『ユミアのアトリエ』発表記念インタビュー。グローバルで受け入れられる次世代の『アトリエ』を目指し、いままでの“当たり前”を見直す
 コーエーテクモゲームス ガストブランドが手掛ける『アトリエ』シリーズ最新作、『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』。2024年9月2日に、同作の発売決定記念番組が配信され、発売日が2025年3月21日に決定したことが明かされた。新たに公開されたゲーム映像を見て、これまで以上のスケール感、そして重厚でテーマ性の強いドラマになりそうだと、期待に胸を膨らませているファンも多いはず。

 そこで本記事では、プロデューサーの細井順三氏のインタビューをお届け。ユミアを始めとする登場キャラクターや、
『アトリエ』の進化を感じられるポイントについてうかがった。細井氏の言葉から『アトリエ』シリーズが目指すものを感じ取ってほしい。
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細井順三氏(ほそい じゅんぞう)

コーエーテクモゲームス 『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』プロデューサー(文中は細井)

ユーザーのやさしさに甘えていた部分を超える“次世代の『アトリエ』”を目指す

――家庭用ゲーム機向けの『アトリエ』シリーズのナンバリングタイトルとしては、2023年3月発売の『ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』以来になります。『ユミアのアトリエ』の立ち上げの経緯からうかがえますか?

細井
『アトリエ』シリーズは、おかげさまで“秘密”シリーズ(ライザが主人公の3作品)で、世界累計出荷200万本を突破し、より多くの方に知っていただくことができたと思っています。これも応援してくださっているユーザーの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

 これを受けて、つぎのタイトルはどのように展開するべきかと、開発スタッフをいろいろと打ち合わせを重ねました。
『ライザのアトリエ3』の開発中盤くらいから、「つぎは、グローバルでさらに楽しんでいただける『アトリエ』を作る」という話が出まして、それが企画の始まりです。そして決めたコンセプトは、“『アトリエ』シリーズを、いままで以上にゲームとしてグローバルで受け入れてもらうこと”でした。

 つぎのナンバリングとなる新作では、ユーザーさんからのご意見なども含めて、キャラクターの魅力はもちろん、
『ライザのアトリエ3』で実装したオープンフィールドのさらなる拡張と、アクション要素を強めた戦闘システムを採用して、グローバルのゲームファンによりアピールすべきと考えました。

 ただ一方で、
『アトリエ』シリーズをアクションに舵を切ったゲームにすればいい、とは思っていません。“次世代の『アトリエ』”を目標に、“グローバルで受け入れられる変化と進化”を目指して作っています。また、もうひとつのコンセプトとして、これまで「『アトリエ』シリーズだから、これでいいよね」と、我々として大きく見直していなかった部分をすべて見直すというものがあります。開発チームには、ディレクターとともに「『アトリエ』を作るのではなくて、“RPG”を作るのだと考えて」と伝えています。

 これは
『アトリエ』らしさを捨てるということではなく、「ほかのRPGと比べると不足しているけど、『アトリエ』シリーズならこれくらいでいいよね」という、ユーザーさんのやさしさに甘えて許容されていた部分を全部見直すということです。

――なるほど。それが“次世代の『アトリエ』”につながるわけですね。

細井
 はい。たとえば調合に関して言うと、“効果”や“特性”などは、「『アトリエ』シリーズでは長らくこういうルールだったから、プレイヤーの皆さんももちろんわかりますよね?」と考えて仕様を決めていたところがありました。『アトリエ』に慣れていないユーザーさんにもたくさん遊んでいただける、グローバルに受け入れられるゲームを目指すにあたって、そういった部分を変えていく必要があると考えました。世の中には『アトリエ』シリーズを知らない方がたくさんいらっしゃるので、そういったユーザーさんでもしっかりと楽しめるゲームを開発していくべきだと。

“記憶と心はどこが違うのか?”という実体験から生まれた重厚なシナリオ

――本作のテーマは“記憶”で、ユミアたちは記憶と向き合い迷いながらも信じる道を進む、とあります。たとえば物語上で決断する場面があり、それにより展開が大きく変わることはあるのでしょうか?

