オープンワールドで描かれた広大な世界を舞台に、主人公・アーロイの果てしない戦い、長い旅が描かれる……。
2017年にプレイステーション4発売される向けに発売され、世界累計2000万本超の販売本数を誇る、『Horizon Zero Dawn』(ホライゾン ゼロ ドーン)。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)グループの、オランダにある開発スタジオ“ゲリラゲームズ”が開発を行っている。
超ハイクオリティーなグラフィック、緻密なSF世界設定、アーロイの出自を巡る重厚な物語、まさに超大作の名にふさわしい1本で、世界中の大人のゲームファンを唸らせた。
しかも、対応ハードはSIEのハードであるプレイステーション5のみならず、Nintendo SwitchとPC向けにも発売となる。
ゲームとしては見下ろし型のシンプルなアクションゲームで、主人公アーロイを操作し、機械獣をやっつけていく。基本攻撃は弓矢で行うが、爆弾を投げつけたり、火の付いた草越しに攻撃することで“火矢”となり攻撃力が上がるなどの戦略性も兼ね備えている。
また、ストーリーは基本的に『Horizon Zero Dawn』と同内容をになっているというが、そこは『LEGO』シリーズらしく、ギャグシーンや笑えるシーンが満載の愉快なものになっている。
いったいなぜ『Horizon Zero Dawn』が『LEGO』になったのか? SIEのファーストパーティタイトルのスピンオフをNintendo Switch向けにも発売する目的とは? アメリカ・ロサンゼルスSummer Game Fest2024の会場で、開発者に訊いた。
ジェームズ・ウィンデラー 氏
ゲリラゲームズ所属、『レゴ ホライゾン アドベンチャー』ナラティブディレクター。(文中はジェームズ)。
また、『Horizon』の開発スタッフも原作ゲームの開発時から10年が経ち子どもができ、「子どもも遊べる、若い世代にも楽しめるようなゲームを作りたい」という思いも生まれてきました。
一方、LEGOの世界というのは鮮やかでカラフルで、楽観的なテーマを内包しています。非常に多くの層ファンを包括的に持っていまして、そういった環境にあったところから、レゴと会話を重ねていくなかでいいパートナーシップを育むことができ、こういった結果に結びつきました。
――なるほど。SIEファーストパーティータイトルという印象の強い『Horizon』がSwitchでも展開されるということでさらに驚きました。ライバルハードにソフトを供給するということで抵抗はありませんでしたか? どのような議論が行われましたか?
私たちが設定した本作を開発する大きなゴール、目的は、“より幅広いゲームファンに『Horizon』をアプローチするということ”です。より多くの人に親しんでもらえるようなゲームにすることです。
たとえば、妻とカウチに座ってふたりいっしょに遊んぶこともできるし、オンラインプレイで地球の裏側にいる筋金入りの『Horizon』のファンと協力プレイすることもできるし、11歳の姪っ子と8歳の姪っ子がいるんですが、今まで私が作ったゲームの多くは年齢層が高いためプレイすることができませんでした。
そういった子どもたちもともにプレイできる、ファミリーフレンドリーな作品であることを考えたときに、Nintendo Switchというハードはすばらしい選択になりえると考えました。
――Switchでゲームを作るのは初めてだったのではないですか? 開発の難しさはなかったでしょうか。
ハードに関わらず、心を砕いたのは、本作では「できるかぎり多くの人々に『Horizon』を届けたい」ということですので、操作性はできる限りシンプルに保つようにしました。そういう意味では初めてだったかもしれませんが、難しいと言うよりは、ポジティブな機会として捕らえて開発を進めています。
Nintendo Switchでの開発について、任天堂からも非常に協力的にサポートしてもらっています。
たとえば8歳の子どもが、親や友だちといっしょに遊べるようにしたいので、そのようなアレンジを加えています。また、ユーモアやコメディについても、とくに子どもたちが楽しめるように目で見て楽しめるものを入れ込んでいます。アーロイにバナナの衣装を着せたりね(笑)。
大人世代のプレイヤーも楽しめるようにと考えましたし、レゴの映画シリーズ『レゴムービー』もそうなのですけど、自らをネタにして楽しむ要素がありますよね。レゴはレゴをネタにして、『Horizon』は『Horizon』をネタにするという、メタコメディの要素を入れ込んでいます。
――『Horizon』の特徴や要素が本作に生かされている部分はありますか。たとえば、試遊した部分では、燃えている草むら越しに矢を放つと、大ダメージが与えられる……という戦略性を感じました。
――原作のエッセンスや味わいを本作でも表現しようとしているのですね。
原作のスピリットを保ちながら、レゴ的なアレンジを加えています。声優さんたちはもともとの作品からメインキャラクターやさまざまなキャラクターそのスピリットを保ちながら明るく活き活きとレゴらしく演じてもらっています。
――ゲームの難易度は原作よりも低めに設定されるのでしょうか?
コメディ要素があり、ワイルドでカオスで、低難度に設定すれば子どもたちが笑いながら楽しむこともできますし、『Horizon』ファンの大人たちはもっと戦略要素、コンバット要素で楽しみたいということであれば、難易度のスライドを上げれば、よりエキサイティンでチャレンジングになり、武器だったりガジェットを使ったり工夫をこらして戦わないと、クリアーは難しいでしょう。
それもまたゲーム全体の“できるだけ多くの層に楽しんでもらいたい”というコンセプトを反映しています。
――見た目はかわいいけれども、難易度設定を変えれば、大人でも、『Horizon』のようなアクションゲームをやり込んでいるプレイヤーでも楽しめる?
――なるほど、納得しました。僕は試遊して2回くらいやられましたから。
――(笑)。現在の開発状況は?
――本作を入口として、子どもやこれまで触れていなかったプレイヤーにも『Horizon』世界を紹介できそうですね。
――では最後に、あなた自身が本作でもっともエキサイティングだと考えるポイントを、読者に向けて猛プッシュしてください。
これは“プレイできるレゴムービー”というコンセプトがありまして、本当にすばらしい美しいグラフィックになっていると思うのですけど、ほかのレゴシリーズのゲームと違うところがあるとすると、すべてのアセットが、実際にレゴマスター(レゴビルダー)に作ってもらったものになっているのです。
実際のレゴのルールにのっとって、レゴとして作れるものなのだそうです。敵キャラクターや自然も建物も全部。あと、キャラクターの一部はストップモーションアニメのようにして作られていて、プレイヤーが本当に自分のレゴセットで遊んでいるような感覚になれると思います。そこは自信を持って作っていますね。
――ご自身もレゴで遊ばれていたので?
『スター・ウォーズ』レゴやいろいろなセットを持っていて、ほかのレゴを混ぜたりして楽しく遊んでいました。いま15ヵ月の娘がいるのですが彼女も初めてレゴを遊んでいますよ。成長するにしたがってレゴを好きになってくれるだろうと思います。