
本作の対応プラットフォームはプレイステーション5/Xbox Series X|S/PCで、独立系パブリッシャーのKepler Interactiveから2025年4月24日に発売予定。XboxとPCのゲームパスに対応するほか、プレイステーション5のパッケージ版がセガから販売される。なお執筆にあたってはプレイステーション5のレビュー版でプレイした。
- 【世界観】壮絶に美しく、しかし過酷なファンタジー世界
- 【物語】自分が生きた証とは何か、後に続く者に何を遺すか? 物語を揺るがす大胆な仕掛けも
- 【探索】オプションのダンジョンやサブエリアまで丹念に作り込まれた世界
- 【戦闘】デフォルト難度ならパリィは必須ではないが……全パリィ狙いをしてみた方がいい理由
- 【バランス】快適なレベリングでストーリーと戦闘に没頭できる
- プラットフォームアクションとパリィ重視の設計には難点も
- 【まとめ】日本のRPGへのフランスからの最高のラブレター
【世界観】壮絶に美しく、しかし過酷なファンタジー世界
そんな状況下、67年前よりペイントレスを食い止めるために組織された“遠征隊”が毎年送り込まれてきたが、いまだ目立った成果はなく、今や数字は“33”となり、新たに33歳の人々が消え去った。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a3ee6a52fc73376ccde667d5aefd1c6f7.png?x=767)
とまぁ、この上なく死の匂いに満ちた設定なのだが、この世界は同時に壮絶に美しい! 美麗な自然や異世界の風景に思わず惹き込まれて、マップの隅々まであっちこっちを探索してしまう。筆者は普段あまりプレイ環境を気にしないのだが、本作についてはできるだけいい環境、できればHDRディスプレイでプレイしてもらいたいぐらいだ。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a08672f6c51701e1062c5cde75ac090ba.png?x=767)
トールキンやD&Dの延長でもJRPGの単なる模倣でもない、独自のフレンチ・ファンタジー
そんな中で本作は、モダンな独自のファンタジー世界を築き上げているのが面白い。キャラクターまわりのデザインや戦闘時のユーザーインターフェースなどに『ファイナルファンタジーXIII』や『ペルソナ』シリーズからの影響を感じる本作だが、全体的な世界観についてもまた、これらのタイトルのように伝統的な西洋のファンタジーとは違うユニークな方向を目指しているのだ。
オープニングから“ネヴロン”、“ペイントレス”、“ルミナ”、“ピクトス”といった独自のワードが連発されるのでちょっと面食らうかもしれないが、まぁそういうものだと思ってプレイしながら理解していくといいだろう。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/aedc48d9d964d2576b600c40f123f27ac.png?x=767)
自分たちの文化や歴史をふんだんに取り入れることで他にはない世界を作り上げるのは、中国開発の『黒神話:悟空』、チェコ開発の『Kingdom Come: Deliverance II』、ウクライナ開発の『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』など新興国で開発された最近のスマッシュヒット作とも呼応する、プライドを感じる部分だ。
【物語】自分が生きた証とは何か、後に続く者に何を遺すか? 物語を揺るがす大胆な仕掛けも
そんなギュスターヴたちの悲壮な覚悟と目の前に広がる美しい世界や流麗なサウンドとのコントラストは強烈で、だからこそ沁みる。キャンプでのキャラクター間のやり取りによる個別の掘り下げや(溜まりがちなのでひと段落するたびに適度にキャンプに戻ってみるのがオススメ)、各地で手に入る過去の遠征隊の記録などのサブ的なストーリーコンテンツも面白かったし、いくつかのJRPG作品を意識しているだろう、それまでの物語を揺るがす大胆な仕掛けも用意されていて、ラストまで惹き込まれた。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/ac6ae883b4e82b00d69ba0c90f9f9628e.png?x=767)
【探索】オプションのダンジョンやサブエリアまで丹念に作り込まれた世界
とはいえワールドマップにはそこまで敵がいるわけではなく、どちらかと言えば全体的な世界の広がりを感じさせるための要素といった感じ。実際の探索や戦闘、ストーリーの進行といったコアの体験はダンジョンマップで味わう形となっている。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a76c6eae7a752ac5dded391011799e94a.png?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a2aec54e3c65d4a0baf6b04e37eabdbdb.png?x=767)
それでもメインストーリーだけで公称30時間、結構オプションのダンジョンを探索したりサイドボスも倒した筆者の場合は実際に38時間ぐらいかかったし、それぞれのダンジョンマップの脇道にはサブエリアや強敵がかなり用意してあって、各地で発見するのがかなり楽しかった。
