2024年9月26日~29日に開催された東京ゲームショウ2024。本稿では、アニメ調の見た目と独特なシステムで注目を集めるシューティングゲーム『 Strinova 』(ストリノヴァ)のプロデューサー&運営リーダーインタビューとブースレポートをお届けする。 『Strinova』 は5対5で対戦するTPSで、プレイステーション5(PS5)、PC(Steam)、Android、iOSでリリース予定。“超弦体”と呼ばれるキャラクターが“弦化”することで紙のようにペラペラになれるのが特徴だ。銃撃に当たりにくくなるだけでなく、壁に張り付いて移動、空中を滑空できる。 VIDEO
※本記事はIDREAMSKYの提供でお送りします。 『Strinova』インタビュー:弦化システムで豊富なゲーム体験が実現。リリースは第4半期(10~12月予定) 左がプロデューサーのALAN氏、右が運営リーダーのTEN氏。
――まず、はじめに『Strinova』制作の経緯をお聞かせください。
ALAN
アニメとシューティングを融合させたゲームを作りたかったというのが理由のひとつとなります。開発当時は、本作のようなシューティングゲームだと『 Call of Duty 』シリーズのような写実的なゲームと、『 Apex Legends 』や『 Fortnite 』のようなアメコミ調のゲームが主流で、まだ日本のアニメ調のTPSはありませんでした。 TEN
私たち開発チームは全員アニメとシューティングゲームのファンで、2019年にチームを組みました。 ――開発チームのかたがたはシューティングゲームのファンということですが、どのくらいプレイされているのですか?
ALAN
我々のチームはシューティングゲームの開発経験が16年以上あり、『 Call of Duty: Mobile 』、『 PUBG MOBILE 』、『 荒野行動 』に携わってきました。プレイ自体は私を含めて全員5000時間以上はあるかと思います。 若手のメンバーは『 VALORANT 』などをプレイしており、なかには中国の大会で上位に入った者もいます。プロゲーマーのかたとの交流も大事にしていまして、この前もプロゲーマークラブの選手たちと対話して、いただいた意見をゲームの開発に取り入れました。 ――本作のセールスポイントはどのあたりになりますか? ALAN
“弦化システム”によって3Dと2Dを自由に切り替えていくバトルが、これまでのシューティングゲームとは大きく異なります。豊富なゲーム体験ができるのが 『Strinova』 の特徴であり、制作の理由にもなっています。
TEN
ペラペラになれる弦化システムを通して壁に張り付いたり、空をグライディングしたり、弾を避けたりすることができ、それを使った攻防が生まれます。通常のシューティングの場合、敵に忍び寄ったり、隠れたりするときはスローテンポになりがちですが、弦化システムによって近づきかたや隠れかたに新たな選択肢が生まれ、より自由に遊べるシューティングゲームになりました。
――硬派なシューティングというよりも、気楽に遊べるカジュアルなシューティングを目指しているのでしょうか。
TEN
初心者はカジュアルで遊びやすく感じてもらえるようにしていました。ただ、それだけではなく、競技性も高い仕組みになっています。 ――『Strinova』はどのような層に遊んでほしいのでしょうか?