細井
 冒険の大きな目的が変わるものではありませんが、展開に変化が生まれる選択は用意しています。あとはいくつかのルートが用意されていて、どちらのルートから進めてもいいような場面もあります。じつは『ライザのアトリエ2』でもそういったルート選択の自由を用意していたのですが、あまり気づいてもらえなかったようで……(苦笑)。Aルートの途中まで進めたらBのルートが出現する仕組みだったので、その段階からBに入るという方がほとんどいませんでした。ですので、今回はもっとわかりやすくルートを選べるようにしています。

――ストーリー紹介に関するテキストを見ると、“滅び”、“禁忌”といったキーワードがあり、シリアスな物語が展開しそうな印象を受けました。『アトリエ』シリーズといえば、“ほんわか&コミカルなノリ”も魅力のひとつだと思いますが、そういったテイストは本作でもあるのでしょうか?

細井
 ほんわかと言いますか、ハートフルな部分は残しています。ただ、歴代の『アトリエ』作品の中でも、シリアスに寄った『アトリエ』になっていると思います。

――今回、シナリオはどなたが書かれているのですか?

細井
 開発チームのシナリオライターがプロットを担当し、それをもとに、複数スタッフが議論をしながら完成させていきました。プロットができたところで、「では今日は、第一章の読み合わせをします」という感じで、アニメの台本を作るような流れで進みました。

――“成功も失敗もすべての記憶が未来への糧となり、その人を形作る”など、過去作ではあまり見られない、人のありかたに関するテキストもありますね。

細井
 今回のテーマに関しては、「記憶って、そもそもなに?」という部分から入りました。たとえばですが、何らかの要因で記憶障害が発生したとします。それで当人の記憶がなくなったとして、“その人がその人でなくなったと言えるのか?”と。

 当人を知っている人からすると、その人が知らない人になったわけではない。でも相手は、こちらを覚えていない……。人や物を形成するのは記憶なのか? それとも、身体的な要素なのか? ということから着想しまして、本作では“記憶と心はどこが違うのか?”ということを描こうと思いました。

――これまでの『アトリエ』シリーズの流れを踏まえると、本作も“不思議”シリーズや“秘密”シリーズのように、シリーズ化されるだろうと予想できますが、いかがでしょうか。いままでのルールにのっとって考えれば“追憶”シリーズとなりそうですが……。

細井
 『ユミアのアトリエ』のシリーズ化については、今後の皆さんの反応次第になります。“秘密”シリーズも皆さんからの反応次第ではありましたが、シリーズ化するとしたら、ライザが主人公を連続して務めることは事前に決めていました。ただ本作に関しては本当に決めていません。気が早いですが、もし続編を作るとなったとして、ユミアを主人公にするかどうかなどは、今後検討していくことになります。

キャラクターデザインを務めるのはべにたま氏

――キャラクターデザインはイラストレーターのべにたまさんが担当されていますが、べにたまさんに依頼した理由は?

細井
 新作でグローバルな展開を見据えるうえで、キャラクターとイラストに関しては、キャッチーでありつつ、リッチさのあるテイストがいいと考えていたんです。べにたまさんは、そういったタッチで描いていただける方だと思い、お願いする運びになりました。じつは、“秘密”シリーズでキャラクターデザインを担当したトリダモノさんが、べにたまさんとお知り合いでして。トリダモノさんに「いつか、べにたまさんに仕事をお願いしたいな」と話したりしていたら、ある日、「細井さん、べにたまさん、いまならオファーできますよ!」と、トリダモノさんからご連絡をいただきました。

――トリダモノさんがおふたりをつないでくれたんですね。べにたまさんは以前、『アトリエ』シリーズのファンアートを描いて、Xで公開されていました。

細井
 ソフィーがお好きらしく、私もそのイラストを拝見していました。
――『マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~』でもべにたまさんがイラストを手掛けていましたが、これはどういった経緯で?

