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『ラスティ・ラビット』先行レビュー。渋くてキュートな中年ウサギが愛機でガラクタの山を掘り進める2.5Dサイドスクロールアクション。荒廃した世界観に反したウサギたちのコミカルなやり取りがたまらない癒やしに

byQマイン

更新
『ラスティ・ラビット』先行レビュー。渋くてキュートな中年ウサギが愛機でガラクタの山を掘り進める2.5Dサイドスクロールアクション。荒廃した世界観に反したウサギたちのコミカルなやり取りがたまらない癒やしに
 ニトロプラスとNetEase Gamesより2025年4月17日に発売される2.5Dサイドスクロールアクション『Rusty Rabbit / ラスティ ラビット』。対応ハードはNintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)。

 『
Rusty Rabbit』は、NetEase Gamesとニトロプラスがタッグを組んだ2.5Dアクション。原案/脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』、『PSYCHO-PASS サイコパス』などを生み出した虚淵玄氏(ニトロプラス)が担当している。

 今回は同作をひと足早くプレイする機会を得たので、記事担当ライター・Qマインによるプレイレビューをお届けする。
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人類なき世界を継いだのは愛くるしいウサギたち

 本作の舞台は、人類が地球を捨ててから数千年後の世界。この世界では、現在は地球の環境に適応したウサギたちが台頭している。主人公は中年ウサギ“スタンプ”(愛称はラスティ)で、ガラクタ集めと機械イジリに明け暮れる日々を送っていた。
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こちらが主人公の破天荒なオジサンウサギ、スタンプ。頑固でせっかちでおまけに口が悪い。口癖は“マクレガー”。ちなみにマクレガーとは、作中の聖典に登場する神のウサギの父親をパイにして貪り食った残虐非道な巨人(人類)のこと。ウサギのあいだでは、マクレガーの名を口にするとバチが当たると言われている。
 ラスティがガラクタを集めている場所は、彼の拠点“ブラス村”の近くにある巨大遺跡“エントツ山”だ。この山はかつて地上を支配していた巨人(かつての人類のこと)が残した巨大遺跡であり、ウサギたちはこの場所を神聖視している。ここにはさまざまなお宝やガラクタが眠っており、それを目当てで掘削を行うウサギも少なくない。そういった聖地を荒らす者を、信心深いウサギたちは“錆堀り”と呼んだ。ラスティは今日も愛機の“ポンコツ”とともに、エントツ山を探索し、錆堀りに勤しんでいる。これが本作の世界観と大まかなストーリーである。
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二足歩行メカ・ポンコツは、ラスティがエントツ山で見つけた選りすぐりのガラクタで作り上げたものだ。
 ラスティを始め、登場するウサギたちは全員、毛並みがモフモフでキュートなデザインが大きな特徴だ。筆者は犬・猫・ウサギといった動物が大好きなので、ウサギたちがしゃべるたびにニヤニヤしっぱなしである。

