2025年3月26日より、全国のアミューズメント施設にて稼動を開始した(一部店舗では4月9日より開始)の『アイドルマスター TOURS』(以下、『ツアマス』)。本作について、開発プロデューサーであるバンダイナムコアミューズメントの箕浦氏にインタビューを敢行。
3回にわたるロケテストで改善、追求した部分はなんだったのか。今後の弾のカードもすべて描き下ろしになるのかなど、さまざまな気になるお話を詳しくうかがってきた。
ロケテストを何度も行った理由は“遊びやすさ”を追求するため
――本作の開発はいつごろスタートしたのでしょうか?
箕浦
企画段階を含めるとかなり前からとなりますが、本作の開発は約3年前から始まっています。
――本作の開発経緯を教えてください。
箕浦
アーケードからスタートした『アイドルマスター』シリーズは、現在モバイルコンテンツも含めてさまざまな展開を行っていますが、しばらくアーケードの新作がない状況でした。『アイマス』というIPをより多くの人に届けること、アーケードだからこそ表現できることがあると思い、バンダイナムコエンターテインメントと協議を重ね開発をスタートしました。
――本作のジャンルは“アイドルライブプロデュースゲーム”ということで、ライブを重視したゲーム性になっているかと思いますが、ジャンルはすんなりと決まりましたか?
箕浦
すんなり決まったわけではありませんが、比較的早くまとまったかと思います。
――やはりアーケードということで、初代『アイドルマスター』のようなプロデュースを重視したゲームにするという案などもあったのでしょうか。
箕浦
プロデュースを重視したゲームなども検討はしましたが、『アイマス』最初期のアーケード稼動時と違って、いまではスマートフォンを始めとしたさまざまなプラットフォームでいろいろな体験ができますので、そこにはこだわらず環境に合わせて決めていこうと考えました。
アーケードはプラットフォームとして“ある程度決まった時間の中で最大限の体験価値を提供する”という特性があります。そこから1曲の時間が決まっているライブにフォーカスするということを最初に決めて、もうひとつの大事な要素である“物理的なカードの使いかた”と“ゲーム性”についてさまざまな検証を行いつつ、ロケテストを重ねていまの形になっています。
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――ロケテストの反応で意外だった部分などはありましたか?
箕浦
「ユーザーによってこれだけ差異があるのか」ということを痛感しました。ボタン配置の入れ替えにしても、利き手の観点などからどういう人にも扱いやすいようにという思いで上下の配置に変えています。個人的に左右の配置は気に入っていたのですが、もっと間口は広くあるべきだろうと、いろいろな人にとってベターな形を選んでいきましたね。
――本作はシリーズの垣根を超えてアイドルが登場することもあって、女性のユーザーも多そうですよね。
箕浦
ボタンの固さや幅などの配置は、おもに女性のユーザー様からいただいたご意見で変えた部分ですね。自分からするとちょうどいい幅だったのですが、男女では手のサイズの違いなどもあって。
スライダーを上下にした2回目のロケテストでも、一部の方から「奥が遠い」という意見をいただきまして。長さを75%ぐらいまで縮めました。
――なるほど。かなりロケテストの意見を参考に変えられたんですね。
箕浦
アーケードゲームは、本当にトライアルの世界で、1回遊んでみて「自分のゲームではないな」と思われてしまうとつぎはない。だからこそ“遊びやすさ”には気を遣いました。開発段階でもいろいろな人にプレイしてもらいましたが、改めてユーザーの方々に遊んでもらうことで、いままで気づかなかった部分に気づけたなと思います。
――システム面ならパッチなどで対応できそうですが、筐体だと簡単に修正はできないですからね。
箕浦
筐体を変えるというのは本当にハードルが高いですからね……。スケジュール的には厳しかったのですが、それでも「変えなければ」と思いました。
もちろんシステム面でも、いろいろと手は入れています。“リズムライブ”でSPアピールが発動する星形の“SPアピールノーツ”が追加となり、SPアピールの発動条件を自動か手動で選択できるように変更したりしています。ほかにも細かい調整なども行っていますが、おもに遊びやすさ、わかりやすさについてご意見を参考にしつつ、手を入れていきました。
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アイドルの魅力がそのまま『アイマス』の魅力になる。だから“クリエイトライブ”が必要だった
――本作の大きな特徴である“クリエイトライブ”についてはどうでしょう。
箕浦
それでいうと、元々は“クリエイトライブ”を先に考えていました。
――そうなんですか? リズムゲームからじゃなかったんですね。
箕浦
登場するアイドルの魅力が、そのまま『アイマス』の大きな魅力になっているというIP上の特性を考慮しまして。
『アイマス』シリーズのユーザー(プロデューサー)は、自分の担当アイドルのよさをほかのプロデューサーに知ってほしい方が多く、互いによさをアピールするような文化があり、交流も行われています。ゲームのやり込みや腕前とは違う、自分の色を出して交流できる要素を取り込んでいきたいことから、ライブを自分なりにカスタマイズして、それをほかの人と共有できる“クリエイトライブ”を制作しました。
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クリエイトライブでは、好きな演出を好きなタイミングで、そして好きなカメラワークで、文字通りライブを“作る”ことができる。
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作ったライブを他人と共有したり、逆に共有されたライブに“いいね”とレスポンスを送ることもできる。
――ほかのプロデューサーが制作した“クリエイトライブ”に“いいね”をつけたりできる要素も交流している感じがしますね。ちなみにそういったライブに関する部分などで、とくに映像でこだわった箇所などはありましたか?