細井
 まずは『ユミアのアトリエ』のキャラクターデザインをお願いしたのですが、『ユミアのアトリエ』の開発期間は想定以上に長くなりそうでした。その間に『マリーのアトリエ』をリメイクするという話が進んでいき、べにたまさんが『マリーのアトリエ』もお好きだとお聞きしていたので、それであればぜひ『マリーのアトリエ Remake』も……とお願いしました。

――キャラクターの塗りかたは、『マリーのアトリエ Remake』と『ユミアのアトリエ』では違いますね。
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細井
 『マリーのアトリエ Remake』では、オリジナル版を意識して描かれていました。『ユミアのアトリエ』のほうが、本来のべにたまさんの志向性が強く出ているイラストになると思います。

 とはいえ、
『ユミアのアトリエ』制作中は、べにたまさんも試行錯誤されていた部分もあり、なかなかイラストが「これだ!」というものにならなかった時期もありました。たとえば、キャラクターの立ち絵。プレイヤーにとっての第一印象を決めるものであり、ずっと使い続けていくものですから、我々も絶対に妥協できません。調整に時間はかかりましたが、肌や衣服の陰影がしっかり出るようにするなど、イラストの情報量を増やす作業にかなり力を入れてもらい、いまの形になりました。

――立ち絵を見ると、細部からそのこだわりと苦労が伝わってきます。では、キャラクターに関して、デザイン面でこだわった部分などを教えていただけますでしょうか。まずはユミアですが、黒髪の主人公は珍しいですね。
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細井
 確かに、黒髪はあまりいないかもしれません。ユミアは、カラーの軸を白黒とすることはけっこう早い段階で決まっていました。ただ、デザインのディテールがぜんぜん決まらなくて……。アイラのデザインは早い段階で決まっていたのですが、デザイン途中のユミアと完成したアイラを並べたときに、アイラのほうが『アトリエ』シリーズの主人公感が強くなってしまったんです。

 そこから、「ユミアの主人公感をどうやって出すか」という微調整を、それこそ30、40回くらいくり返して固めていきました。先ほどお話しした通り、より多くの人にグローバルで遊んでもらうRPGにするには、新しくて、かつ受け入れやすいデザインの主人公が必要でしたので、いろいろ悩みまして……その結果、自立した強い女性であるところと、足技を使うという、カッコよさを重要視した方向性のデザインにした形です。

――ライザは太ももが印象的でしたが、ユミアはすらっと長い脚に目がいきますね。

細井
 ユミアは、どちらかといえば現代的なデザインに寄せていきました。足技が映えるようにしたいというのも、こういったデザインにした理由のひとつです。

――ユミアが履いている靴のヒールが、壁ジャンプで着地するときなどに光るのも印象的ですね。では、ほかの仲間たちについてもお聞かせください。

細井
 ヴィクトルに関しては、いままでの『アトリエ』シリーズにあまりいないタイプの正義漢にしたいと考えました。わかりやすくたとえるならばマーベル作品のキャプテン・アメリカですね。ヴィクトルの妹のアイラは、人懐っこい性格で、兄のことも好き。デザインはいままでの『アトリエ』感がありますね。堅いヴィクトルとはタイプが分かれています。
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 ニーナはいろいろと謎が多いキャラクターです。ストレートに、アサシンのようなデザインにしたいと意識しました。

――妖艶な雰囲気もあり、かなり秘密が多そうですね。

細井
 6人の中でも、けっこうな秘密を抱えたキャラクターかもしれません(笑)。ルトガーは、いままで『アトリエ』にいないタイプのデザインですね。彼もまた相当な過去を持っていますが、それが見えてこないようなデザインにしています。ルトガーのデザインはかなりスムーズに決まりましたね。
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 最後にレイニャですが、この世界にはいくつかの種族が存在しており、その系統のひとつ“亜人種”として、彼女の種族である“ウェルクス”が存在しています。ほかに登場する種族とは違う方向性で、デザインを考えました。
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――“ウェルクス”は別種族から特別視されるような存在なのでしょうか?

細井
 いえ、とくにそういうことはありません。

――ほかに、キャラクターに関して意識したことはありますか?