 ラスティを演じるのは『
龍が如く』の桐生一馬役や『呪術廻戦』の夜蛾正道役でおなじみの黒田崇矢さん。見た目はキュートなのに、声は滅茶苦茶渋く、かわいさとかっこよさの両方を同時に味わうことができる!
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 そのほかにも、さまざまなウサギが登場する。中でもとくに個性的なのが、“BB団”と呼ばれる存在だ。彼らは、スポンサーであるネザーランドというウサギに雇われた錆掘りチームで、個性豊かなメンバーが揃っている。ラスティは、さまざまな場面で彼らを助けたり、ときには助けられたりする。ここで簡単にメンバーの紹介もしておこう。
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■アナ(声:ファイルーズあい)
BB団の雇われリーダー。錆掘り経験のある常識ウサギで、流儀もわきまえている。ちなみにBB団の正式名称は“ブラックベリー団”。なぜかほかのメンバーにその名を覚えてもらえず、苦悩することもしばしば。
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■ネザーランド(声:速水 奨)
資産家でBB団のスポンサー。エントツ山にあるナニかを捜すために、メンバーを集めてBB団を作った。彼は団の正式名称がブラックベリー団であることをちゃんと覚えている。
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■ボーリッシュ(声:小林ゆう)
フレミッシュの弟。錆掘りだが、腕は三流でムードメーカー的な存在だ。結構な間抜けで、エントツ山で毎回何かしらのトラブルに巻き込まれる。BB団の正式名称を“ブリッツ・ブレイド団”と誤解している。
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■フレミッシュ(声:森久保祥太郎)
ボーリッシュの兄で、ベテランの錆掘り。探索中のラスティに、エントツ山に仕掛けられているトラップの存在を教えてくれることも多く、プレイヤーは何かと世話になる場面が多い。BB団の正式名称を“ブリリアント・ベイビィ団”と勘違いしている。
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■ソマリ(声:くじら)
最年長のベテラン錆掘りで、戦闘に特化したウサギ。スタンプと同じように、かつてはエントツ山で錆掘りをしていた過去を持つ。暴走するボーリッシュやレッキスを止める役目を担うことも。BB団の正式名称を“ボーリング・ベア団”と誤解している。
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■レッキス(声:鬼頭明里)
ガラクタと機械いじりに対する天性の才能を持つ少女で、チームの最年少。ガラクタや機械に目がなく、とにかく好奇心旺盛。そのせいで、エントツ山を単独で行動することもしばしばある。迷子になっているところをラスティに助けられることも多く、そのお礼として、ポンコツをパワーアップさせるためのパーツや設計図をくれることもある。
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 このように、BB団のメンバーを演じる声優陣も超豪華! アニメが好きな人であれば「おっ!」と思えるような人選になっている。そんな個性派揃いのBB団とラスティのやり取りは本作における見どころのひとつ。癒やしあり、お馬鹿あり、頼もしさあり、何やら事情ありと、さまざまな魅力を提供してくれる。上記で頻繁に登場するBB団の正式名称ネタも非常におもしろいので、ぜひ注目してほしい。
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操作性は直感的で取っつきやすい! 育成要素のおかげでポンコツが徐々に優秀なメカへと進化するのも楽しい

 探索の舞台となるエントツ山の内部は、工場や溶鉱炉など、複数の“エリア”に分かれており、その各エリア内のことを“ダンジョン”と呼ぶ。ダンジョンには、ただのブロックや宝の入ったブロックが配置されていたり、敵モンスターの“錆獣”(しょうじゅう)が跋扈していたりする。プレイヤーは、ラスティが乗るポンコツを操作して、ブロックの破壊や敵の撃破を行いながら、エリアの開拓を進めていく。
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本作の敵である錆獣は虫または動物型の機械モンスター。ダメージを与えてくるだけでなく、ポンコツに状態異常を付与してくることも。
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ダンジョンは広大で、謎解きギミック、トラップ、隠し通路、など多彩なギミックが盛り込まれていて、メトロイドヴァニアのような側面もある。
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ダンジョン内にはほかのダンジョンや拠点であるブラス村に繋がる“ポータル”があり、一度利用すれば、以降は自由に行き来ができる。
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スタンプがダンジョン攻略のヒントを、独り言としてつぶやくことも。
 ラスティの愛機ポンコツは、名前こそオンボロ感満載だが、ジャンプ、壁への張り付き、壁登り、ダッシュと、多彩な移動アクションが可能だ。ゲームを進めると、ジャンプブースターやワイヤーによる高速移動といった新たな能力も解放されていく。操作性は直感的で、動かしていて非常に楽しく感じられる仕上がりだ。アクションの幅が広がることで、よりトリッキーな動きも可能になり、操作する楽しさがさらに増していくのも大きな魅力である。
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 初期のウェポンは掘削用のドリル1本で、まずはこれを使ってブロックを破壊したり、敵を撃破する。アクション同様、ゲームが進むにつれて、さまざまな方法でウェポンをクラフトするための設計図が手に入り、遠隔武器や近接武器の使用も可能になる。ウェポンには掘削、射撃、斬撃、打撃という4つの種類があり、それぞれ1種類ずつ装備可能だ。なお、ポンコツは右手にしかウェポンを持てないため、状況に応じて各ウェポンを切り換えながら、ブロックや敵に対応していくことになる。
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ウェポンは上下左右の4方向にくり出せる。
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 序盤は、こまめなウェポンの切り換えがやや億劫に感じられるかもしれない。しかし、途中から各ウェポン専用の強力な溜め攻撃が解放されることで、その煩わしさは一変する。溜め攻撃はド派手で威力も高く、ドリル以外のウェポンでもブロックを破壊できるようになるため、プレイの幅が広がり、爽快感も格段に増すのだ。
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ドリルの溜め攻撃は、左右のいずれかに大きく横移動するアクション。大量のブロックを一掃するのに長けている。
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射撃の溜め攻撃は、波動砲。離れた敵に大ダメージを与える。
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斬撃を溜めると、飛ぶ斬撃に進化。前方の広範囲の敵を切り伏せる。
 ウェポンの設計図には、レアリティ(灰<緑<青<紫<金)が設定されており、同じウェポンでも性能に大きな差が出る。さらにクラフト時には、攻撃力増加やアイテムドロップ率上昇などの追加特性がランダムで付与されることがあり、ブラス村の工務店では隠された特性を解放することも可能だ。そのため、ウェポンを厳選する楽しさも味わえる。また、ポンコツにはパーツスロットが用意されており、パーツを装着することでステータスの強化や特性の追加が行える。
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クラフトの素材はダンジョンの探索で手に入れたり、村にあるショップから購入したりして集める。不要なウェポンを分解して素材を確保してもいい。
 本作には、レベルの概念が存在する。ブロックや敵を倒すことで経験値が得られ、一定値に達するとレベルアップし、スキルポイントを獲得できる。そのポイントを使ってスキルを習得すれば、ラスティまたはポンコツの性能が強化され、探索やバトルを有利に進めることが可能だ。スキルの種類も豊富で、ウェポンやパーツと組み合わせることで、自分だけのビルドを突き詰める楽しさも味わえる。
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 このように本作は、“操作するのがおもしろいスクロールアクション”であると同時に、RPG的な育成要素を強く持っており、キャラ育成が好きなプレイヤーにも刺さる内容となっている。ありがたいことに、目に入った敵やブロックをひたすら破壊しているだけでレベルがどんどん上がるため、経験値稼ぎを意識する必要がないのもうれしいポイントだ。
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狙った追加特性を引き当てるために、クラフトを何度も行う場合は素材が枯渇することもある。その場合は挑戦する度にダンジョンの構造が変化し、無限に探索が楽しめる“ランダムダンジョン”を利用するといい。

