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『inZOI』レビュー。『PUBG』のKRAFTONによるライフシムがすごい。投獄されて出所した同居人と母のラブロマンス後に弟が誕生。昼ドラが過ぎる人間観察

byカイゼルちくわ

『inZOI』レビュー。『PUBG』のKRAFTONによるライフシムがすごい。投獄されて出所した同居人と母のラブロマンス後に弟が誕生。昼ドラが過ぎる人間観察
 KRAFTONが提供する、PC(Steam)向けライフシミュレーターゲーム『inZOI(インゾイ)』。2025年3月28日9時から早期アクセス版がリリース予定で、この記事用に先行プレイさせていただいた。

 KRAFTONといえば『
PUBG: BATTLEGROUNDS』でおなじみ。その会社がライフシムに挑戦するということで、どんなタイトルなのか事前には予想がつかなかった。
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まさかの投獄。
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浮気で修羅場。
 浮気で修羅場はいいとしよう。だが、さすがに投獄は予想外だ。こんなトラブルも多彩な人生の1ページにすぎないと言えるほど、濃密な半生を過ごす結果となった。

 いったいどんなゲームプレイを経て、こんなドラマみたいな一家が生まれたのか。『
inZOI』自体の解説も交えつつ、その一部始終をリポートしていこう。 
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そんな波乱の日々を乗り越えた我が“ファミ通”一家は、海外ホームドラマみたいな勢いで仲睦まじい本当の家族になっていった……のだが。

現実の服や動きも取り込めるリアルライフシム

 最初はプレイヤーの分身となる一家をキャラクターメイクするところから始まる。一家につき最大8キャラまで登録でき、ゲーム開始後の追加キャラ作成も可能だ。
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子どもや壮年など、年齢層も選択可能。ゲーム内で時間が経過すると歳を取っていく。
 キャラメイクで驚いたのは、非常にリアルタッチなキャラクターが作成できるという点。筆者は『リネージュ』シリーズなど韓国のMMORPGをよくプレイしていて、少なくともそれらと同等以上の美麗さを感じる。
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 また、衣装も豊富に用意されているほか、“3Dプリンター”機能によって画像を取り込み、それを帽子などのアクセサリーとして使用できる機能もある。権利関係の都合で画像掲載は控えておくが、アメリカの星条旗みたいなハットなど、さまざまな画像から3Dのアイテムを生成できた。

 これはつまり、Webで見かけた憧れの服や描きで作った理想のアクセサリーなどを自分のキャラクターに与えられるということ。衣装にこだわるプレイヤーにはうれしい機能だ。
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3Dプリンター機能のほか、3D衣装シミュレーター『CLO』と『Marvelous Designer』が提供する衣装セットも用意。オシャレが苦手な筆者も一安心。
 もうひとつ、非常におもしろい取り込み機能がある。動画やイメージ画像をAIに読み込ませることで、オリジナルのエモートを作成できるのだ。

 試しに踊ってみた系の動画などを参考にエモートを作ってみたところ、多少ぎこちなくなるとはいえ再現度はなかなかのものだった。スマホなどで自分の動作を録画して取り込むことで、衣装だけでなくエモートも自分の思うがまま。「こういうエモートが欲しい」という、MMORPGなどでは日常茶飯事の欲求が最初から満たされる。
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AIによるエモート作成も現在開発中で進化を続けているとのこと。現段階でも、実写の動画の再現度はかなり高く感じた。
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ジャンピング土下座のエモートを作ってみたら、数メートル滑空しながらすっ飛ぶようになってしまった。こういう意外性もおもしろいところかも。
 筆者はとりあえず、中年の夫婦とその子どもを作成。最年少の年齢層はジュニアスクールに通うところからで、赤ちゃんは最初からは選択できないようだ。

