全世界規模で人気を博するオープンワールドRPG、 『The Elder Scrolls』 (エルダー・スクロールズ)シリーズ初のオンラインゲームとなる『 The Elder Scrolls Online 』(エルダー・スクロールズ・オンライン、以下 『ESO』 )。 『ESO』 は2014年4月よりサービス開始された。国内ではPC向けの日本語版がDMM GAMESのサービスで2016年から始まり、2023年にはプレイステーション5(PS5)/プレイステーション4(PS4)/Xbox Series X|S/Xbox One向けの日本語版が、ベセスダ・ソフトワークスより発売。2024年に10周年を迎え、いまでは全世界で2100万人を超えるプレイヤーが 『ESO』 を楽しんでいる。
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そんな 『ESO』 の今後の展開などを紹介する“2025 ESO DIRECT”が2025年4月10日にYouTubeやTwitchで配信された。本稿では、この配信に先駆けて行われたメディア向けのデジタルイベントで発表された内容を、開発陣によるQ&Aも含めて紹介しよう。
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2017年のサービス開始から毎年、1章ずつチャプターがリリースされ、2024年6月には8つめの新チャプター 『黄金の道(Gold Road)』 がリリースされた。しかし、今後は年に一度の大規模なリリースを行わず、ベースゲームを豊かにする新コンテンツやゲームプレイシステムを届けて新旧のプレイヤーが楽しめるものにする方針であることが明かされた。ベースゲームに関しては、チュートリアルの刷新、スターターが降り立つ舞台のグラフィックのアップデートなどが実施される模様。
もちろんゲームが今後も長く新鮮で、現代的なものであり続けるよう、テストや新たなアイデアに焦点を当てたアップデートは実施していくとのこと。今回のイベントでは“シロディールの勇者”の進捗、PC版のUIの改善やパッチャーの更新なども予定されていることが発表されている。
ベースゲームのブラッシュアップ まず、タムリエルでの冒険になじみがない、もしくは久しぶりというプレイヤーに向けて、報酬などもついた“歓迎機能”のようなものを実装したチュートリアルが今年の夏に実施される予定だ。 また、6月のアップデートでスターターゾーンのグラフィックが更新予定。具体的には明るさや水の表現などが強化され、ブリークロック島、バル・フォイエン、ストロス・エムカイ、ベトニク、ケナーシズルーストに対してライティングの改善、地面と水のテクスチャー向上、構造物のアップデート、がらくたや小道具の追加などが施される。
スターターゾーンで展開される“虫の教団”(Worm Cult)ストーリーでは、6月に新しい局面が訪れる。残忍と支配のデイドラ公“モラグ・バル”とその信徒である“虫の教団”が盗んだ魂をプレイヤーたちが取り戻し、ニルンがコールドハーバー(※)に取り込まれることは阻止された。
※オブリビオンの世界で、モグラ・バルが統治している。 しかし、報復を誓う“虫の教団”が復活。プレイヤーは邪悪なことが起きている新しい島“ソルスティス”へ渡ることになる。 この新しい物語は、タムリエル南岸沖にあるソルスティスで始まる。ソルスティスには興味深い歴史とスタイルがあり、さまざまなクランから疎外されたアルトマー(ハイエルフ)とアルゴリアンを中心に、多くの種族が住んでいる。この島の西側はカリブ海のような風景が広がり、熱帯雨林もある風光明媚な場所だ。 島の中心にある港町・サンポートは、コレラニアのエルフと潮の子(初登場の部族)のアルゴニアンが協力して取り仕切っている。おかしな組み合わせと思われるが、その理由は物語を進めていけば徐々にわかるそうだ。
新しい指導者“ワームブラッド”が率いる“虫の教団”は島に基地を作り、恐るべき計画のために島民の魂を奪っている。プレイヤーはそんな“虫の教団”と対峙しながら、デイドラの遺跡に隠された謎を、1年を通して解明するという深いストーリーが展開する。アルゴニアン・ベヒーモスや石のアルゴニアン、新しいタイプのデイドラなどの新規モンスターも登場するとのこと。
また、サンポートを解放するための包囲戦が始まる際には、最終的な拠点を得たプレイヤーの味方として、この10年のストーリーに登場したキャラクターたちが現れる模様。イベントで明かされただけでも、ラズム・ダー、スコルド、ガブリエル、ヴァヌス・ガレリオン、アザー王子といったそうそうたるメンツが揃うようだ。 今後は1年をかけてシーズンごとにさまざまなアップデートを実施。テーマに沿ったストーリーコンテンツやダンジョン、イベントが予定されている。