特にクリアーに必須ではないオプションのダンジョンは終盤に行ける所がグッと増えるので、ぜひトライしてみて欲しいところ。ユニークな仕掛けが用意してあったりトンでもない強敵が待ち構えていたりするので、スルーするのは実にもったいない。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a529ae178c753fc71767dcb8ed5dd7e4e.png?x=767)
【戦闘】デフォルト難度ならパリィは必須ではないが……全パリィ狙いをしてみた方がいい理由
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/aedf392ebd1cf3342471aa66518c02b6e.png?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a4477ce5b66fc3a5dcc61cc0f988e0e16.png?x=767)
でも、パリィがどれだけ求められるか気になる人もいるだろうと思う。公式にはデフォルト難度の“エクスペディショナー”の場合は「高く推奨」、低難度のストーリーモードの場合は「必要ではない」、高難度のエキスパートモードの場合は「必須」とされている。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a24a452d1e4aa5cd3fbe8f421eddb4de6.png?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/ada48a8d09ba0afb80425c3fd3e442b6c.png?x=767)
これが全食らいだと大ダメージ(場合によっては1ターンキル)、デバフがかかったりして、APも増えないまま自分のターンに入り、少ないAPは回復や蘇生や防御バフに使うことになって全然強力な攻撃に移れない……という負のスパイラルになる。
そしてカウンターが必中するのもポイントだ。浮遊系の敵は高い確率でこちらの通常攻撃やスキルをかわしてくるので、フリーエイムモードでAPを使って撃って倒すのが常道。でもカウンターは必ず当たるし強いので、パリィからのカウンターに専念すれば稼いだAPはその分スキルに使える……というワケだ。
ちなみに、パリィをちょっとミスって完走しなかった場合でも一定のAPは得られるし、デバフもある程度回避できて、敵の全体攻撃系のスキルならカウンターが発動してくれることもあるといった感じ。なのでまぁストーリーモード以外でプレイする場合、パリィ嫌いな人やさまざまな事情でパリィしづらい人でもなければパリィしない手はないのだ。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a9a0f5769a947df4e4be4acd36b2fa006.png?x=767)
【バランス】快適なレベリングでストーリーと戦闘に没頭できる
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/ad8065ed419d119526403e704d98d9d90.png?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/abed2ba88d30ce2e3c674afe5036ed08c.png?x=767)
プラットフォームアクションとパリィ重視の設計には難点も
とはいえ、悩ましい点もいくつかある。たとえばプラットフォームアクション(ジャンプアクション)をかなりやらされること。メインストーリーの攻略に必要なルートはそうでもないが、脇道を探索して隠しアイテムを探したり、サイドダンジョンもやるとなると、結構要求される。
これは勘違いしてほしくないのだが、プラットフォームアクションをやること自体はそこまで嫌ではない。足場の目の前まで飛べてればフチを掴んでよじ登ってくれるといった救済措置も入っているので非アクションゲームとして操作性が悪い方ではないし、落下してもすぐに再スタートできる。
でも、やっぱりちゃんとプラットフォームアクションとして作られたゲームと比較すると物足りないのだ。ギリギリまで走ってからのジャンプが間に合わずに落下するたびに「うーん」となってしまう(落下開始後すぐのジャンプが間に合う、いわゆる“コヨーテジャンプ(タイム)”の仕組みまでは多分入っていない)。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40255/a9f51ce62dd3e919f52e0d5740260d548.jpg?x=767)
それにパリィでダメージをほぼ無効化できるため、適正レベルからかけ離れている敵でも粘ればなんとか戦えてしまうのが裏目に出ることもある。「ラスボスはきっともっと強いんだろう、ならばこいつらを倒さねば」と思って流石に無理な連中以外を倒してからラストダンジョンに挑んだら、すっかりレベルが上がっていたこともあってまぁ楽なこと! 「ちょっと1周目からやりすぎちゃったな」と反省した次第だ。
【まとめ】日本のRPGへのフランスからの最高のラブレター
ここでJRPGという言葉の定義をあまりあれこれ掘り下げるつもりはないが、個人的には、欧米のRPGは与えられた世界観の中で生み出した役割を演じる”ロールプレイ”に主眼を置く事が多いのに対して、日本のRPGは開発側が生み出したキャラクターが物語を動かしていくことにフォーカスしている部分が大きな違いとしてあると思う。
そういった意味で本作は間違いなく日本のRPG的であり、かつ単なる模倣に留まらずに、フランスという自分たちの文化や芸術に対する感覚などを込めて独自のものを作り上げた、この上ない返答なんじゃないだろうか。第33遠征隊の面々との別れが惜しく、ニューゲーム+モードで2周目をプレイしている次第だ。