ユービーアイソフトより2024年11月15日に発売予定のシリーズ最新作『 アサシン クリード シャドウズ 』。2024年6月8日にアメリカ・ロサンゼルスにて開催されたメディア向けイベントでは、本作の新たなデモプレイがお披露目された。 物語の舞台は1579年、天下統一を目指す織田信長が名をはせた安土桃山時代の日本。伊賀の忍・奈緒江と信長に仕える侍・弥助のふたりの主人公それぞれの物語が描かれる。奈緒江と弥助のストーリーは一部は共通しているが、各々個別の物語やクエストが用意されている。 大坂(当時の表記)や京都など関西地方を中心に、当時の風土や景色がリアルに再現されており、広大なオープンワールドを探索できる。特筆すべきは、初の完全最新世代向けの作品であり、季節や天候の変化、光と影など多彩な表現が可能になったことだ。これらがシリーズの醍醐味である隠密行動や暗殺にさまざまな影響を与える。 ゲームの詳細については、下記の記事を参考にしてほしい。
さて、今回公開されたデモプレイは、弥助のダイナミックな戦闘や奈緒江の隠密行動にクローズアップした内容となっていた。その模様をリポートするとともに、ゲームディレクターのCHARLES BENOIT氏へのインタビューをお届けする。
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デモプレイ1:弥助(村での戦闘) まず映し出されたのは、福知山(現在の京都府福知山市)を馬に乗って移動する弥助の姿。桜の花びらが舞う村に近づき、馬から降りて歩くと村人たちが弥助におじぎをする。位の高い侍に対する村人の反応がうかがえる。弥助が犬(紀州犬?)をなでるひと幕も。
ここで村を支配しようとする藤岡と名乗る者と村人とのいざこざが。これを解決するために弥助がひと肌脱ぐ(ボコボコにする)ことに。ここでは、複数の敵を倒し、中ボスに相当する藤岡を成敗することが目的のようだ。 弥助の武器は金棒で、敵の攻撃をパリィで受け流すと、生じた隙に豪快な一撃を加える。敵はあえなくふき飛び、そこへ渾身のフィニッシュをくり出す。かなり残酷な殺めかたでつぎつぎと敵をなぎ倒していく弥助。暴れまわるとそこらじゅうの物が破壊されて、散らかるのも見ていて楽しい。
ターゲットである藤岡との一戦では、戦闘中に会話が挿入される演出も見られた。激しい攻防の末、とどめを刺すと、画面がモノクロに切り替わってスローになり、刀で首をはねる。この演出もなかなかにかっこいい。
戦闘終了後は、藤岡の背後にいる林という領主を征伐するストーリーへと展開。黒幕がどこにいるのかを探るために、本作の情報収集システムである密偵を活用していた。 敵は福知山城にいることがわかり、いざ城に乗り込むのだが、ここで弥助と奈緒江、どちらのキャラクターで攻略するかを選択することに。隠密と暗殺が得意な奈緒江でいくか、正面突破の弥助でいくかをプレイヤーが選ぶことになるのだ。
このデモでは、奈緒江の隠密、弥助のパワフルな戦闘、奈緒江の忍ならではの戦闘という3つのパターンの攻略方法が実践された。
デモプレイ2:奈緒江(隠密メインの攻略) まずは、夜に忍び込む奈緒江。“観取(仮称)”という周囲の状況を把握する技を使うと、敵の位置がハイライト表示される。屋根を伝って手早く移動を行うが、敵に気づかれる場面も。戦闘を避けて再度、屋根に登るとほふく移動(仮称)を行って敵の視界から消えることに成功。こちらの姿を見失った隙に、今度はさらに上の屋根に鉤縄を使用して真上に移動していく。
道中ではさらに、灯りを消してこちらの影を消したり(影の動きで敵がこちらに気づくことがある)、敵の首を締めたまま拘束して移動してから物陰で暗殺したり、天井に張り付いて敵をやり過ごしたり、クナイを使って遠距離から暗殺を試みる場面も見られた。
