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『はらぺこミーム』レビュー。AIブサかわキャラのほんわかコロニー系シミュレーション……と思いきや、激ムズすぎて初心者は死屍累々!?

byギャルソン屋城

更新
『はらぺこミーム』レビュー。AIブサかわキャラのほんわかコロニー系シミュレーション……と思いきや、激ムズすぎて初心者は死屍累々!?
 これは事件ですよ。

 ブサかわいいキャラクターたちとほのぼの収集ライフ……みたいな見た目で、出てきたのはヘビーゲーマー向けのバランスピーキーなシミュレーション。初心者たちの死屍累々が見えるようだ。

 ……ひさびさに血が騒いだね。
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ゲーム概要と注目ポイント

 本記事では、2025年6月19日にNintendo Switch/PC向けに発売予定のコロニーシミュレーション『はらぺこミーム』体験版のレビューをお届けしていく(Nintendo Switch版はクラウディッドレパードエンタテインメントより、PC版はドリコムより発売)。絵本のような温かみのある世界を舞台に、不思議な生き物“ミーム”たちの“おてつだい”をしながら彼ら彼女らの物語をハッピーエンドに導くことが目的となる。
 開発スタッフとして、往年のゲーム好きならご存じの方も多いはずのクリエイターたちの名前も。『moon』、『ちびロボ!』の西健一氏がゲームの原案、『がんばれ森川君2号』、『アストロノーカ』の森川幸人氏が世界観デザインで参加している。

 ゲームの主人公となるのは、食べて寝て、遊ぶことが大好きな生き物ミーム“たち”。プレイヤーは彼ら彼女ら(性別がある)を連れて“世界樹”の中を探索して素材を集め、それらを使ってさまざまな施設を作り、ミームたちの拠点を発展させていく。
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 素材は施設作りだけでなく、ミームたちが特別なごちそうを食べる“宴”の材料にもなる。宴を行うと、ミームたちの喜びの光で満たされて世界樹が成長し、世界樹内の探索で行ける範囲も広がっていくという仕組みだ。

 また探索において、ミームたちは自身の性格や、探索を通じた経験の蓄積を反映したAIによる思考にしたがい行動する。さらに“メンタル値”、“ヘルス値”、“まんぷく値”という3つのステータスと、経験を重ねると習得できる特殊なスキルが用意されており、それらもミームたちの行動に大きく影響するものとなる。
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 さらに、“愛の巣”という施設を作るとそこでブリーディング(繁殖)させることができるようになる。ブリーディングでは両親から見た目やスキルが継承されるので、それを活用してさまざまな個性を持ったミームを育てられる。
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 本作の魅力と注目ポイントをまとめると
  • ブサかわいい“ミーム”たち
  • コツコツと素材を集め、拠点を作り上げていくコロニーライフ
  • AIを活用した探索、育成
  • ミームを増やせるブリーディング
 といったものが挙げられる。育成シムの楽しい要素がもりもりになっているのだ。

AI学習のコツを掴め!

 さて、実際にゲームを進めてみよう。

 オープニングから独特な雰囲気に目を奪われる。実際にプレイしてみると、森川幸人氏が描く温かみのある世界観、ミームや探索のオジャマ虫も含めたキャラクター、皆ほのぼの系でほっこりする。SEとして鳴き声か掛け声のようなものも賑やかに挿入され、それもいい雰囲気を醸し出してくれている。とくにミームの何とも言えないかわいさは万人にウケそうだ。
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 チュートリアルも非常にしっかりしており、とりあえず指示にしたがいながらプレイ方法を学ぶことができるのも好感触。もっとも、ミームたちをジャマする障害への対処法は具体的に教えてくれないので、そこは痛い目を見て学ぶ仕組みになっている。
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 世界樹の中に入ると、ミームたちは自己判断でめいめいに動き始める。ただし、プレイヤーが置いた“ふくろ(拾った素材を入れることになる)”の周辺を探索するという決まりごとがあるため、欲しい素材やギミックのそばにふくろを移動させる必要がある。

 また、ミームたちは初期状態だとけっこう頭が悪い。近くに“木の枝”など食べられない素材が落ちていても、一旦食べてしまう。そしてすぐに「ウエッ」と吐き出し、拾い直して、ようやくふくろに入れてくれる。なかなかにムダな時間を使ってしまうのである。そうしたムダな行動を経て、AI学習して成長していくらしい。AIを活用したゲームで名を馳せ、現在も研究を続けている森川氏の作品らしいシステムだ。
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 この学習にもコツがあって、茂みを探索させる習慣をつけたいなら初期から茂みの近くにひんぱんに配置するとか、トラップの攻撃を受けすぎると臆病になってしまうのであまり無謀な突撃はさせないとか、探索時もただ突き進むのではなく、将来のことも考えて指示を出す必要がある。

