
ある日、目覚めると全身が“手”になってしまった者として悪夢のような世界をさまよい、狂気の世界に隠された真実を追求していく本作。実写を取り込んだ強烈なビジュアルが目を惹きますが、それだけではありません。
インディーゲームならではの尖った世界観を味わいたい人はもちろん、デッキ構築の要素を取り入れたターン制バトルで頭を悩ませ、戦術がうまくハマったときの喜びを味わいたい人にもおすすめしたい一作に仕上がっていました。
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エンディングまでに掛かった時間は12時間ほど。ストーリーの分岐も用意されており、やり込むならばもっと多くの時間を要することでしょう。なお、レビューのためにプレイしたのは発売前のバージョンなので、製品版ではゲームバランスや日本語ローカライズなどが一部異なっている可能性がある点はご了承ください。
悪夢世界に囚われた者の数奇な旅を描く“デッキ構築型RPG”
昨今のデッキ構築を取り入れたゲームというと『Slay the Spire』に代表されるローグライク作品が思い浮かびますが、開発者のZeyu Yang氏によると、本作はあくまで“カードゲーム×探索×ストーリーの融合”がポイントのRPG(2024年のBitSummitでインタビューした際の発言)。
いざ腰を据えてプレイしてみると納得。悪夢的ビジュアルのマップに表示されたアイコンをクリックするとある程度自由に探索できるゲームデザイン、そしてそれぞれの場所で表示されるテキストを中心とした演出により、プレイヤーはこの世界を“少しずつ深く知っていく”ことになるのです。
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ちなみにもしバトルで敗北した場合、コインが半分になるペナルティがありますが、再挑戦して勝利できれば取り返せるなど、“取り返しのつかない要素”はほとんどありません。物語を楽しむことに集中したい人のための低難度も用意されていますが、難易度ノーマルでも難しいゲームに苦手意識がある人も楽しみやすいのではないかと思います。
試行錯誤が楽しい、不気味なビジュアルを活かしたカードバトル
本作の操作はマウスひとつですべて完結。まず、山札から配られたカード3枚が画面右側に並び、ここに画面下側からドラッグ&ドロップすると"手"に持つことができます。手に持ったカードを、効果を行使したい対象にドラッグ&ドロップすると能力が発動。
1枚のカードを手に持てば、そのぶん画面右には新たなカードが1枚補充されるので、いったんキープしておいて次に配られるカードをチェックしつつ、効果の発動はここぞというときまで温存する、といった戦いかたもできるのです(次回以降のターンまでの持ち越しも可)。
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敵の本体は“上段”にいて、この本体が残っている限り、彼らは“中段”に新たな敵を生成し続けます。本体さえ倒せばその手前にいる敵も消滅するのですが、基本的に中段の敵を倒さなければ本体に攻撃は届きません。カードによっては中段を無視して上段を叩ける“遠距離攻撃”ができるものの、倒しきれなかった場合、無傷な中段の敵からの総攻撃を受け、心臓に致命的なダメージを食らってしまう可能性も……。
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このあたりの楽しさはデモ版でも味わえるのですが、プレイヤーがゲームに慣れるにつれて考えるべきことは増えていきます。新たな能力を持った敵が登場し、中段にさまざまな個体が並ぶと、どんな順番で叩くのが最適なのか、かなり頭を悩まされます。敵が持つ能力をしっかり読まずに攻撃すると、手痛い反撃を食らう場合も。
対抗するためには、プレイヤー側も自身を強化していかなければいけません。“顔”のパーツの組み合わせを変えれば、パッシブスキルや数ターンごとに使用回数が回復する特殊能力も入れ替えられます。強力な能力を持つパーツは引き換えに“心臓”の最大HPを減少させてしまうのでハイリスク。けれど、使いどころを見極められたら心強い味方になります。
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デッキに入れるカード・“顔”パーツによる能力付与・“手”のカスタマイズ。敵の強化にあわせて、これらを自分にあった戦いかたができるよりよい状態へと入れ替えていくのもまた非常におもしろいところ(ここには後述する“呪い”の影響も関わってきます)。
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こうした遊びの幅をさらに広げてくれるのがボス戦です。ボス戦というとゲームによっては相手のHPが異様に高くて長時間にわたって気が抜けず、ストレスが大きいものが決して少なくないのですが、本作ではふつうの敵よりも手強いものの、“性質”を理解すればそこまでの長期戦にはなりません。そのうえで、かなりユニークな“性質”を持っている者が多く、プレイヤーの頭をいい具合に悩ませてくれるのです。
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3種類の“思考”の選択と“悪夢レベル”による独自性
ゲームのいたるところで現れ、プレイヤーに語りかけてくる“論理思考”、“神秘思考”、“行動思考”という3つの思考傾向。これらはときとして選択肢という形で現れ、どれを多く選んだかによってゲームプレイやエンディングの分岐に影響を及ぼします。
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もうひとつ特徴的なのが“悪夢レベル”という要素。これはバトルをくり返すことで上昇していき、“敵が強くなる”、“敗北時にコインを多く失う”、“カードが呪いを受ける(一度に呪いを受けるカードが増える)”など、プレイヤーに不利なことが増えていくシステム。
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ちなみに筆者は「ずっと悪夢レベル最高を維持していればそれ以上カードが呪いを受けることもないのでは?」と思いついて試してみましたが、悪夢レベルの上昇とは無関係にカードはどんどん呪われていきました。呪いを最小限に抑えたい人は小まめにマッチを使って、呪いを受けるカードの枚数が少ない悪夢レベルを維持しておくのがよさそうです。
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