そしてターゲットの林を中庭で発見すると、池の中に潜入してほふく移動で近づき、そのまま暗殺してミッション達成となった。
デモプレイ3:弥助(戦闘メインの攻略) 続いては、弥助による城攻略。白昼堂々と正門から突入していき、敵と対峙するないなやガンガンなぎ倒していく。鎧を着た敵にはアーマー値のようなゲージがあり、これをゼロにすると兜が取れて肉体へダメージを与えやすくなる模様。弥助の装備は刀と火縄銃で、ダッシュからの斬撃やタックルで体勢を崩してからのひと太刀、火縄銃で敵近くの火薬を爆発させるなど多彩な攻撃が見られた。また、突進で扉をぶち破って進行ルートを作り出す場面も。
近年の『オデッセイ』や『ヴァルハラ』 では派手な戦闘も楽しみのひとつで、こういったバトルが好きな人は弥助での攻略がおすすめかもしれない。
デモプレイ4:奈緒江(戦闘メインの攻略) 最後に、奈緒江の忍ならではの軽快さを活かした戦闘について。隠密行動が得意だが、見つかってしまったときなどに戦闘もこなせる奈緒江。正面から突入する場合、どうしても複数の敵と交戦することになる。そこで役立つのが、武器の鎖鎌だ。 鎖鎌は振り回すことで広範囲の敵に一度にダメージを与えられるので効率がいいし、暗殺技も使用できる。刀を使った戦闘ではアクロバティックな動きや、複数回の斬りつけを行う連続攻撃が見られた。クナイを使って遠くの敵を倒したり、火薬壺を破壊する様子も確認。
基本は隠密で素早く事を運びつつ、見つかったら戦闘も辞さないというプレイスタイルなら奈緒江を選ぶといいだろう。 といったところでデモプレイは終了。城は種類によって大小の差はあると思うが、今回の福知山城はけっこう広く、屋外と屋内でシチュエーションもさまざま。高低差もかなりあり、『オデッセイ 』や『 ヴァルハラ 』などの過去作の城や砦と比べると、攻略しがいがあるのが見て取れた。 レベルは両者で共有しているので、成長度合いに差が出ることはなく、そのときの状況や気分に応じてどちらのキャラクターも気軽に切り替えながらプレイできるのがうれしいところだ。 ゲームディレクター インタビュー 今回のデモプレイの内容も踏まえ、気になる点についてゲームディレクターのCHARLES BENOIT氏に話をうかがった。
――正式タイトル発表後、ポジティブな意見とそうでないものとがあったかと思いますが、反響はいかがでしたか?
CHARLES
ええ、たくさんのフィードバックがあります。まず、4年をかけて『アサシン クリード シャドウズ』の開発に取り組んできたこのゲームを発表できたことをとてもうれしく思います。ゲームを発表するのはいつもクールです。もちろん、私たちのゲームに興味を持つ方もいれば、望んでいたものではないと思う方もいるでしょう。すべての人を満足させられないのは避けられないと考えています。それでも多くの肯定的な意見をいただきました。ありがとうございます。 ――本日のデモのように、奈緒江と弥助はミッション開始時に切り替えが可能でしょうか? ミッションやクエストの途中でも切り替えられますか?
CHARLES
デモで見せたのは、クエスト開始時にキャラクターを選択してプレイしているケースです。クエストによっては、どちらかのキャラクターでプレイするものもあります。オープンワールド上ではいつでも切り替えられ、クエストを受けると、クエストがそのキャラクターに適応します。 ――奈緒江が明かりを消して、影ができないようにする場面がありました。
CHARLES
おっしゃる通り、マップ上の光を遮断したり、消したりできます。あちこちに小さな焚き火スポットがあり、転倒させることもできます。また、月明かりの元では、地面にくっきりとした影ができます。これらの光をコントロールすることで、敵に気づかれにくくできるでしょう。 ――同様に、天候や季節の変化がステルスやゲームの進行に与える影響の例をいくつか教えていただけますか?