さらに、今夏には新しい取り組みが実施される。それはサーバーにいるプレイヤー全員に、リアルタイムで同じストーリーに参加してもらう一大イベントだ。 ソルスティスの島は、魂のコンクリートで作られた巨大な“苦悶の壁”で二分されている。この壁を、プレイヤーどうしで協力して西側から東側に突破することが目標だ。プレイヤーたちは“虫の教団”の侵略を防ぐスティルク連盟に参加し、味方の野営地を守り、防備を改善し、壁を崩壊させる武器を作ることになる。 なお、壁を突破した後もストーリーは展開し、後半は年末にリリースされる予定。東ソルスティスは熱帯の楽園ではなく、色鮮やかな西側とは対照的な世界に。ここでプレイヤーは“虫の教団”が無限とも思える軍隊を維持できる秘密を探る。 開発者Q&Aでは、「この“苦悶の壁”イベントは1回限りのものとなるが、参加できなかった場合でもほとんどの部分をプレイできる方法を用意する予定」と説明された。
シロディールの勇者 大規模なテストが実施された“シロディールの勇者”。これは、プレイヤーが同じアビリティを使用することで、ゲーム経験の有無に関係なく大規模なPvPを楽しめるコンテンツだ。 シロディールはPvP専用ゾーンであり、プレイヤーたちはこの舞台で資源や砦を巡って争い、皇帝の座を目指す。テストの結果は上々だったそうだが、ラグなどのパフォーマンスの問題を改善し、プレイヤーにとって 『ESO』 初期のような楽しいクレイジーさを取り戻すことが今後の目標となるとのこと。
サブクラス キャラクタービルドの自由度を上げる施策として“サブクラス”の機能が実装される。 これは、ほかのクラスのスキルラインを自キャラクターに使用できるようになるもの。これまでは7つのクラスからひとつを選び、自キャラクターを作成してきた。そのため、ほかのクラスのスキルラインを使うためには、新しいキャラクターを作る必要があった。 しかし、これからは自キャラクターがレベル50に達すれば、ほかのクラスのスキルラインが解除され、追加できるようになる。これでスキルラインの組み合わせは3000通り以上になるそうだ。
ただし、Q&Aでは「 ひとりのキャラクターですべてのスキルラインを使えるのか?」という問いに対し、「習得したすべてのラインを持つことはできるが、すべてのラインにあるアビリティは持てない。プレイヤーは少なくともひとつのクラスラインをキープしなくてはならない。クラスは重要であり、そこには一定のアイデンティティが伴うからだ。しかし、ほかのクラスからふたつのアクティブなスキルラインを持つことは可能で、アクティブなスキルラインからのみアビリティを選ぶことができる」と説明された。
一方で、サブクラスのラインでは必要なスキルポイントが2倍になるとのこと。また、ネクロマンサー、ウォーデン、アルカニストについては、スキルをアンロックするためにはこれらのクラスを所有している必要があるようだ。とはいえ、ひとつのキャラクターしか持っていない場合でもほかのクラスのスキルラインを訓練して学習できるこの機能で、最初からゲームをやり直すことは不要になったのは大きい。
コンテンツパス 2025年に1年間を通してリリースされる全コンテンツをセットにしたものが、コンテンツパス。これを持っていれば、アップデートでリリースされたコンテンツ(ダンジョンや“虫の教団”シーズンのパート1・2、ゲーム内イベントなど)をすぐに入手して遊べるようになる。 なお、プレミアムメンバーシップ“ESO Plus”のメンバーは、これまで通りに追加DLCをプレイできるのでご安心を。
第46弾アップデート 6月の第46弾アップデートでは、12人用の試練となる“オセインの檻”が実装される。 コールドハーバーにある巨大な宝物庫の“オセインの檻”には、強力なデイドラの遺物がある。モラグ・バルのデイドラも遺物を狙っているので、宝物庫に潜入し、ドロラス・シスタの破壊を目指すものとなる。
デジタルイベントで公開された主要な情報は以上となる。Q&Aでは、「これまでに証明してきたように本作をしっかりサポートし、楽しい要素を加えていく。新たなDLSSもサポートしており、ゲームエンジンの大規模な改善はないかもしれないが、GPUの新フィーチャーを少しずつ加えている。 コンテンツのボリュームも同様で、“苦悶の壁”イベントはスケール、サイズ、プロダクション・バリューという意味で最大の規模だ。新しいゾーンがなくても、1年は遊べるようクールなことをたくさん用意している。サブクラスなども含めて、新規だけでなく復帰プレイヤーも容易に遊べるようなものにしていく」と明言された。
10年という年月をかけて積み重ねられた膨大なコンテンツに、新規のプレイヤーは気後れしてしまうかもしれないが、それだけのボリュームを誇る 『ESO』 は長く楽しめるオンラインRPGということにもなる。チュートリアルも含めて新人冒険者にもフレンドリーになるようなので、ぜひ参加して、“苦悶の壁”に挑んでみるのはいかがだろうか。
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