 キャラクターには最初から“気質”や“希望する人生”のタイプを設定できる。気質は冒険家や完璧主義者など、キャラクターの根幹となる性格。希望する人生は、創造的な人生や尊敬される人生など、そのキャラクターの行動の指針だ。
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気質はゲーム開始後には変更できないが、希望する人生はいつでも変更が可能。放置時の自律行動が大きく変わる。
 こうして我がファミ通一家は、冒険家気質の父“太郎”、協力者気質の母“花子”、エンターテイナー気質の長男“息子”の3人家族でスタートした。名前についてはわかりやすさ重視ということで、ツッコミは控えていただきたい。
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 家族の作成が終わったら、その家族が暮らす都市と住居を選択する。テストバージョンでは3つの都市が選択できたので、今回は海沿いの港町“ブリス湾”を選択。家も最初の所持金から無理のないところを選択した。
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選べる住居は最初から家や家具が用意されているものだけでなく、自分でいちから家を建てられる空き地もあった。
 こうして我が一家は、いよいよゲームの世界へ降り立つことに。当然のように、父も母も無職。職業については、メニュー画面にあたる“スマホ”から転職アプリで選択可能だ。

 職業のほか、スケジュール管理や車の購入、ハウスクリーニングの依頼など、さまざまな操作や設定のメニューがスマホの画面にまとめられている。ライフシムには複雑なイメージを抱いていたが、非常にわかりやすくて助かった。
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とりあえずスマホで父は家具店に、母は遊園地の事務職に就職。ある程度の能力を求められる高度な職業もあり、転職はいつでも可能だ。
 ぶっちゃけてしまうと、こうして職業を設定さえすればあとは見守っているだけでも、キャラクターは自動で仕事をしてお金を稼ぎつつ、“空腹”、“清潔”、“睡眠”、“トイレ”といった代表的な欲求に従い、自動で行動していく。お腹が減ったら冷蔵庫から食べ物を取り出してレンジで温めて食べるし、眠くなればベッドに入る。

 1日の経過にかかる時間は標準設定だとリアル時間で96分。画面左下のスポード設定で最大10倍速まで加速できる。10倍速で見守っていると、あっという間に数日が過ぎていく。
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仕事などのスケジュールは自動で設定され、スマホアプリの“スケジュール”からいつでも確認できる。
 自動で見守るだけでなく、プレイヤーの意思で気質などとはまったく別の行動を取らせることも可能だ。家具店などの職場では、午前と午後に“床を●回掃除する”などのノルマ行動が設定されており、こなしていくと昇進による昇給がより近づく。このあたりは手動でさっと済ませてあげたいところ。
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街の人との会話や仕事の行動など、手動で入力した行動は画面中央下の行動予約枠にストックされていき、順番に解決される。
 こうして数日が過ぎたころ、息子も進学してより大きく育った。自由時間のあいだにパソコンをいじるなどして“話術”などのレベルを上げていた父と母は、いつの間にかさまざまな職業につけるようになっていた。

 そこで父はソフト開発会社、母は大学の講師に転職。これらの職業は働いている模様がプレイヤー側からは見えないので、しばらくは息子の成長を中心に見守っていくことに。
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独学でいつの間にか助教授になれるほどの能力を身に付けていた母。仕事中の姿が見られないのはさみしいが、充実した人生を送っているようだ。
 息子は人や公共物に対して悪い行動をとるとマイナスになっていく“カルマ”がだいぶ悪寄りになっていたが(エンターテイナー気質のせいか?)、グレる様子はない。やがて息子もハイスクールを卒業し、母が務めていた遊園地で真面目に働くようになった。
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最初はまったく両親に似せていなかった息子の外見だが、年を経るごとに両親の面影が見えるように。見守るほどに、本作のキャラは表情も豊かだなぁと感心する。
 今回のバージョンではお金を増やす機能もあったので、このあたりでより大きな家へ引っ越し。家族3人、充実した人生を満喫していたのだが……?
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めっちゃ広い2階建ての住居へ引っ越したことで、“建築モード”で家の中に楽器やパソコンなど、さまざまなものが自由に配置できるようになった。

