2024年末に突如として発表された『鬼武者 Way of the sword』。本作は、“バッサリ感”を売りにした爽快感あふれる剣戟アクションで知られる『鬼武者』シリーズの作品だが、完全新作が作られるのはなんと約20年ぶり。
また、主人公となる宮本武蔵のフェイスモデルに、黒澤映画『七人の侍』や『椿三十郎』に出演した昭和のサムライスター・三船敏郎が起用されたことでも話題に。そんな本作について、プロデューサーの門脇氏、ディレクターの二瓶氏にたっぷりと語っていただいた。
門脇章人氏(かどわきあきひと)
『鬼武者 Way of the Sword』プロデューサー
二瓶 賢氏(にへいさとる)
『鬼武者 Way of the Sword』ディレクター
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三船敏郎氏の起用は制作の絶対条件
──本作のコンセプトを教えてください。
二瓶
本作では3つの大きなコンセプトを掲げています。ひとつ目は新たな主人公と個性ある魅力的なキャラクターたち。こちらは、味方だけでなく敵も含めてこだわっています。ふたつ目は、数多くの名所が存在し多くの伝承もある京都という舞台ですね。最後は、最高の剣戟アクション。
いまのカプコンだから実現できる表現力、そして『鬼武者』らしさが引き出せるように工夫を重ねています。
──鬼武者と言えば、“バッサリ感”のイメージが強いです。
二瓶
そうですね。まさに、斬ったときの気持ちよさにこだわっていて、太刀筋に合わせて敵がズバッと斬れるような表現も取り入れています。
門脇
いわゆる切断表現で、CEROのレーティングはおそらくZ(18歳以上のみ対象)になると思います。最初のプロモーション映像では切断表現はなしで撮影しましたが、本編では血しぶきや切断表現の有無をオプションで変更することができます。
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──タイトルの“Way of the Sword”にはどういった意味が込められているのでしょうか?
二瓶
日本語にすると“剣の道”となるのですが、武蔵にとっての剣の道とは何か、といったところを描く作品なのでタイトルに入れました。ただ強くなるだけではないという点は物語にも深く関わり、武蔵がどう成長していくかをじっくりと表現していきます。
──なるほど。英語を使っているのは、グローバル的な展開も意識されてのことですか?
門脇
そうですね。海外版もタイトルロゴ、タイトル表現ともに同じになっています。
──ロゴのタッチも独特ですね。“鬼”の文字には角のようなものも見えますし、“者”の字は侍のシルエットのようにも見えます。
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門脇
過去作でも角っぽいデザインになっていたので、こだわった部分ですね。“者”に関しては、作品をイメージして書いた結果、自然とそうなった感じです。
──過去作とのストーリー的なつながりはあるのでしょうか?
二瓶
約20年ぶりの新作『鬼武者』ということで、幻魔や鬼の一族などの世界設定をイチから見直し、再解釈、再構成を行っています。そのため、基本的には過去作とのつながりはありません。これには、本作で初めて『鬼武者』に触れる方にも安心して遊んでいただきたいという狙いもあります。
門脇
初めて本シリーズに触れる方と『鬼武者』シリーズファンで知識の差によって体験が変わったりしないように、ということは意識していますね。
──本作の主人公・宮本武蔵は、三船敏郎さんがモデルということで話題になりました。起用のきっかけを教えてください。やはり1954年の映画『宮本武蔵』で、武蔵を演じたことがあるのも理由になっているのでしょうか?
二瓶
宮本武蔵を演じられていたからという理由ではないですね。宮本武蔵は泥臭く戦うリアルな侍の姿が似合うキャラクターで、三船敏郎さんがそのイメージにぴったりだったのがフェイスモデル採用の決め手でした。
──三船さんの宮本武蔵を表現する中で、苦労したことはありましたか?
二瓶
残っている写真や映像からフェイスモデルを作ったのですが、資料は白黒のものがほとんどでした。そのため、肌の色味やほくろの位置など、三船プロダクションと連携しながら丁寧に作り込ませていただきました。
──出演された作品によってイメージが大きく変わるのも三船さんの魅力だと思うのですが、本作ではどの映像作品の三船さんに近いですか?
二瓶
特定の作品をイメージして作ったわけではないので、具体例を挙げるのは難しいかもしれません。年齢設定的には20代半ばなので、顔は『銀嶺の果て』(1947年)、『野良犬』(1949年)、『羅生門』(1950年)のころの三船さんが近いと言えます。
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──三船プロダクションとのやりとりはいかがでしたか?