 よくできているのは、同じ指示を出していても同じように成長するわけではなく、もともとの性格など個体差があって機械的なものを感じないということ。その代わり、完璧な方程式も存在せずに苦労させられてしまうこともあるのだが。

頭脳的な攻略を求める“数字”の罠

 各ミームに設定されている“メンタル値”、“ヘルス値”、“まんぷく値”という3つのステータスもクセ者。

 メンタルは時間が経つなどするとすり減っていき、一定以下になるとストレスが溜まったのかふくろを蹴り飛ばしたり、拠点では施設を破壊したりするなど奇行に走るようになる。目がバキバキに血走るのでビジュアル面でもわかりやすい。
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 困ったことに、体験版ではあっという間にメンタルがすり減っていく。「おまえらの世界はどれだけストレス社会なんだ!」と問い詰めたくなるくらいの繊細さである。会社でメンタル弱めな部下を抱える中間管理職ってこんな気分なんだろうな。はぁ……。と、こちらも心がやられてしまいそうに(笑)。

 減ったメンタルを回復するには“おやつ”を食べさせればいいのだが、おやつを作るにも素材が必要だし、数も人数分確保しなければならない。こまめにケアしようとすると、おやつ作りのため(の素材集め)に探索時間が割かれることになって、思うように探索が進まなくなるのである。

 また、敵に攻撃されるとヘルス値が減っていく。ヘルス値=体力で、これがなくなるとミームが動けなくなってしまう。メンタルと同時にこれもケアしなければいけないのだ。

 ただ、ヘルプでは教えてくれないのだが対処法も存在していて、拠点で“ごちそう”を作って“まんぷく値”を回復させておくとメンタルが減りにくくなるという仕様がある。ごちそうを食べるとヘルス値も回復するので一石二鳥だ。
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 もうひとつ、プレイに影響する大きな要素がある。それが“時間”だ。本作では1日が現実時間の10分になっていて、リアルタイムで進行していく。1日が終わると、探索中でもそこで強制終了となり、せっかく集めた素材も大半が持ち帰ることができなくなってしまう。そしてミームには“寿命”があり、15日程度で死んでしまうのも切ないところ。

 また、数分間探索していると世界樹内に“オバケちゃん”が登場し、ミームたちが集めた素材を盗んでいく。苦労して奥まで進んでようやくゲットしたと思ったら、サクッと持って行かれてしまった……なんてこともザラで、ものすごく(プレイヤーの)メンタルに響く。

 ふくろの中に入れたものも対象となるので、探索は欲しいものを回収したらオバケちゃんに盗まれる前にとっとと退散したほうがいいのだ。
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 クエストに必要なレア素材を集めつつ、ごちそうやおやつ作りに必要な基本素材も別途回収する。1日10分しかなくて、ミームにも寿命があるので、ムダな時間は使えない。本作は見た目のホンワカぶりとは裏腹に、緻密に作戦を練っての頭脳的なプレイが求められるのである。

万人向けの名作に化けるのか!?

 そのほか、拠点にさまざまな施設を作ったり、ミームのブリーディングができたりと、遊べる要素はけっこう多い。体験版ではまだそれほど恩恵を受けられないが、施設では先のメンタル値などのステータスを回復できたりするなど、活用することで攻略をラクにできるようだ。
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 ビジュアルは強いし、システム面もよく考えられた、攻略しがいのあるものばかりでかなりおもしろいものになりそうな予感はある。が、記事内でもチクチクと指摘しているように、とにかくバランスがきびしくて、現在のところ自由な育成を満喫するというよりも、かなり計画的にプレイしないとどんどんジリ貧になっていくような難易度になっている。

 君たちはどうクリアーするか。

 そんな挑戦状を叩きつけられている感じだ。現時点では、率直に言って万人が楽しめるものではなく、かなりチャレンジングなゲームになっているように思う。

 ただ、今回プレイしたのはまだ体験版。発売まであと2ヵ月、ここからの調整次第で、まったく違う印象の作品に化ける可能性もある。今後の変化に注目したい。

『はらぺこミーム』関連リンク

Steam
Steam 体験版
Nintendo Switch版
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集計期間: 2025年04月26日06時〜2025年04月26日07時