
『伊達鍵は眠らない - From AI:ソムニウムファイル』は、2025年7月25日にNintendo Switch、Nintendo Switch 2、PCで発売予定のアドベンチャーゲーム。
『Ever17』や『極限脱出』シリーズを手掛けた打越鋼太郎氏が関わる『AI:ソムニウムファイル』シリーズの新作であり、これまでのナンバリングと異なる脱出ゲームの要素を加えたスピンオフだ(今回は、打越氏は“シリーズディレクター/シナリオ監修”を担当)。
『Ever17』や『極限脱出』シリーズを手掛けた打越鋼太郎氏が関わる『AI:ソムニウムファイル』シリーズの新作であり、これまでのナンバリングと異なる脱出ゲームの要素を加えたスピンオフだ(今回は、打越氏は“シリーズディレクター/シナリオ監修”を担当)。
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本記事では、1作目からプロデューサーを担当する飯塚康弘氏、本作ディレクターの山田和也氏、そして打越氏の3名にインタビュー。スピンオフとして生まれた本作の特徴などをうかがった。
飯塚康弘(いいづかやすひろ)
スパイク・チュンソフト執行役員兼米国支社CEO。シリーズ第1作よりプロデューサーを務める。ゲームのキーとなる“刑事もの”、“夢の中に入る”といったアイデアの産みの親でもある。
山田和也(やまだかずや)
スパイク・チュンソフト所属。本作ではディレクター兼シナリオ執筆を担当。シリーズ作品ではソムニウムパートの設計を始め“お助けマン”として活躍していた。
打越鋼太郎(うちこしこうたろう)
トゥーキョーゲームス所属。本シリーズの産みの親だが、今回はディレクター、シナリオ執筆担当を離れてシリーズディレクター兼シナリオ監修という立場で参画。
打越節を完璧に再現したシナリオ
――前作から約3年、待望の新作は“スピンオフ”という形になりましたが、今回のプロジェクト開始の経緯を教えていただけますか。
飯塚
時期としては2023年の4月くらいですね。前作『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の発売後、日本だけでなく、世界各地のファンから「続編はまだか」というリクエストがありました。ただ打越さんがお忙しくて、スケジュールの関係で打越さんを中心に据えたプロジェクトをすぐに開始することは難しかった。そこで“スピンオフ”という形で新たな企画を立ち上げました。
―― ナンバリングではない理由は?
―― ナンバリングではない理由は?
飯塚
打越さんがメインの作品ではないからです。一方で、打越さんが入っていなくてもシリーズ展開を行っていくという決意表明や、今後の可能性を示したものでもあります。
――今後の可能性という点については、今回発表された“脱出パート”など大きな変化も盛り込まれているようですね。
――今後の可能性という点については、今回発表された“脱出パート”など大きな変化も盛り込まれているようですね。
飯塚
じつは本作はもともと配信専用でコンパクトな作品にするつもりだったんですよ。
山田
飯塚
気づいたらナンバリング作品と遜色ないボリュームになり、それどころか脱出パートのような新しい要素まで入りました(笑)。ただ、シナリオ分岐に関しては、今回は基本的に一本道の構成になっています。
――打越さんは今回、ディレクターではなくシリーズディレクターおよびシナリオ監修という肩書きで参加されていますが、実際どのように関わってこられたのでしょうか?
――打越さんは今回、ディレクターではなくシリーズディレクターおよびシナリオ監修という肩書きで参加されていますが、実際どのように関わってこられたのでしょうか?
打越
内容は肩書き通りで、山田さんが書いたプロットやシナリオを読んで、僕の意見をフィードバックしていくというものです。当初僕は「さすがに全部は受け入れてもらえないだろうな」と思いながら、きびしい注文もつけて返していたのですが、蓋を開けてみたら僕のやってほしいことを全部実現してくれていて、すごく驚かされました。
―― 打越さんが直接執筆をされていないので、“打越節”がどうなってしまうのか、という心配の声も上がりそうですが……。
―― 打越さんが直接執筆をされていないので、“打越節”がどうなってしまうのか、という心配の声も上がりそうですが……。
打越
それに関しては心配無用です。実際、監修でテストプレイをしていて、これまでの『AI』との遜色のなさに恐怖を感じました。僕がいなくても『AI』の世界が描けてしまっている。もうつぎから干されてしまうんじゃないかなと(笑)。人物描写もストーリー展開も僕の書くものと同じでしたし、僕のノウハウは完全に盗まれてしまっていましたね。
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飯塚
盗むどころか、それを昇華させてさらにいいものを作ろうという意気込みで臨んでいましたからね。だから打越さんにそう言っていただけるのはうれしいです。
打越
ギャグや下ネタなどもやり過ぎない程度のすごくいいバランスになっていて、これは完璧にやられてしまったな、と思いました。
山田
ギャグの要素に関しては、日ごろからテレビのお笑い番組をよく観ているので、その成果が出たのかもしれません(笑)。
飯塚
FILEなどの小ネタも、山田ともうひとりシナリオ担当のライターが打越さんのノウハウを熟知してしっかりと作り込んでくれていたりします。本当に、次回作から打越さんがいなくてもやれるかもしれませんね(笑)。
打越
ちょっと待ってくださいよ!(笑)
飯塚
いまのは冗談としても、それくらいスタッフも育ってきているので、本作も自信をもって皆さんにお届けできます。
打越
スピンオフと言うには完成度が高すぎてむしろしっくりこないですね。僕の中では『AI2.8』くらいの作品になっています。
――『伊達鍵は眠らない』というタイトルはどのようにして決まったのでしょうか?