門脇
初めてお話させていただいてから、起用が決定するまでにはかなり時間が掛かりましたね。ゲーム開発では試作版ができるころでも、出演交渉はまだ続いていました。二瓶からも話がありましたが、宮本武蔵のキャラクター性を引き出すために三船さんの起用は外せませんでした。日本を代表するサムライスターですし、カプコン社内では昔から『鬼武者』の主人公として候補に上がっていたとも聞いていました。
──開発スタッフの思いとしては、最初から宮本武蔵の配役は三船さんありきだったんですか?
門脇
そうですね。三船さんの起用は絶対条件のひとつだったので、粘り強く交渉をさせていただきました。
──フェイスモデルを使ってゲーム内に登場させる、というのは交渉が難しそうですね。
門脇
窓口にはゲームを知らない方もいらっしゃったので、具体例をお見せして「こんなふうになります、こう使わせていただきます」というのを説明しつつ、実際に作ったものを見てもらうのをくり返しました。クオリティーには感心していただけたので、そこはよかったです。
──「この三船映画を見て予習しておいたほうがいい」という作品はありますか?
門脇
とくに予習の必要はありません。強いて挙げるなら全部ですかね(笑)。
──宮本武蔵というと、ライバルの佐々木小次郎の登場を期待するユーザーも多そうですが……?
門脇
佐々木小次郎については、SNSなどでも言われているのをよく目にしますね。こちらについては、続報をお楽しみに、ということで……。
──いまのところ判明している登場人物は武蔵ひとりですが、仲間はいるのでしょうか?
二瓶
本作は、武蔵がひとりで旅をする冒険物語ではなく、仲間の存在によって成長するお話となっています。なので、たくさんの仲間と旅をするというより、深い関係を持つ仲間が登場するという表現のほうが正しいかもしれません。
──現時点では明かせないかもしれませんが、仲間は架空のキャラクターですか? それとも実在した人物ですか?
二瓶
実在した人物ですね。それ以上は言えません(笑)。
門脇
作品発表後の映像でも触れていますが、歴史上に存在した人物に私たちならではの解釈、エッセンスを加えることで個性豊かなキャラクターを作り上げる、という点にはかなり力を入れています。
二瓶
きっと、「この人が出るんだ!」という驚きはあると思います。
──それは楽しみです。ちなみにヒントなどを教えてもらうことは可能ですか?
門脇
京都にゆかりのある人物たちです。そこから考えていただければ。
──舞台は京都ということですが、1stトレーラーで見られた清水寺以外にどんな場所が登場しますか?
二瓶
たくさん登場します。こちらについては、続報にご期待ください。
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登場する幻魔は完全オリジナルデザイン
──本作でも引き続き幻魔が敵となるようですが、幻魔はどのような存在なのでしょうか?
二瓶
地獄の奥底にいる存在で、瘴気に包まれた京都に突如として現れ、人々に襲いかかります。日本らしさを強く押し出すべく無間地獄に住む幻魔たちのデザインにもこだわりました。人と同じくらいの背丈のものだけでなく、圧倒されるようなサイズの幻魔も登場します。“おどろおどろしさ”というのもデザインコンセプトのひとつですね。
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── 1stトレーラーでの幻魔との戦闘の前に、赤く光っている物体がフォーカスされていましたが、あれはどういったものなのですか?
二瓶
あれは、瘴気の塊が実体化したものですね。そこから幻魔が現れます。瘴気の塊は人々の負の感情が集まると生み出されるので、たくさんの人が殺されているような場所や、いわくつきの場所に出現しやすくなっています。
──巨漢の幻魔“百穢”には御札のようなものがたくさん貼られているように見えました。
二瓶
よく見ると御札には“封”という文字が書かれていまして、本来は封じられていた、化け物的な存在なんですね。戦いで御札が血に染まると、文字が変化してパワーアップするようなギミックもあります。
──幻魔はオリジナルですか? それともモチーフとなる妖怪などはいるのでしょうか?
二瓶
妖怪やお化けなどは、エッセンスとしてパーツに入っていることもありますが、基本的にはオリジナルですね。当時の人々が妖怪だと思っていた存在がじつは幻魔だった、といった描きかたをしていることもあります。
武蔵らしい泥臭さのある戦いが楽しめる
──『鬼武者』といえば“一閃”、“弾き”といったシステムが思い浮かびますが、本作にも登場しますか?
二瓶
もちろん登場します。具体的な内容については今後の情報を楽しみしていただければと思います。
──1stトレーラーで、刀と刀の衝突したときに青白いエフェクトが出ていましたが、これはどういったものなのでしょうか?
二瓶
本作のバトルではガードや弾きとは別の、“受け流し”という要素も入っています。青白いエフェクトは、受け流しが何度か成功したときに出るものですね。一時的に刀がパワーアップして、戦闘を有利に進められます。
──畳を起こしたり敵に着物を被せたりといった動きも確認できましたが、これらはどういった仕掛けなのでしょうか?