突然やってきた男が昼ドラ展開を呼ぶ

 このあたりまでは、キャラクターたちの自律行動にほぼお任せのプレイで進めてきた。だが、もっと自由に遊べそうな気がする。なるべく手動で進めてみたい。

 そこで筆者は、ここで家族をひとり追加作成。愛に生きる人、自由人の青年“次郎”がエントリーだ。ちなみに太郎の息子といった血縁関係は設定しない“同居人”にしたので、脳内で太郎の弟、息子にとっての叔父さんということにした。わかる人にはわかる説明で言えば、
『フル●ウス』のジェシーおじさんだ。
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アメリカのホームドラマにいるようなトラブルメーカー役になってくれ。
 自由な男は、当然のように無職のまま。都市のビーチやアパレルショップに出かけ、女性キャラクターに話しかけては“ロマンス”関連の会話をくり返してみたところ、すごい勢いで恋人が増えていく。
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 時間が有り余っているので、食事もしっかり自分で調理。ガスコンロやオーブンをクリックするだけで作れるので、操作自体は簡単だ。ほかにも港で気の向くままに釣りを楽しんだり、遊園地のアトラクションを一日中堪能したりと、やりたい放題の暮らしを送る。
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ほかにもデートを楽しんだりと、めっちゃ自由に生きてみる。しかし結婚はしない。なぜなら自由人だから。
 このあたりで、筆者はひとつの検証をしてみたくなった。カルマが“最悪”レベルまでマイナスになると、どうなってしまうのか。

 パソコンで選択できる“カルマ行動”の“お金を無駄遣いする”をくり返すことでカルマを下げ、いざ街へ。そのあたりの人に話しかけてみると、いままで見たことがないような、カルマが下がる行動選択肢のオンパレードとなっていた。
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擁護しようがないワルになってしまった。
 通りかかった人に対して、片っ端から悪い行動を試してみる。するとなにか画面に不穏なエフェクトがかかるとともに、周りにいつの間にか公務の制服を着た人たちがめちゃくちゃ集まってきた。
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いわゆるポリスの人たち。自由人は権力には屈しないぜと、悪行を続けてみると……。
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あっ。
 そう。カルマが下がりすぎるとこのように、警察署(刑務所)に放り込まれてしまうのだ。初犯ではゲーム内時間の24時間で帰れるようになっていたが、これはなかなかに心臓に悪い。
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刑務所内でも食事や睡眠などはとれるが、ものすごくさみしい気持ちになる。
 さすがの自由人も反省しただろうということで、“希望する人生”をよりまじめなものに変更。さらにサーフショップのバイトとして働くように操作したことで、自由人・次郎はまっすぐに生き始めてくれた。

 そんな次郎と家族たちの自律交流も、わりと好印象なものが目立ち始める。いろいろあったが全部水に流そうと、次郎の出所記念パーティーを開催してあげることにした。
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パーティーはプレイヤーが自分の好きな時間帯に好きな場所で開催できる。街の知人のなかから招待できる人数は最大10名。
 次郎が迷惑をかけた人も含め、さまざまな人がパーティーに駆けつけてくれた。これまでの罪滅ぼしも兼ねて、次郎は得意の料理スキルで庭のバーベキューグリルでステーキを焼いたりと、更生ぶりを見せつけてくれる。
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さすがにステーキを焼くように操作したのは筆者だが、本当にアメリカのホームドラマみたいなワンシーンになった。
 そうして宴もたけなわなころ。家族4人は自律行動で雑談し、さらに仲を深めていた。するとなにやら、次郎と花子(母)の関係性を進展させることができるというメッセージが。
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ほうほう、恋人関係に。いや、待てお前ら。
 そういえば次郎が家にきたばかりのころに、実験のために花子とロマンス関連の会話をさせた覚えがある。まさかそこで芽生えた関係が、筆者の知らないうちにここまで進展していたというのか。

