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『Yasuke Simulator』自称「史実に忠実」な開発者たちが描く“弥助”がヤバかった。異常に弱い刀、拳銃での戦闘、回復はタピオカグリーンティー、トヨタAE86(っぽいクルマ)で峠を攻めろ弥助!

byいーさん

『Yasuke Simulator』自称「史実に忠実」な開発者たちが描く“弥助”がヤバかった。異常に弱い刀、拳銃での戦闘、回復はタピオカグリーンティー、トヨタAE86(っぽいクルマ)で峠を攻めろ弥助!
 1581年――高天神城! この城を巡り、イエヤス・徳川とカツヨリ・武田が戦をくり広げていた! ノブナガ・織田の策略により、武田の援軍は悉く遮断! やがて高天神城の兵糧は尽き、城主モトノブ・岡部は、血風に逆巻く戦場で討ち取られるに至る! 勝者はオダ=トクガワ・アライアンス! かくして武田の威信はまたひとつ地に落ち、戦国の修羅道はさらに深淵へと沈みゆくのであった……。

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(1581年、武田勝頼が有する高天神城を攻め落とさんと徳川家康が争った“第二次高天神城の戦い”では、織田・徳川連合軍が高天神城に兵糧攻めを行い、織田信長の策略により武田勝頼が高天神城に援軍を送れず、高天神城の城主である岡部元信が討ち取られて織田・徳川連合軍が勝利するという結末を迎えた)。

 だが違う! じつはこの世間に知られている“高天神城の戦い”は史実などではない。織田信長の真の策略それこそは”弥助”!! このゲームのタイトルは……『
YASUKE Simulator』(ヤスケ シミュレーター)、伝説の侍の物語だ!
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 2025年3月20日、Steamに一本のゲームが登場した。『アサシンクリード シャドウズ』で脚光を浴びた弥助を主役にしたインディゲーム『Yasuke Simulator』だ。開発者はHistoryAccurateDevelopers(史実に忠実な開発者たち)とあからさまな名前でSteamに登録し、『アサシンクリード シャドウズ』の発売日から1日だけズラしてリリースするというのも狙い撃ちにしている。

 そんなわけで発売前から話題になっていた
『Yasuke Simulator』だが、実際にプレイしてみると驚くほどにコスパがいいユーモアに溢れている作品だった。なんせ470円(特別価格は399円だった)だ。はっきり言って良ゲーの部類だったので、どんなゲームだったのか紹介しよう。

伝説の侍、降臨!!!

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 舞台は1579年、アサシンクリードのテンプル騎士団を彷彿とさせる船団が来日する。そしてつぎの瞬間には織田信長が弥助を侍に任命し、天下布武を果たすために武田家の高天神城を攻略せよとすさまじい速度で物語が展開する。

 このゲームは三人称視点のアクションゲームとなっており、まずは弥助の動きに慣れるために忍者によるチュートリアルが始まるのだが、いきなり有刺鉄線を潜るという世界大戦レベルの障害が待ち受けている。
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 さらに進むと今度はジャンプで足場を渡るプラットフォームゲームが始まるのだが、たぶんこの時点ですべての日本人プレイヤーが思うだろう。

 「弥助やなくてサスケやないかい!」

 しかも弥助の動きは微妙に慣性がかかっているため、細かい調整が難しくなっており、チュートリアルなのにやりごたえが生まれている。クリアーできたときに達成感を覚えてしまい、正直ちょっと悔しかった。だがこの直後にもっと恐ろしい衝撃が待ち受けている。

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 自転車だ!!!!

 そして竹藪のなかに突如現れたエクストリームバイクのようなコース! 何が起きているんだ!!

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 そう、このゲームはずっとこんなノリで進んでいく史実に忠実なバカゲーなのだ。ちなみに自転車に乗るのはこの場面だけでその後はいっさい登場しない。なんで出した!?

天下布武を実現できたのも無理はない

 さらに進むと今度は射撃訓練が始まる。もちろんこの時代の火器といえば火縄銃だ。

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 いやこれは拳銃“SIG Sauer P226”だ!!!!!

 戦国時代、南蛮より由来した火縄銃はそれまでの日の本の戦を一変させたが、織田信長は火縄銃の欠点を見抜いてP226を導入するという先見の明で勢力を拡大していたわけだ。さすが信長様だ!

 試し撃ちをしていると武田クランの勢力が襲撃してきた! 信長様! こちらが攻め込むはずが先手を取られてます!! しかもこいつら刀も何も持っていない徒手空拳です! そのくせして「お前は侍ではない」、「刀を携えることはできても誉れはない」と煽ってくる! 誉れを浜に捨てることもできないのか!?

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 ちなみに戦国時代なのに刀は異常に弱い。武田クランの徒手空拳足軽なのか武士なのかよくわからない奴と正面から斬りかかってもふつうに負ける。こりゃ信長様が銃火器を採用するわけだ。ただその銃も弾数に限りがあるので無駄撃ちはできない。だがどういうわけか雑魚敵たちが現代の薬莢を落としてくれる。

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 あと回復アイテムも落としてくれるが、まさかのタピオカミルクティーだ。いや、緑色だからタピオカグリーンティーだろうか。なんという日本リスペクトッッ!