――『伊達鍵は眠らない』というタイトルはどのようにして決まったのでしょうか?
打越
多くの候補から最終的に2択になって、「響きがいいよね」とすんなり決まりました。『AI』シリーズは早めにタイトルを決めているんです。ロゴも作らないといけないので。
――そのロゴなのですが、赤、青、そして紫の“3色”の構成となっているのが特徴的です。
――そのロゴなのですが、赤、青、そして紫の“3色”の構成となっているのが特徴的です。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40118/a76b42138862406fe34a0db945106349.jpg?x=767)
山田
まだ多くは言えないのですが、ゲームを最後までプレイしてから改めてこのロゴを眺めてみると、「あぁ、そういう意味か」と思ってもらえるような配色になっています。ひとつ言っておくと、紫は伊達のカラーです。
――そうなると、赤と青がどこから来ているのかも気になりますね……。
――そうなると、赤と青がどこから来ているのかも気になりますね……。
山田
あともうひとつ、本作では第3のパート“脱出パート”があったりするなど“3”という数字が鍵になっていて、ロゴの配色もそれに少し掛かっている……のかもしれません。
――“匂わせ”が気になります(笑)。合わせてキービジュアルも発表されていましたが、ここに描かれているふたりの新キャラクターについても教えていただけないでしょうか。
――“匂わせ”が気になります(笑)。合わせてキービジュアルも発表されていましたが、ここに描かれているふたりの新キャラクターについても教えていただけないでしょうか。
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山田
白衣を着た女性は月夜野日菜と言います。今回は、時系列では第1作と、第2作の過去編のあいだの話になっています。イリスはまだ女子高生で、みずきも幼い姿で出てきます。
第1作をクリアーした人ならわかると思いますが、ある事情でPsync装置のオペレーターがいなくなりました。そこで彼の弟子だった日菜が代役で働きます。ただPsync装置を操作するだけならキービジュアルに登場しないので、当然、何かあると思ってください(笑)。
第1作をクリアーした人ならわかると思いますが、ある事情でPsync装置のオペレーターがいなくなりました。そこで彼の弟子だった日菜が代役で働きます。ただPsync装置を操作するだけならキービジュアルに登場しないので、当然、何かあると思ってください(笑)。
飯塚
もうひとりの明美は、本作の物語の鍵を握る脱出ゲーム“The Third Eye Game”を主催している女性となります。
山田
彼女は宇宙からやってきたレプティリアン(トカゲ人間)という設定になっています。そして本作の物語は、イリスが彼女たちのUFOにさらわれて脱出ゲームに参加させられることになり、伊達に助けを求める……というところから始まります。
―― 敵側の重要人物というわけですね。
―― 敵側の重要人物というわけですね。
山田
また、イリスに助けを求められた伊達とアイボゥ側も、Psyncをくり返していくうちに夢の世界と脱出ゲームに関わりがあることがわかってくるようになっています。そしてなぜ明美は脱出ゲームを催しているのか、そこに日菜はどう関わってくるのか……。物語を進めていくにつれて、それらも明らかになっていきます。
――そのほかのキャラクターについて、シリーズおなじみの人々も出るのでしょうか?
――そのほかのキャラクターについて、シリーズおなじみの人々も出るのでしょうか?
飯塚
ふたりのほかに新キャラクターももちろん登場しますが、第1作で退場しなかったキャラクターたちもだいたい出てきます。
山田
個人的に第2作からのキャラクターと伊達との絡みを描きたいと考えていたので、出せそうなキャラクターは極力登場させています。とくに巌とライアンとの絡みはやらないわけにはいかないでしょう。ほかにも誰がどのような形で出てくるかは今後のお楽しみです。
――脱出ゲームは本作の重要な新要素ですが、このアイデアはどこから出たのでしょうか?
――脱出ゲームは本作の重要な新要素ですが、このアイデアはどこから出たのでしょうか?