 そうして恋人関係になった直後のふたりに、父・太郎が迅速に反応する。
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即座に制裁。
 さすがにこれはまずかろう。太郎と花子の夫婦に会話で仲よくなってもらおうと、選択肢を表示してみた。すると思いがけない選択肢が目に入ったので、つい反射的に選んでしまった。
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仲直りどころか、子どもとは。
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あらまぁ。
 なんと、ここにきて新たな家族の誕生である。次郎の気持ちはどうなるんだこれ。アメリカのホームドラマだったはずが、日本の昼ドラみたいなことになってきたぞ。
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無事におめでたです。新たな息子、“弟”が家族に加わりました。
 新たに5人家族として再出発することになった、我がファミ通一家。しかしうっかり選んだ選択肢の結果、この後どうなるのか、あるいはどうできるのか、ものすごく気になる一家が誕生してしまった。
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この子がちゃんとまっすぐ育つか心配ではあるし、筆者としては昼ドラ展開を促進したくもある。めっちゃワクワクしてきた。

一家も都市全体も意図せずドラマチックになる

 今回のプレイ期間でお届けできるリポートはここまで。お伝えしてきたとおり、基本的にはキャラクターの自律行動にお任せでも意外なドラマが見られたりと楽しい。

 そこに選択肢をプレイヤー自身が選んだり、家具として特定のアイテムを置いてキャラクターのスキルが育つ傾向を操作したりと、神視点から手を加えていくことで、よりドラマチックなストーリーが演出できた。
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例として母・花子はパソコンやマイク、楽器などを家に置いていた影響か、音楽のスキルをより伸ばしていた。
 プレイ終盤には父・太郎と母・花子は老年に差し掛かろうとしていたし、この一家も世代交代していくのだろう。ちなみに妊娠から出産まではゲーム内で3日となっていたりと、各種人生のイベントは現実よりもはるかに速い時間で済む。
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リアルのプレイ時間からすれば、濃密すぎる人生の縮図。
 また、一部のNPCキャラクターのなかには、操作可能になるキャラクターもいた。ひとつの家庭だけでなく、都市内のさまざまな家族に干渉したり、見守ったりできるわけだ。

 ちなみに筆者は今回のプレイではあまり時間を割けず、ほかの家族については放置。結果として、都市の住民は大半がカルマが“最悪”レベルまで落ちていた。とんだスラム街である。次郎で大暴れしていたときの影響ではない、と願うばかり。
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一部の治安がめちゃくちゃ悪い都市になっていた。
 操作家族を切り替えなくても、会話でいさめたりすることで都市の住人のカルマ改善は可能だ。いちいち家まで話しかけに行かなくても、パーティーを開いて呼ぶといった方法もある。

 家族ひとつをシミュレートするだけでなく、こうして家族を取り巻く都市全体もシミュレートしていくかなりのボリュームを持つタイトルなのだと、改めて実感できた。
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画面に映っていなくても都市のどこかですべてのNPCが自律行動を続けている。NPC全員に、それぞれの人生があるのだ。
 AIエモートなども含めて、まだまだ鋭意開発中という本作。ライフシムとしての根幹や、ドラマチックな人生を体験できるシステムといった部分は今回の段階でもしっかりと堪能できたが、さらに進化するというのだから期待は高まるばかり。

 筆者はあまり触れる余裕がなかったが、自分で家を建築する場合も、30階層くらいの超高層建造物も建てられる予定らしい。
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建築モードはかなりの沼になりそうな予感。これだけで数時間は軽く溶けるに違いない。
 用意された職業などの型にはまらない生きかたで、アイドルを目指したりといったより自由な生きかたも可能という本作。ドラマみたいな人生を自分の手で演出できるという点に、想像以上にワクワクするものがあった。

 今後どのような機能面が進化するのかも気になるところ。今回紹介したライフシムならではの魅力が気になるという人は、今後も
『inZOI』の動向や続報をチェックしてみてほしい。
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集計期間: 2025年04月25日12時〜2025年04月25日13時