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 そして雑魚敵を倒すとボス敵“タケダジェネラル”が「武士道は血に刻まれている。貴様の血でつぎのページを記そう」とかっこいいセリフとともに現れる。しかし残念ながら“足場を乗り越える”という視点は彼の武士道になかったようで、あっさりとハメ倒せてしまう。武士道とはヘッドショットと見つけたり。

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足場を乗り越えられない武士道。
 このようにじつにバカゲーらしいゲームとして笑わせてくれるのだが、さすがにもうそう簡単には驚かないぞと思った1分後、新たな衝撃が待ち構えていた。

 訓練を終えた弥助は高天神城に向かうのだが、移動手段は徒歩でも馬でもない。

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 東海道新幹線だ!!!

 ちゃんと忍者が東海道新幹線って言っているから東海道新幹線だ!

 そうだった! 織田信長は東海道新幹線を使って桶狭間の戦いを制し、京都に上洛し、金ケ崎から逃げ延び、そして信長包囲網とわたり合っているのである。みんな日本史で学んだことだったね。

 新幹線のなかではなぜか突然エキサイトバイクが始まったり、『
Genji: Days of the Blade』というゲームの巨大なカニがボスだったり(こちらも日本の歴史に忠実と言いながら巨大なカニが現れた)、妙にゲーム文化への解像度が高い。

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 そして新幹線は目的地の掛川駅に到着するのだが、実際に掛川駅は高天神城の最寄り駅なので考証は非常に正確だ。

血と炎が踊る夜、戦場の闇を裂け

 掛川駅につくと信長が「高天神城は6年前に武田に制圧されたが、高天神城周囲に6つの砦を作り兵糧攻めにしている」とやさしい説明が入る。これは史実だ。織田・徳川連合軍が高天神城を奪還したのは1581年だが、これは“第二次高天神城の戦い”と呼ばれ1580年に開始している。そして、それから6年前に“第一次高天神城の戦い”で、徳川方は武田に高天神城を陥落させられた。バカゲーのくせに時代考証はちゃんとしているから困った。

 しかしバカゲーはここで異常なクオリティを発揮する。忍者から「各砦に豆腐を運んでから高天神城に向かえ」と指示されるのだが、移動手段はなんと自動車!

 “豆腐と自動車”と言ったら……

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♪FOREVEEEEEEEEEEER TOGETHEEEEEEEEEEEEEER

 まさかのトヨタ AE86(っぽいクルマ)の登場(※)。夜の峠を攻める
『頭文字Y』が始まるのだ。
※リリース日はまだクラシックなオープンカーのみだったが、翌日のアップデートで追加された。
 この直前に忍者がBGMのボリュームを上げてくることを推奨してくるのだが、ここは本当にボリュームを上げたほうがいい。まさかのユーロビート風オリジナルBGMでテンションを上げてくれるのだ! しかも忍者はBGMについて「著作権フリーだから配信でも安心していい」とお墨付きをしてくれる。なんてやさしいんだ。本作のBGMは公式チャンネルにアップしているのでぜひ一聴していただきたい。

弥助を襲う日本古来の伝統“イカゲーム”

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 この後も迷惑大物配信者や軽トラ合体ロボ、謎のSASUKE第2弾などなどさまざまな障害をクリアーしていくのだがこの後に最大の難敵が待ち構えている。それがまさかの“だるまさんが転んだ”だ。

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 掛け声にあわせて動き、だるまがこちらを見る前に止まるという誰もが知っているルールなのだが、Netflixドラマ
『イカゲーム』仕様なので動いてしまうと問答無用で撃ち殺されてしまう。

 ここでやっかいなのが弥助の慣性だ。しっかり止まったつもりでも慣性で動いてしまって銃撃されるという場面が何度もあった。だるまが2体並んで時間差で仕掛けてくる場面は思った以上に苦戦させられた。

 しかも、このゲームは死亡するとステージ開始地点に戻されるのでデスペナルティが重い。戦闘で死亡することはほぼないのだがステージギミックでやられることはたびたびある、
『Yasuke Simulator』は全体的にそういう傾向だ。

そこで史実再現する!?

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 度重なる障害を乗り越えた先に弥助はついに高天神城の天守閣に侵入するのだが、待ち構えているラスボスの岡部元信のグラフィックがまさかの一般ボス敵のタケダジェネラルの使いまわしという拍子抜けっぷり……ところがじつはこれは恐ろしく史実どおりなのだ。

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 実在した岡部元信も織田信長による兵糧攻めと武田勝頼からの援軍が見込めず、最後は残った兵力を集めて、徳川方に玉砕突撃をして討ち取られているのだが、じつは徳川方は岡部元信だと気が付かずに討ち取っており、戦後に岡部元信だったと気が付くというエピソードが残っている。つまり、
外見上は他の武将と同じにするという仕組みは歴史に忠実なのだ!

 どこまでもネタゲーかと思いきやところどころに歴史や地理に正しいユーモアを混ぜてくる。本気でふざけることで本物の愛を感じさせられてしまった。じつに厄介なゲームだよ、君は。

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 そんな
『Yasuke Simulator』は通常価格470円で、セール時は399円のセール価格となっている。1コインでこれだけのお笑いとネタと感動が味わえるならまちがいなく良質なゲームと呼べるだろう。歴史に名を残す伝説の侍の偉業を君も体験しよう。弥助の歴史にまた1ページ。
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集計期間: 2025年04月25日12時〜2025年04月25日13時