CHARLES
デモでは最後に池に潜入し、大名を暗殺していましたよね。冬は池が凍るので潜ることはできません。そして、氷の上で走ろうとすると滑ってしまいます。また、冬に屋上に上がると外庭に氷柱(つらら)が落ちて、敵に気づかれることがあります。ほかに季節の例を挙げると、草の有無もステルスに影響を与えます。春には草が生え始め、夏には隠れられるほど成長します。冬にはそれらの隠れ場所はなくなってしまいます。 ――弥助は金棒と刀で別々のアビリティを使用していました。代表的なアビリティの例を教えてください。
CHARLES
各武器には独自のスキルツリーがあります。スキルツリーでアビリティを解放すれば、戦闘中に獲得したアドレナリンを消費して強力な技をくり出せます。パッシブな効果を持つアビリティもあります。各武器にはそれぞれ特徴があり長所と短所があります。金棒では敵をふき飛ばして大きな隙を生じさせるのに向いています。刀はもう少し汎用性が高く素早く相手を斬りつけます。刀のアビリティの中には、受け流し後に追加のダメージを与える速い斬撃があります。攻撃後に体力を回復するものもありますね。 ――奈緒江についても、アビリティの例を教えてください。
CHARLES
奈緒江が使用する鎖鎌は、つむじ風を巻き起こすように振り回して遠距離の複数のターゲットを攻撃できます。また、敵の首を締め付けて拘束することができ、陰に移動してから暗殺も可能です。奈緒江の武器で特筆すべき点は、どの武器に少なくともひとつの暗殺技があることです。たとえば、デモでは見られなかった短刀では、2本の刀でダブルキル暗殺を行うことができます。 ――敵が持つアーマー値(黄色のゲージ)はどのような条件で減らすことができるのでしょうか?
CHARLES
それは武器に大きく依存します。弥助の武器のほとんどは鎧に対して有効です。とくに金棒は鎧にダメージを与えやすいです。一方で奈緒江の短刀の場合は、鎧にほとんどダメージを与えないので、相手が体勢を崩した隙に攻撃するなど、別のアプローチを取る必要があります。刀にはさまざまな種類があり、刀の持つ能力も異なります。鎧を壊すのに向いたものもあれば、体力を減らすのに向いたものもありますので、好きなものを選ぶといいでしょう。 ――奈緒江はクナイを使用していました。ほかにどのような道具がありますか?
CHARLES
クナイは遠距離暗殺用の武器です。手裏剣もあり、これらは物音を発生させたり、物を壊したり、明かりを消したりするのにも使えます。戦闘では敵にすばやく撃ち込んで体勢を崩すことができます。投げて使う鈴もあり、これは敵を引き付けられます。そして、辺り一帯に煙を生じさせて敵の視界を奪う煙幕もあります。 ――密偵など仲間の忍が戦闘に参加することはありますか?
CHARLES
まだ出していない情報ですが、少しだけお話します。密偵はおもに情報収集に利用されます。仲間はプレイヤーがリクルートすることが可能で、いっしょに戦うこともできます。仲間はそれぞれ異なる種類の能力を持っており、情報収集を行う密偵や、ともに戦う戦闘員など、役割を割り当てられます。また、隠れ家で訓練して能力を高めることもできるので、ある意味では 『オデッセイ』や『ブラザーフッド』 と似ているかもしれません。 ――ほふく移動はどのような場合に有効でしょうか?
CHARLES
ほふく移動は、地面や屋上などあらゆるシチュエーションで使うことのできる新しいアクションです。小さな隙間に入り込んだり、ほんの少しの段差を利用して隠れることができます。実際にデモでは、屋根の緩やかな傾斜を利用して敵の視界から逃れることができていました。 ――ゲームの開発は順調ですか? 11月に間違いなくプレイできると信じていいでしょうか?
CHARLES
はい、順調に進んでいます。現在、ゲームをよりよいものにするために、ブラッシュアップを行っているところです。まさに開発のラストスパートですね。多くの開発者が携わっており、毎日のように大きな進歩が見られます。あと2、3ヵ月の猶予を、最高の 『アサシン クリード』 にするために費やすつもりです。 『アサシン クリード シャドウズ』の最高にクールな点のひとつは、日本を舞台にしているところです。数年前に日本に行ったのですが、素晴らしい景色や日本の文化をたくさん見ました。それらはゲームの中にも反映されています。日本の方にはきっと、本作の舞台をより楽しんでいただけることでしょう。