箕浦
『アイドルマスター』シリーズのアイドルたちがシリーズの垣根を超え、力を合わせてひとつのライブシーンを作ることができる、というのにはかなり力を入れていますね。ユーザーの方によって興味の範疇はあると思うのですが、そういう部分も多くの方に楽しんでいただけると幸いです。
――初期実装されているアイドルや楽曲の選定理由にもそういった部分が?
箕浦
まずは『アイドルマスター』各シリーズの代表的な3人ずつが最初に登場し、それぞれのシリーズを代表する楽曲を収録しました。また、各シリーズのアイドルたちが、シリーズの垣根を超えてライブが行えるのも『ツアマス』の特徴ですので『なんどでも笑おう』と『VOY@GER』といった楽曲を選定しています。
――男性と女性だとモーションも違っていて開発がたいへんに思えますが、実際はどうでしょうか。
箕浦
単純に作業量が2倍になりました。どのモーションも完全に同じものはなく、まったく違うものになっていますので。とくに男女混合の『VOY@GER』と『なんどでも笑おう』は、ポジションによって動きが違うので……センター、右、左に加えて男女で合計6パターンのモーションを用意する必要がありました。なので、かなりコスト的にもかかっていますね。
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――キャラクターつながりで言うと、本作より新たにツアースタッフの袖屋璃空が登場しますよね。こちらはどういうキャラクターでしょうか?
箕浦
袖屋璃空は、全国ツアー“MIXING PARADE”を支えるスタッフです。プレイヤーであるプロデューサーのみなさんをサポートする役割を担っています。
――あえて『ツアマス』オリジナルのキャラクターを登場することにした理由はあるのでしょうか。
箕浦
本作は物語の舞台がツアーライブとなるため、世界観として『ツアマス』を独立させたいという思いがあり、このゲーム、この舞台のためのガイド役を用意したかったんです。じつは男女ふたり用意するという話もあったのですが……最終的にはいまのような、見た目や声質も中性的なキャラクターになりました。
――いろいろな方に受け入れられるような形を目指したわけですね。ちなみに、袖屋璃空のコスチュームを変えられたりするような要素は……。
箕浦
いまのところ予定はないですが、ちょっとやってもいいかなとは思いますね(笑)。
――楽しみにしています!