細井
 今回は“可変するキャラクター”を意識しています。

 たとえばユミアならば、必殺技を発動する際、稼働領域を増やすためにスカートのボタンを外します。このように、キャラクターを動かした時に、何かしらの変化が生まれるようにして、そこにも楽しさを感じていただけるキャラクターのデザイン・設定を目指しました。

 ちょっとした差異でキャラクター性や、キャラクターの行動理念が伝わる要素を入れたく、ユミア以外にもそういったギミックが入っています。

――つぎに、パッケージイラストについてうかがいます。主人公のユミアだけがこちらを向いていますが、この絵の注目ポイントを教えてください。
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細井
 ユミアは錬金術士だった母親への想いが非常に強いです。その想いを抱きつつも、未来に向かっている……という心情を描きたくて、遠景は明るくして、手前はあえて暗くしました。未来に向かう仲間たちは正面を向いていて、その中で、ユミアは大切なもの(母親)を振り返っているから、こちら側を見ているというかたちです。

 発表時に公開したティザーイラストはユミアひとりでしたから、こちらのイラストとはだいぶ印象が異なるのではないでしょうか。
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――バトル参加キャラクターは全部で6人とのことですが、最初から6人そろった状態で冒険が始まるのでしょうか?

細井
 いいえ、最初のほうは基本的にユミア、ヴィクトル、アイラの3人です。その後、物語が進むとメンバーが加入していきます。この世界では錬金術は禁忌の存在で、それを扱うユミアは危険視されています。そのお目付け役としてヴィクトルとアイラが同行しますので、基本的にはヴィクトルの指示を聞きながら冒険を進めていく流れになります。

 ユミアの錬金術は、文明が滅びた大陸を調査するには必要なもので、それに頼らざるを得ない状況にあるということが、物語冒頭では描かれます。

――では、調査団にとってユミアは扱いづらい存在?

細井
 最初は錬金術や錬金術士に対して何も理解がない状況ですので、ヴィクトルたちは危険人物(ユミア)を預かっているわけです。当然のことながらユミアとの間に障壁のようなものは存在します。序盤は、ユミアは危険人物扱いを受けており、だいぶ冷たい目で見られますが、そこから徐々に打ち解けていくところは見どころのひとつです。ちなみに、アラディス調査団であることの証として、ユミアたちは皆、赤いバンダナを身に着けています。こちらはべにたまさんのアイデアです。

――共通する装備品があると、パーティの統一感が出ていいですね。

細井
 このバンダナは、スペシャルコレクションボックスの同梱グッズにもなっていますので、ぜひお買い求めください(笑)。

錬金釜がまさかのリストラ!? 進化を遂げたゲームシステムのアレコレ

――『ライザのアトリエ3』ではオープンフィールドでの冒険が楽しめますが、本作でもオープンフィールドを駆け巡れるようです。『ライザのアトリエ3』と比べ、異なる点や進化した点を教えてください。

細井
 大きな違いは、全体的なスケール感が増した点です。『ライザのアトリエ3』は、複数のフィールドを数珠つなぎにして、大きなフィールドを形成している部分が多くありましたが、本作ではひとつの大きなオープンフィールドを360度冒険できます。さらに、高低差のあるフィールドをストレスなく移動できることも特徴で、フィールド上の密度もかなり意識しました。ユミアの銃を使って障害物を破壊するギミックを用意したりもしていますので、これまでとはまったく異なる感覚で遊んでいただけると思います。
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――新システムとして、フィールドでアイテムを作る “略式調合”と、拠点となる建物や家具を作る“ハウジング”がありますが、これらはどういったねらいで実装したのでしょうか?

細井
 略式調合は、フィールドをストレスなく冒険するための便利機能です。これまで、探索にとあるアイテムが必要となった場合、一度アトリエに戻って調合する必要がありました。略式調合を利用すると、その場で作れるので、アトリエに戻る必要がありません。先ほど、ユミアが銃で障害物を破壊するギミックについて触れましたが、その時に使う銃弾を略式調合で用意できます。
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 ハウジングは、調合でアイテムを作るほかにも、もっとユーザーさんが個性を出せる要素を用意したくて導入しました。ですので、ぜひ、我々が考えられないようなアイデアをハウジングで見せていただきたいです。ハウジングに関しては“楽しく・個性的に”遊んでいただけるように割り切って考えていて、ゲームの世界観には基づいていないデザインも導入しています。

――となると、現代風や、和風のようなデザインの家具なども登場する?

