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イタリア産ソウルライク『エノトリア:ザ・ラスト・ソング』は不気味だが美しい。パリィで攻撃をさばいて一撃必殺を決める、退廃美の中の爽快【デモ版レビュー】

by友野辰貴

イタリア産ソウルライク『エノトリア:ザ・ラスト・ソング』は不気味だが美しい。パリィで攻撃をさばいて一撃必殺を決める、退廃美の中の爽快【デモ版レビュー】
デモンズソウル』、『ダークソウル』といったフロム・ソフトウェア作品から強く影響を受け開発されたゲームを総じて指す“ソウルライク”。高難度アクションの代名詞とも言えるジャンルだ。

 イタリアのスタジオ・Jyamma Gamesが開発し、セガより2024年9月19日に発売される新作ゲーム『
Enotria: The Last Song』(エノトリア:ザ・ラスト・ソング)も、ソウルライクのひとつ。

 ダークな退廃美を感じるヨーロッパらしい雰囲気やストーリー面がウリのひとつらしいが、デモ版は英語版のみ。筆者は英語が得意ではないので、正直言って細かな表現を受け取る自信がない。そこでこの記事ではアクション面中心のレビューをお届けする。

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 翻訳しながらプレイしたため、製品版と異なる表現をしている可能性があることを留意してほしい。

緊張感あふれるパリィゲーだった

 “カノヴァッチオ”と呼ばれる呪いにより演劇の“舞台”となってしまった大陸“エノトリア”。役を演じ続けなければならなくなった人々や世界を開放すべく戦うのが本作の物語だ。主人公は役を与えられていない唯一の存在で、言わばこの世界の異物。そんな異物を排除しようとする危険な世界を生き残り、戦い抜かねばならない。

 イタリアの文化・伝承がベースとなっているだけあり、マップには中世ヨーロッパを思わせる美しさがある。明るく見えるのに夕暮れのせいで寂しげな古い街並みに、どこか宗教色を感じる暗い世界。邪悪な呪いがかかっているためか、危険な雰囲気に満ちており、「冒険したい」と「ここはヤバい」というふたつの感情が同時に襲ってくる。世界観が気になるので、早く日本語版を遊んで細かい部分を深掘りしたい。

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 ソウルライクと聞いていたこともあり、初プレイの感触は「ダクソっぽい感じだなぁ」。これは概ね予想通りで、R1で攻撃、R2で強攻撃、〇で回避、×でジャンプと、ソウルライクの基本的な操作性も相まって大きな驚きはなかった。むしろ少々退屈だったかもしれない。

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 しかし、その感想はゲーム本編に入る前にいい意味で裏切られる。

 はじまりはパリィのチュートリアル。説明が出てきたとき「ひるませてから、いわゆる致命の一撃かな?」と頭をめぐる。アクション好きの筆者からすると、その手のシステムはお手のもの。何の問題もなく成功させたところで、敵の体力バーの下にある謎のゲージが溜まっていくのに気が付いた(直訳で解明メーターというらしい)。

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中央の青いバーが解明メーター。

 その瞬間、某忍者チャンバラゲームが走馬灯のようにめぐる。攻撃を見切り、相手の体勢を崩して華麗に倒すあのゲームだ。

 もしかして……と疑いつつも攻撃したりパリィしたりして、ゲージをMAXにすると敵はダウン。フィニッシュムーブで大ダメージを与えて撃破できた。この瞬間、確信した。ソウルライク×忍者チャンバラじゃん! パリィ&フィニッシュムーブがメインなのかと、認識を改めさせられた。

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フィニッシュムーブならふつうの敵はほぼ即死。強敵でも体力の大部分を削れる。

 もちろんタイミングをミスると攻撃を受けるが、大ダメージを与えてダウンさせたうえ、そのまま起き攻めできるなど、フィニッシュムーブがかなり優秀。無理してでも狙いたいバランスに仕上がっている。

 パリィの真骨頂を味わえるのはやはりボス戦。一撃でもくらうと体力をごっそり持っていかれるという緊張感の中で戦うドキドキとスリルがたまらない。

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 ボスは、出が早い攻撃と遅い攻撃を織り交ぜて容赦ない連続攻撃を仕掛けてくるため、パリィのタイミングが難しい。状態異常にもしてくる。しかも体力が半分以下になると攻撃モーションも増えるとやりたい放題だ。