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カードは第2弾以降も描き下ろし! これからの展望を聞く
――注目してほしいポイントやこだわったポイントを教えてください。
箕浦
本作のために描き下ろされたイラストを使用したカードです。物理的なカードを手に入れて、使用する点はアーケードゲームならではの特徴になっています。あと、“クリエイトライブ”に合わせたスライダーなどの入力装置もそうですね。スライダーを使ってズームなどの微妙な調整ができます。
――筐体の手触りにはやはり徹底して手を入れているんですね。イラストは描き下ろしとのことですが、カードに描かれているステージ衣装やアクセサリーの制作における基準などはありましたか? 懐かしさを感じさせるものなど、いろいろなアイテムがありますが。
箕浦
そこはバランスを見つつ、という感じでしょうか。懐かしさを感じる『アイマス』“ならでは枠”ですね “。あとは「こういうものはあったほうがいいだろう」という“定番枠”。そのほかゴシックな衣装に対してのシルクハットなど“衣装にあわせる枠”。つけひげなどの“変わり種枠”。そういうものを全体のバランスを見つつ配分していった感じですね。
――プレイしていて、ステージ衣装の“トワイライトダンス”とアクセサリーの“シルクハット(黒)”がすごく合うなと思ったのですが、あれは“衣装にわせる枠”だったわけですね。
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箕浦
そうですね。“シルクハット(黒)”はカードに描かれている衣装自体も“トワイライトダンス”にして、相性をわかりやすくしています。あとは“狐のお面”のアクセサリーカードで“オリエンタルクロシズ”を着ているのも同様ですね。
――では、合わせる衣装に迷ったら、アクセサリーカードで着ているものを選べばいいと。
箕浦
そうしていただけると、入りやすいかなと思います。
――アクセサリーカードやステージ衣装カードで、アイテムを身に付けているアイドルの選定はどうやって行ったのでしょうか。
箕浦
そこもバランスですね。特定のアイドルに偏らないように整えつつ、あとは衣装やアクセサリーとの相性とか、似合うポージングとか。
――伊吹翼が“つけひげ”をつけているのがすごく似合うなーと思いまして。
箕浦
けっこうそういう姿がイメージしやすいですよね。そういう似合うところからいろいろと決めていって、最終的にはバランスを見て調整して……という感じです。
――ちなみに「このアクセサリーはこの子だろ!」とすぐに決まったものはありましたか?
箕浦
あー、誰だろう……。それこそ伊吹翼の“ねこのしっぽ(三毛)”とかは早めに決まった気がしますね。あとは凛の“ブライトブレスレット(白)”とか、そのアイドルのイメージに近しいものなどですね。
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――たしかに、組み合わせがイメージとしてすごくしっくりきます。カードは第2弾でも全部描き下ろしに?
箕浦
描き下ろしの予定になります! たいへんだとは思うのですが……(笑)。
――期待しています(笑)。ちなみに第2弾が出た場合、第1弾の入手機会はあるのでしょうか。
箕浦
それは店舗さん次第でしょうか。その店舗にカードがあれば、という感じですね。ただ、当然第2弾になればそちらがメインになるとは思うので、入手機会は減ると思います。
――在庫があれば、という感じなんですね。
箕浦
そうなります。自分としてもアーケードゲームをしているときに「古いカードが欲しいな」と思うときがけっこうあるので、『ツアマス』も昔のものも入手できるようになっていてほしいとは思っています。自社の店舗だとけっこう台数があるので、第1弾排出機、第2弾排出機、第3弾排出機……という運用になればいいなと。
――アップデートに関しては、弾の更新と同じタイミングで行われるイメージでしょうか?
箕浦
そうですね。カードの更新と同じタイミングで、アイドルや楽曲が追加されるような感じです。それ以外の方法も考えてはいますが、基本的にはその形ですね。『学園アイドルマスター』についてもアップデートで登場予定ですし、各シリーズのアイドルや楽曲の追加も予定しています。
――これからがますます楽しみです! ちなみにそのほかに、アップデート関係以外でユーザーにお伝えしたいことってあったりします?
箕浦
それで言えば、今回は“ツアー”ということもありますから……いろいろなご協力のもと、『ツアマス』の筐体は全都道府県に設置される予定となっています。そして、その“全都道府県を巡らないと入手できない称号”もあります!
――なるほど、全国ツアーですね!
箕浦
ゲームセンターで出す以上はどうしても入れたい要素だったので、いろいろなところに交渉させていただきまして……なんとか実現しました。いろいろな店舗を回るのが趣味という方には、ぜひとも目指していただきたいなと。
――その称号の最速記録が気になりますね。すごいスピードで回る方もいそうな。
箕浦
そうですね(笑)。もし取れたら自慢していい称号だと思います!
――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
箕浦
発表から約2年、3度のロケテストを経て、やっと皆さんに遊んでいただけるところまで来られました。カードを集めたり、アイドルたちをコーディネイトしたり、リズムライブのハイスコアを目指したり、お好みのライブ演出をしたり、皆さまそれぞれの遊びかたで楽しんで遊んでいただければと思います!