細井
 そうですね。建築のルールも厳密には定めておらず、たとえば、ベッドを空中に浮かせて設置したりもできます。ゲームの中で、「なぜハウジングで建物を建てる必要があるのか」という理由は説明されますが、「理由に合わないデザインだからナシ」といったことはありません。ハウジング要素が好きな方には、自由度が高い遊びで喜んでいただけるのではと思っています。一方で、「ハウジングは手間だ」と感じる方もいらっしゃると思いますので、プリセットの建物も用意しています。
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――ハウジングで作る建物が、調合を行ったり、アイテムの在庫を置いたりする“アトリエ”になる、という認識で問題ないでしょうか?

細井
 イメージ的にはそれが近いですね。ただ、どこでも自由にハウジングが可能というわけではありません。フィールド上に、ハウジング可能なエリアがいくつかある形です。

――そうなると、略式調合ではない、本格的な調合はアトリエにある錬金釜で行うわけですね?

細井
 じつは、本作の調合では錬金釜を使わないんです。

――え!? それは驚きです。

細井
 歴代作品のように、ひとつの場所を拠点にして活動する場合は、アトリエに錬金釜を置いて、そこで調合を行うのは自然ですが……本作のように、さまざまな場所を調査して巡っていくゲームデザインの場合、錬金釜の存在が合わないんです。そこで思い切って、錬金釜は登場させないことにしました。

 とはいえ、『アトリエ』シリーズなのに錬金釜がないのもさみしいので、ユミアに錬金釜をモチーフにしたデザインのバッグを背負わせて、そこから調合のレシピを取り出すかたちにしています。
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――『アトリエ』シリーズの象徴でもある錬金釜を“ぐーるぐる”できないのは、シリーズファンとしてはさみしいので、そういったアイデアはうれしいですね。もしシリーズ化したら、つぎの主人公がこのバッグを背負うのもありですし。デザインもかわいいし、グッズ化するのもよさそうです!

細井
 リクエストがあれば、ボディバッグとか、バックパックなどになるかもしれませんね(笑)。

――つぎに戦闘についてうかがいます。本作は“秘密”シリーズのようにリアルタイム制を採用しているのでしょうか?

細井
 はい。“秘密”シリーズでは、“ターン制RPGを、アクションっぽく感じてもらう”ゲームデザインでしたが、本作は、“ほぼリアルタイムで戦うアクションを、RPGに持ってくる”というシステム設計になっています。敵の範囲攻撃を移動して避けるなど、これまでよりアグレッシブな戦いができるのが大きな特徴です。とはいえRPGとして、“移動はできるけれども、移動しなくても楽しめるバトルを作る”ということは念頭に置いています。

――アクションが苦手な人でも問題ないバランスになっていると?

細井
 その点はご安心ください。
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――アクションの色を強めたのも、やはりグローバル展開を見据えてでしょうか?

細井
 グローバル市場かつ、コンシューマーゲームにおいてはターン制のコマンド式RPGは主流でありませんが、我々もターン制RPGのおもしろさは理解していますし、『ソフィーのアトリエ2』などは、その方向性での最新作でした。ターン制RPGはもうやらないということではなく、いずれまた、そのおもしろさを別の形で表現していきたいと思っています。

――ガストブランドは30周年を迎えましたが、ガストブランドの中で、『ユミアのアトリエ』はどういった位置づけの作品になりますか?

細井
 本作はガストブランドの家庭用ゲーム機作品において、最大規模で開発しているタイトルです。国内外でたくさんの人に遊んでいただき、「やっぱり、RPGは『アトリエ』シリーズがいいよね」と言っていただけるような作品にしたいですね。そうすべく、現在全力で開発に取り組んでいます。

――では最後に、発売を待つファンに向けてメッセージをお願いします。

細井
 こうして『ユミアのアトリエ』を発表できたのは、これまで『アトリエ』シリーズを遊んで、応援してくださっているみなさんのおかげです。いつもありがとうございます。くり返しになってしまいますが、たくさんの方にプレイしていただき、より多くの方に『アトリエ』シリーズを知っていただけるような作品にしたいと思っています。世界中の皆さんに楽しさをお届けできるゲームに仕上げて参りますので、これからも『ユミアのアトリエ』『アトリエ』シリーズをよろしくお願いいたします。
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