい一方で、弾数は限られている。ソードで倒した敵がドロップする銀の弾丸を手に入れることでしか補充できないことに注意しよう。

また、ヘビーウェポンは”ラースバースト”という固有の超必殺技を持つ。「死んだ悪魔が落とすブラッドジェムをRBトリガーで吸収しエネルギーに変換する」という回りくどい手順を踏む必要こそあるものの、ラースバーストは雑魚敵であれば一撃必殺、中ボスクラスであれば弱体化状態に陥らせる最強の攻撃だ。そしてなにより大事なことに、ラースバーストで倒したエネミーからは回復アイテムがドロップする。ナイトが回復する手段はほかに存在しないため、ラースバーストは文字通り起死回生の逆転技となる。
これらを踏まえた『キル・ナイト』の基礎的なプレイループを書くと、以下の通り。
悪魔の群れに追われながらピストルで引き撃ち
↓
近づかれたらソードで追い払い、ヘビー弾を補充
↓
ピンチに応じてヘビーウェポンで悪魔の群れを一掃
↓
安全地帯を作ってダッシュで逃げ込む
↓
本当にヤバくなったらラースバーストで逆転・回復


アクティブトリガーを使いこなせ
ピストルを撃ち切ったあとのリロード中、画面には進捗バーが表示される。このバーの灰色でハイライトされた部分にタイミングを合わせて各種アクションを行うことで、アクティブトリガーが発動する。ピストルでアクティブトリガーなら一定時間の発射速度上昇、ソードのアクティブトリガーであれば発動時無敵といった具合に、さまざまなボーナスを得られる。

ここで重要なのは、“アクティブトリガーはリロード時間を踏み倒せる”という点だ。先に述べた各種ボーナスも乗っかるため、アクティブトリガーを連続で成功できているあいだは火力が飛躍的に上昇する。引き撃ちに徹してもなお地獄のように難しい『キル・ナイト』において、アクティブトリガーの成功率は生存に直結する不可欠な要素だ。
ただ、この手のジャストアクションのつねとして、アクティブトリガーには“お手つき”が存在する。ボタンを押すのが早すぎたり遅すぎたりするとアクティブトリガーは発動せず、すべての攻撃が一瞬のあいだ封印されてしまうのだ。その一瞬がゲームオーバーには十分すぎるということは、いまさら言うまでもない。

だからこそ、アクティブトリガーのタイミングは“目で追う”のではなく、”手に覚えさせる”必要がある。勝手に指が動くようになれば、回避やエイムといったほかのアクションに意識を割く余裕も生まれるからだ。あまりにもフィジカルで、あまりにもプリミティブなやりかたではある。けれど、アクションゲームにおけるプレイスキルの向上とは究極的にトライアルエラーの賜物だし、またそうであるべきだ。
地獄道中キルだらけ
なにがなんだかわからないと思うので、解説しよう。

といっても、スコアが低いからといってただちに死にはしない。クリアーという点でいうと、つぎに述べるキルパワーのほうがよっぽど重要だ。
キルバワーのジレンマ
ここでRBトリガーを押せばラースエネルギーに変換されるわけだが、直接触れてジェムを回収することで、ラースエネルギーではなく画面上部のキルパワーを高められる。このキルパワーが一段階上がるごとにナイトの移動速度とピストルのダメージも上がっていくという仕様だ。遊んでいると気付きにくいが、キルパワー最低と最高ではまるで別ゲーかというくらいゲームスピードと火力が変わってくる。

厄介なことに、キルパワーは被ダメージでごっそり減少するうえ、時間経過だけでもじわじわと消耗していく。したがって、体力を回復する唯一の手段であるラースバーストにブラッドジェムを回しすぎると、今度はキルパワーを維持できず基礎火力が落ち込んでしまうという、本末転倒な事態になりかねないのだ。ブラッドジェムも時間経過で消えるため、ナイトは積極的に動いてジェムを集めて回る必要がある。だが無理に動けば、敵の攻撃を喰らったりトラップを踏んだりするリスクも高まる。なんたるえげつないジレンマ!

……まあいいや。
テクと意地で地獄をねじ伏せろ
ただ、こんな壮絶なプレイの最中にありながら、俺はしばしば奇妙な心地よさに包まれることがあった。ゾーン、フロー、無我の境地……呼びかたは何でもいい。視界が妙に広がって、じわりと鈍化した時間の中で最適解を選び続けられるようになる、あの無心の感覚。まばたきどころか、まともに息を吸うことすらままならない、極限の集中状態。『キル・ナイト』を遊んでいると、そんな全能感が訪れることがあるのだ。

そうして気付いたときにはステージクリアーしていて、やっと大きく深呼吸をつけるようになる。やってやったぜ、ざまあみろ。リザルト画面に向けてガッツポーズないし中指を叩きつけてやりたくなる瞬間だ。
プレイヤーを地獄の底まで追いつめるこのおそろしいゲームに、もしご褒美らしいご褒美があるとすれば、それはまさに、この刹那的な全能感とクリアーしたときの解放感に違いない。そして『キル・ナイト』は、地獄の底までやってくる人間にはなんやかんやで誠実に応えてくれる、超ハイスピード超高難度ツインスティックシューターである。

……最後にもう一度だけくり返すが、万人に『キル・ナイト』を推すわけにはいかない。だが、あなたにもしアクションゲーマーとしての覚悟があれば、本作を手に取るのは決して悪い選択にはならないはずだ。この地獄を果たして楽しめるかどうか、アクションゲーマーとしての真価がきっと問われることだろう。ここまで読んでくれたあなたであれば、あるいは“惨苦”をも征服できる可能性がある。ひと握りどころかひとつまみにすら入らない、わずかなわずかな可能性が。
それでは、地獄の底で、また。
■『キル・ナイト』をプレイするなら以下で。

