 パリィしづらい攻撃ばかりしてきたときは「ボタン押してんだろ!」と大人の本気切れ。手が痛くなるぐらい台パンしてしまった。“できそうでできない感覚”が絶妙なほどクリアーしたときの快感が高まるので、これはこれでいいのだが、下の階の人に怒られるかもしれないという点だけ気がかりである。

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第2のボス・ヴァーミリオン(ヴェルミーリオかも)。こいつの袈裟切りは密着状態だとパリィをよく失敗する。不思議……。

 ぶっちゃけ、ボスはデモ版にしてはけっこう強い。アクション慣れしている筆者がそれぞれ(体感で)30分以上かかったので難度は高めだろう。

 しかし、だからこそ敵のモーションを覚えてさばききったときには、全能感が身体を支配して超爽快。パリィゲーの気持ちよさを存分に味わえるボス戦だったといまでは満足している。二度と戦いたくはないけど。

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細かいシステムもけっこう好き

 個人的にかなり好みだったのが回避&ローリングの仕様。平常時にはローリング、敵のロックオン時には回避(クイックステップ)と使い分けられる。

 クイックステップだとモーションが控えめになるのでつぎの攻撃につなげやすく戦闘時は便利。逃げたいときやただ敵を素通りしたいときは長い距離を跳ぶローリングが使いやすい。こういった使い分けができるのは、アクションゲーマーとしてかなりありがたいものだ。

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ローリングは周囲のオブジェクトも壊せるので、ごちゃごちゃした場所の移動でも便利。

 また、“マスクライン”と呼ばれるスキル的要素も好印象だ。敵を攻撃するとマスクラインのゲージがチャージされ、満タンになると溜め強攻撃のような技を発動。大ダメージを即時に与えられる便利な能力だ。

 ボス戦で使いこなせれば優秀なダメージソースになるので、本編でも活躍しそう。敵を倒してゲットできる通貨“メモリア”を使えば強化もできる。

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 そのほか、マスクを付け替えることでフォームを変更し、戦闘スタイルや装備を変更できる臨機応変な戦闘システムや、特定の場所の環境を変化させてマップを進むパズル的要素など、おもしろそうな部分もあったが、デモ版の範囲では活かしきれなかった印象。

 まだ武器の種類が少ないためにマスクの付け替えは使いどころがわかりづらく、パズルは少々簡単すぎたのだ。この辺りはシステムに触れてもらうために用意されていたのだろう。武器やマスクラインの種類、探索範囲が増えるであろう製品版で活躍することに期待したい(探索が足りなかっただけかもしれないが)。

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強攻撃のダメージが上昇する戦士系の能力をもつ“変化のマスク”フォーム。デモ版はだいたいこのフォームのお世話になる。

実際の攻撃判定と見た目の違いはちょっと気になる

 戦闘の感触は嫌いではないのだが、敵のモーションと判定は気になった。攻撃の判定が見た目よりも長い気がする。アクションゲームでは敵の攻撃がぎりぎり当たらない位置をキープするのも重要だが、届きそうにないのに届いてしまうことがけっこうあったのだ。

 敵の攻撃だけならまだしも自分の攻撃も見た目より射程が長いので、全体的にそういう調整なのかもしれない。そう思っていたが、絶対に納得できない攻撃もあった。

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第2のボスが放つ赤黒いビーム攻撃(真ん中の細いやつ)。だいぶ手前で消えているのに当たっているらしい。

 第2のボスが第2形態で使うビームだ。多少伸びるならまだしもリーチが倍になっている。これはやりすぎでは……。

 また、パリィにはおそらくスイートスポットのようなものがある。これに気づけたのは、密着した状態ではパリィが失敗しやすいが、ある程度離れると成功しやすいといったことが多発したため。パリィ不可攻撃ならともかく、できるはずなのに距離によってできないというのは、かなりの慣れが必要だ。場合によってはストレスにもつながるので、これもプレイヤーとしては調整してほしい。

 とはいえあくまでデモ版。この辺りは開発陣の手腕に期待して9月16日の製品版を待つほかないだろう。

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作品概要

  • タイトル:Enotria: The Last Song(エノトリア:ザ・ラスト・ソング)
  • 発売日:2024年9月16日
  • 対応機種:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store)
  • 価格:7150円[税込]
  • ジャンル:ソウルライクアクションRPG
  • プレイ人数:1人
  • CERO:審査予定
  • 開発:Jyamma Games
  • 販売:セガ
※デラックスエディションは2024年9月16日発売予定で、8778円[税込]。 ※Xbox Series X|S、PCはダウンロード専売。
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集計期間: 2025年04月29日13時〜2025年04月29日14時