ディータムが世界観、大型ボスが戦闘に深みを与える

 ダンジョンには、ほかにもふたつの大きな魅力がある。ひとつ目は“ディータム”だ。これは、ダンジョン内の各所にある休憩室に設置された、誰かが入力した情報を閲覧できる記憶装置だ。各ディータムにつき、ひとつの情報が見られ、かつての巨人(人類)の痕跡や、過去にエントツ山を探索していた錆掘りの記録などが残されている。
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このアーケードゲーム筐体のようなものがディータムだ。
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入力した内容はそのまま保存されるわけではなく、独自の言葉に変換されてから記録される。そのため、ちょっと変な文章で表示されるという特徴がある。
 ディータムは世界観を補足するためのアーカイブだが、じつはほかの場所にあるディータムともつながっており、家出したスタンプの娘が記録した情報が表示されることもある。スタンプの娘は考古学が大好きで、世界の真実を調べるために、氷河に覆われた危険な外の世界へ旅立っている。
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 その後、音沙汰はなかったが、偶然にも娘が記録した情報がエントツ山のディータムに表示され、スタンプは意外な形で娘の思いや現在の生活を垣間見ることになる。そんな娘の記録に対するスタンプの反応も魅力のひとつだ。
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 ふたつ目の魅力は大型ボスだ。特定のダンジョンの最深部には、大型のボスモンスターが潜んでおり、倒すことでストーリーが大きく進展する。道中の敵と比べて、そのサイズは圧倒的で、登場時の演出もド派手だ! もちろん、攻撃のパターンも複数あり、ゴリ押しでは倒せない。ボスの特徴を把握し、ボス部屋にあるギミックを活用しながら、撃破を目指すことになる。
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 ボス討伐に成功すると、ランダムダンジョンに“錆獣戯画”というコンテンツが追加され、強化されたボスと再戦が可能になる要素もある。錆獣戯画にはタイムアタック機能があり、一定のクリアータイムを達成すると報酬がもらえる。こういった要素は、ストーリーをクリアーしたあとでも楽しめるため、やり込み勢にとってはありがたい。
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スタンプの拠点であるブラス村には便利な施設が盛りだくさん