山田
開発チームの中でも脱出ゲームを含めたさまざまな案をまとめていて、それを打越さんに見ていただいたところ「脱出ゲームはいいよ!」と食い気味に勧められまして(笑)。それで我々の心も決まりました。
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飯塚
脱出ゲームという新しい要素を入れることで、目玉にもなりましたし、ナンバリング作品との差別化もできたのがよかったですね。『ZERO ESCAPE』の開発スタッフも関わっているので、そちらのシリーズのファンにも刺さってくれるのではないかと思っています。
――打越さん×スパイク・チュンソフトの脱出ゲームというと『ZERO ESCAPE』シリーズですよね。本作ではどのような内容になりますか?
――打越さん×スパイク・チュンソフトの脱出ゲームというと『ZERO ESCAPE』シリーズですよね。本作ではどのような内容になりますか?
山田
従来の“捜査パート”、“ソムニウムパート”に続く第3のメインパートとして登場します。中には1ステージ4、50分かかるものもあったりして、どれも質・量ともに期待していただいていいと思います。
打越
構成が複雑になっているので、玄人の方でもかなり楽しめるのではないでしょうか。
飯塚
大作ステージが相次いだ結果、開発の作業量がとんでもなく膨らんでいて、山田がスタッフから恨まれていました(笑)。
山田
シリーズおなじみソムニウムパートでは今回もド派手な展開が楽しめるのですが、脱出パートでもそれに見劣りしないように各ステージ何らかの大仕掛けを用意しています。また、端々に『ZERO ESCAPE』を意識した仕掛けや小ネタを盛り込んだりもしました。
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打越
もうひとつ、『ZERO ESCAPE』シリーズは収録スケジュールの都合もあり脱出パートをフルボイスにできなかったのですが、本作では実現されていて「やるな!」と思いました。複数回話し掛けると変化するセリフもフルボイスになっているのには驚きましたね。
山田
我ながらクレイジーなことをしたと思っています。協力いただいたキャストの皆さんやスタッフには感謝ですね。
打越
あとは現実世界の“リアル脱出ゲーム”にはできない、ゲームならではの大仕掛けも見どころだと思います。
――ソムニウムパートもネタ探しがたいへんかと思うのですが、今回はどのようなステージが用意されているのでしょうか。
――ソムニウムパートもネタ探しがたいへんかと思うのですが、今回はどのようなステージが用意されているのでしょうか。
山田
今回、私がディレクターとシナリオ執筆を行っていることもあり、ソムニウムパートは別のスタッフに作ってもらいました。アイデア的にそろそろ新しいステージを作るのも難しくなってくるかと思っていたのですが、これまでにない切り口で、よりクレイジーなものができて、本当に驚きました。
飯塚
各スタッフが競い合うように作業量を増やしていいものを作ろうとするので、管理側はずっとヒヤヒヤしていましたね(笑)。
――今回のストーリーは一本道なんですね?
――今回のストーリーは一本道なんですね?
山田
メインのストーリーは一本道です。打越さんの得意とする複雑な分岐に挑戦するという道もありましたが、今回は脱出パートとソムニウムパート、そしてそのふたつのパートの組み合わせに注力することにしました。……のですが、分岐とは言わないまでもちょっとした“遊び”は盛り込んでいます。
――そのほか、やり込み要素については?
――そのほか、やり込み要素については?
山田
前作でもあったメダマを集めて設定画を解放するような要素は今回も入れています。あとはおまけ要素も、これまでになかったような形で作っています。
飯塚
開発のおふざけと考えてください(笑)。そこでまた作業量が膨らんだのですが……。結果としてすごいものが入りました。その内容は発売後のお楽しみとさせてください。
――シリーズにおいて欠かせない要素でもある、イリスたちが歌って踊る“歌”のシーンは、本作ではどうなっているのでしょうか?
――シリーズにおいて欠かせない要素でもある、イリスたちが歌って踊る“歌”のシーンは、本作ではどうなっているのでしょうか?
打越
もちろんあります。
飯塚
これだけは外せませんからね。ちなみに、今回作詞は山田が担当しています。
――さて、現在の開発状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
――さて、現在の開発状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
飯塚
もうゲーム自体は完成していて、レーティングの審査も終わってあとは工場でプレスするだけの状態です。ですから、発売日も7月25日から動くことはありません。
――それは朗報ですね。完成しているのでしたら、もう少し情報を教えていただくことはできますか……?
――それは朗報ですね。完成しているのでしたら、もう少し情報を教えていただくことはできますか……?
飯塚
そこは、これから順々に出していきますので(笑)。もう少しお待ちください。また最後になりますが、どうしても『AI』=打越さん、というイメージがあると思います。しかし、本作は打越さんが執筆されていなくても『AI』を名乗ってもいいタイトルだと自信をもって言えるものになっています。ぜひプレイしていただいて、皆さんからフィードバックをいただけるととてもうれしいです。そしてそれをつぎの糧にできたらと思っています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/40118/a7ec463f9481e7738d853a51c4b4becc5.jpg?x=767)