二瓶
これは、宮本武蔵の泥臭さのある戦いかたを表現するために取り入れたシステムのひとつです。そのときの環境にあるものを活かしつつ戦えるので、畳であれば矢をガードできたり、着物は敵に被せて視界を奪うことができます。
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──必殺技のようなものも確認できましたが、これは過去作でいう“戦術殻”のようなものなのですか?
二瓶
役割は近いですね。魂を集めると使えるようになる必殺技で、トレーラーでお見せした、二刀で乱舞するもの以外にもバリエーションがあります。
──武器は刀以外にもあるのですか?
二瓶
必殺技ではいろいろな攻撃手段を用いますが、メインで使う武器は刀ですね。
──倒した敵から魂を集める点は過去作と同じようですね。
門脇
過去のシリーズ作をリリースしていたころとは違い、いまは他社さんからも多くの侍ゲームが発売されています。その中で、『鬼武者』らしさのひとつとして魂吸収のシステムは残しました。斬って気持ちいい、吸って気持ちいい……といった感覚は最大限引き出したいですね。
──本作の難度はどのくらいのものでしょうか? いわゆる“死にゲー”のような高難度のものになるのでしょうか?
二瓶
アクションゲーム好きの幅広い層の方に遊んでいただきたいので、極端な高難度のバランスにはしない方針で進めています。とはいえ、ボスもサクサク倒せてしまうとおもしろ味がないので、日々調整を続けている最中です。
──難易度選択機能は入れる予定ですか?
門脇
現時点では決まっていませんね。くり返しになりますが、アクション好きの方に最大限楽しんでいただきたいので、心が折れるような難易度にはせず、攻略したときの達成感を味わえるという魅力を突き詰めていきたいと思っています。
──育成要素はどの程度攻略に影響しますか? 負けたら強くして挑もう、といった遊びかたもできるのでしょうか。
門脇
そうですね。育成による保険のようなものも必要だと思っています。
──クリアーまでのボリュームは、どの程度を想定されていますか?
門脇
シングルアクションゲームとして満足いただけるボリュームにしたいと思っています。『モンスターハンター』のように同じボスを何回も討伐するゲームではないので、クリアーまでは20時間程度になるのではないでしょうか。まだはっきりとは決まっていませんが。
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──やり込み要素的なものは?
門脇
もちろん入れたいですが、現時点ではお答えできることはありません。ただ、いまは動画配信などでの盛り上がりもあったりするので、何かしら仕込めないか検討しているところです。シングルプレイのアクションゲームとして満足いただける内容にしたいですね。
──過去作ではパズル要素もありましたね。
二瓶
本作でもアドベンチャー要素として戦う以外にも頭を使った遊びも用意しています。
──ゲームはステージクリアー型ですか? それとも京都を探索するオープンワールドのようなものなのですか?
門脇
基本的にはステージをクリアーしながらお話は進んでいきます。オープンワールドではないですね。
──時系列や場所が大きく変わる、ということはありますか?
門脇
あー、ヨーロッパのほうに行ったりとかですか(笑)。(※)
※『鬼武者3』では現代のフランスが舞台になることもあった。二瓶
銃を持ったりとかですかね(笑)。
門脇
時系列が変わることはありませんが、場所が変わることはあるかもしれません。とは言え、おもに江戸初期の京都にスポットを当てていきたいと考えています。
──サウンド面のこだわりを教えてください。
二瓶
和のゲームということで、邦楽器を使うことにはこだわりました。日本らしさや静寂だけでなく、武蔵の感情のゆらぎも音楽で演出していきたいと思っています。剣戟アクションということで、効果音にも力を入れていて、そこはいままさに突き詰めている最中です。
門脇
効果音は、1stトレーラーから変わる可能性もありますね。
──テーマソングのようなものはありますか?
門脇
現時点では著名なアーティストさんに曲を依頼する、といったことは予定していません。
──本作を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします。
二瓶
約20年ぶりの『鬼武者』新作ということで、心待ちにしているファンの方にも今回の発表ができてうれしく思っています。いまのカプコンだから作れる剣戟アクションを、和の世界でくり広げられるダークファンタジーを楽しんでいただける作品を目指し、丹精を込めて制作を続けています。血生臭さやおどろおどろしさも健在なので、ご期待ください。
門脇
言いたいことは二瓶にほとんど言われました(笑)。つぎの情報公開はしばらく先になりそうなので、それまではいままでにお届けしている要素で想像を膨らませていただければと思っています。2026年内にはお届けできるように努力しているので、まずは2025年5月に発売される『鬼武者2』のリマスター版をお待ちいただけたらうれしいです。
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