 エントツ山の麓には、スタンプが暮らすブラス村がある。ここには、さまざまな施設があり、探索の準備を行えるほか、住人たちと交流することも可能だ。
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●スタンプの家
クラフト、ウェポンとパーツの装備、レストア、スキンの変更が可能。レストアはエントツ山で拾ったパーツを使って車を作るという要素。レストアを行うと、その度にスタンプが機械にまつわる話をしてくれる。ちょっとしたアーカイブ要素である。レストアを完了させると、スキルポイントがもらえる。
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●工務店
スタンプの友人・ジェドが経営する店。パーツの売買やウェポンに秘められたスキルの解放が行える。
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●ダイナー
村の住人とお喋りできる場所。ダンジョンで獲得した“チモシーカプセル”を消費してトークすると、換金アイテムや消費アイテムなどがもらえる。
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●バー
クエストの受注と報告を行う場所。受注はバーに入ると自動で行われる。敵を倒したり、素材を納品したりと、クエストの内容はさまざま。達成するとお金やスキルポイントがもらえる。
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●教会
神父のバウアーから、この世界に関する話を聞ける。話を聞くには寄付(特定のアイテム)が必要だが、一度聞いた話は無料で聞き直せる。
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 こんな感じで、村にはさまざまな施設がある。とくに教会は必見だ。人類が消えてから数千年が経つこの世界で、人類の存在がどのようにウサギたちに言い伝えられているのかが楽しめる。
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荒廃した世界観に反した癒やしと練られたゲーム性によって誰でも楽しめる快作に仕上がっている

 本作では、人類が消えた、いわゆるポストアポカリプスの世界が舞台となり、ディータムからは人類を存続させるためにあがく人々のメッセージなども見ることができる。それに加えて、家出したスタンプの娘の足取りも哀愁を誘う要素となっており、絶望を感じさせたり、しんみりさせたりする世界観が広がっている。

 まさに虚淵ワールド全開! と思いきや、登場人物であるかわいらしいウサギたちが織りなすコミカルなやり取りが、重く暗くなりがちな世界観を打ち消し、プレイヤーに絶えず癒やしを与えてくれる。
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 とくにBB団のメンバーには、究極の癒やしが詰まっている。間抜けなボーリッシュ、ボーリッシュに手を焼くフレミッシュ、頼れる姉御かと思いきやすっごく脳筋なソマリ、愛くるしさ全開のレッキス、うさん臭さを隠しきれないネザーランド、そして、そんなメンバーに振り回されるアナ。彼らが登場するたびに、今度はどんなやり取りを見せてくれるのかとワクワクさせられる。そういった点で本作は、虚淵氏の新境地とも言える作品に仕上がっている。
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 アクションとRPGのバランスも秀逸だ。直感的に操作できるポンコツが、ゲームを進めたり、スキルを解放したりすることで、パワーアップしていく。より動かしやすく、さらに強くなっていくので、遊べば遊ぶほどおもしろさが増していくという見事なデザインになっている。溜め攻撃をぶっ放して複数の敵やブロックを一掃することもでき、爽快感もしっかりと感じられたのも印象的だ。
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 ウェポン、パーツ、スキルによるビルド構築やランダムダンジョン、錆獣戯画といったやり込み要素も豊富で、ガッツリ遊び込むことができるのもありがたい点だ。また、ゲームの難易度は簡単すぎず、難しすぎずといった絶妙なバランスに調整されているため、幅広い層のプレイヤーが楽しむことができる。
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 ぜひとも『Rusty Rabbit』で、かわいいウサギたちが織りなすマクレガーな物語と作り込まれたゲーム性を堪能してみてほしい。

『Rusty Rabbit / ラスティ ラビット』

  • 発売日:2025年4月17日発売
  • 対応プラットフォーム:Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)
  • 発売元:NetEase Games
  • 開発元:ニトロプラス
  • 価格:各3278円[税込]
  • ジャンル:アクション・アドベンチャー
  • 対象年齢:CERO 全年齢対象、IARC 7歳以上対象
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      集計期間: 2025年04月25日12時〜2025年04月25日13時