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『Sea of Stars』スーパーファミコン時代、とくに1995年前後のRPGを思春期に遊んだ体験をいまでも楽しみたいんじゃ! という愛を形にした作品【夏のおすすめゲームレビュー】

byロマンシング★嵯峨

更新
『Sea of Stars』スーパーファミコン時代、とくに1995年前後のRPGを思春期に遊んだ体験をいまでも楽しみたいんじゃ! という愛を形にした作品【夏のおすすめゲームレビュー】
 ファミ通の編集者が2024年夏のおすすめゲームを語る連載企画。今回紹介するゲームは、ドット絵で描かれたどこか懐かしい1990年代風ファンタジーRPG『Sea of Stars』です。
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※本企画は、週刊ファミ通2024年6月20日号(No.1852/2024年6月6日発売)の特集“編集者38人それぞれが選ぶいまオススメしたい38のゲーム”をWeb用に調整したものです。

【ロマンシング★嵯峨】のおすすめゲーム

『Sea of Stars』

  • 対応ハード:Switch、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC
  • 発売日:2023年8月29日発売、Switchパッケージ版2023年12月7日発売(Switchダウンロード版は2023年8月30日発売)
  • メーカー:Sabotage Studio(Switchパッケージ版のみ架け橋ゲームズが発売)
  • 価格:PS5、PS4版4070円[税込](ゲームカタログ対応)、Xbox SeriesX|S、Xbox One、PC(Microsoft Store)のダウンロード版4000円[税込](Xbox Game Pass/PC Game Pass対応)、PC(Steam版)4000円[税込]、Switchパッケージ版5980円[税込](ダウンロード版4400円[税込])
  • 『Sea of Stars』公式サイト
【こんなところがおすすめ】
  • JPRGのお約束を取り入れつつも、ときに予想を裏切る展開
  • モダンな演出を取り入れたドット絵の美しさ
  • アクション性や戦略性が調和したコマンドバトル

「こういうRPGが好きだ!!」という愛の叫びが聞こえる

 スーパーファミコン時代、とくに1995年前後のRPGを思春期に遊んだ人の記憶の中には、きらきら輝く思い出として、下記のようなものが刻まれていると思う。

  • 複数の仲間との出会いと別れ
  • 地図上にはないフィールドが拓けたときの興奮
  • ギミックがわかると気持ちがいいダンジョン
  • コミカルとシリアスの塩梅がちょうどいいイベント
  • 見とれるほどに細かく描写されたドット絵の背景
  • 画面の半分を埋め尽くすほど巨大なボス
 エトセトラ、エトセトラ。

 時代が進み、技術が進化し、開発費が高騰しているいま、これらの要素を楽しめるRPGは少なくなってきた。

  • コストがかかるので、仲間の人数を少なくせざるを得ない
  • キャラクターを高い頭身で表現すると、コミカルな表現が合わない
  • リアル寄りのグラフィックにすると、ボスのけれん味がなくなる
  • ドット絵が打てない
 エトセトラ、エトセトラ。

 そんな現代の中で、
「ごちゃごちゃうるせえ! 俺たちは、ああいう体験をいまでも楽しみたいんじゃ!!」という愛を、情熱をもって形にしたのが『Sea of Stars』だと、私は思っている(勝手に)。

 ゲーム全編から、“あのころのRPG”への愛がほとばしっていて、プレイしていてすがすがしい気持ちになるほどだ。

 そして本作には、愛のほかにもうひとつ、「すがすがしいなあ」と感じるものがある。開発者の“自由さ”だ。

 ネタバレになるため、曖昧な表現しかできないが、本編の終盤には、なかなかに驚きの……というか、ややツッコミ甲斐のある仕様が待っている。もし本作が大手メーカーの大作RPGだったら、「いやいや、さすがに止めとかない? 統一感が……」と、会議でボツになりそうな仕様で、実際、賛否両論はある。

 また、クリアー後のやり込みを極めると、とあるオマケ要素が解禁されるが、いまどきの大手メーカーのゲームであれば「いやいや、さすがに止めとかない? 世界観が……」となりそうな要素だ。

 しかし、画面全体から
「これがやりたかったんだ!」という情熱が伝わってきたので、私はとてもすがすがしい気持ちになった。

 “自分が好きだったものを、現代向けに作る”というインディークリエイターはたくさんいると思うが、
これほどの質とボリューム(クリアーまでは30時間ほど)で、愛を自由に詰め込んだインディーRPGはなかなかないと思う。

 なお、本作を手掛けたSabotage Studioの前作『The Messenger』は本作以上に自由さが際立つ一品。クリエイターの思い切りのよさを楽しみたい人はぜひ。
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