ALAN
キャラクターのスキルと銃の使いかた、弦化システムを組み合わせることで、さまざまな展開を多くのユーザーに楽しんでいただきたいと思います。シューティングゲームが好きな方はもちろんですが、あまりシューティングを遊んだことがなくてもアニメ調のキャラクターの見た目が気になっているかたにもプレイしていただきたいです。いろいろなかたがいっしょに楽しんで、つながっていくようなゲームにしたいという目標のもとに 『Strinova』 を開発してきました。 ――弦化システムでペラペラになって弾を避けられるので、ほかのシューティングゲームよりもやられにくい印象があります。これは意図的にデザインされたのでしょうか。
ALAN
そうですね。伝統的なシューティングはエイミングの精度が重要で、1発でやられてしまうこともあります。それにネガティブなイメージを持つかたもいますよね。私たちは楽しく遊んでいただけるゲームを作りたいと思っており、 『Strinova』 ではエイミングスキル以外にもキャラクターの操作やスキルも活用し、戦術の幅を広げています。
――弦化システムによってゲームバランスが大きく変わると思いますが、その部分の調整はどうされたのでしょうか。
ALAN
その問題はチームの役割に関わってくると思います。本作では、敵の位置情報を察知して攻撃の機会を作るイニシエイターや、防御陣地を築いてエリアを確保するセンチネルといった役割があります。 たとえば白墨(ハクボク)やマダレーナといったキャラクターは、相手に弦化禁止を付与することが可能です。また、壁を作り出したり、移動速度を低下させたりするスキルを持つキャラクターもいて、そこで弦化システムとのバランスを取っています。 シューティングゲームのオーソドックスな基本システムに、弦化システムを加えて調整したという形ですね。
――現状でのゲームバランスの調整についてお聞かせください。
ALAN
『Strinova』 はキャラクターを中心に考えていまして、キャラクターの性格に合わせて武器やスキルを作り上げています。武器にはさまざまなものがあり、現状ではアンバランスな状態になっている部分もあるかと思います。 その問題は、キャラクターのスキルに合わせて銃の特性を強化していくことで改善していく予定です。射程距離が短い銃を装備しているキャラクターは機動力を高くさせるなど、武器の弱みをスキルでも補っていけるようにします。 ――キャラクターの違いによって多彩な戦い方が生まれそうです。
ALAN
従来のシューティングゲームだと武器がメインになってしまいがちなのですが、本作はキャラクターが中心に制作していますの。好きなキャラクターを活かしたバトルを楽しんでいただきたいです。
――本作にはチームデスマッチ、デモリション、エスコートの3つのモードが収録されていますが、それぞれの特徴を教えてください。
ALAN
チームデスマッチはクリアーまで5分から8分くらいを想定しています。このモードでは銃の使いかたを習得してほしいという意図がありまして、一部のスキルが制約されています。 爆弾の設置と解体で攻防を繰り広げるデモリションは10分から長くて20分のバトルを想定していますが、できるだけ10分以内を目指してクリアーしてほしいです。 エスコートの想定時間は約10分です。車両の護衛とその阻止を目標とするだけあって、チームワークがとても大事になっています。 ――今後モードの追加の予定はありますか?
TEN
10月10日から開催予定の第2回βテスト(Superstring Test)では、PC版のみチームアリーナとデモリッションの一般モードが追加されます。チームアリーナは7対7の対戦です。一般モードのデモリッションはランクに影響するデモリッションよりも短く、気軽に楽しめるものです。それ以外にも新しいスキンやストーリーを開放する予定です。
――第1回のβテストをプレイされたユーザーからの反響も教えてください。
TEN
6月のβテストでは、日本のユーザーのかたからアニメ調のグラフィックとシューティングの融合について高評価をいただいきました。 弦化システムも斬新だと評価してもらえました。オンラインFPSの『 ペーパーマン 』に似ているというコメントもありましたね。 ――本作のストーリーや世界観の見どころについても教えてください。 ALAN
地球が危機に襲われて、人類は“ストリノヴァ”という世界へ移住しています。そこで遺伝子が変化して人間が超能力、つまり弦化できる弦体になったんですね。一方、人々は新たな脅威である“崩壊症”という病気に襲われています。 本作では、ストリノヴァに留まって支配を続けたい“P.U.S”、地球への帰還を目的とする“シザース”、技術を使って新次元を開拓したい“ウルビノ”という3つの大きな勢力があります。とくにシザースとP.U.Sは衝突をくり返しています。 ――現段階でも多くのキャラクターが登場していますが、最終的に何人くらいのキャラクターを操作可能になるのでしょうか。
TEN
現状はキャラクターが15人いて、10月10日からの第2回βテストでは変わらず、OBTで17人に増やす予定です。正式リリース後は1ヵ月にひとりずつ増やしていきます。 ――キャラクターたちが所属する勢力も増えますか?
TEN
しばらくは現状の3勢力のなかでキャラクターを出していく予定です。 ――キャラクターのビジュアルでこだわったところを教えてください。
TEN
アニメ調のゲームはたくさんありますが、とくに本作は日本のユーザーの好みに近いデザインになっていると思います。また、学生服やメイド服など、いろいろなテーマで作ったキャラクターのスキンも特徴です。
――日本語版のローカライズについてと、声優さんをどのように選んだかを教えていただけますか。
ALAN
まずローカライズですが、日本語に詳しいプロの方々にチームに加わっていただいております。声優さんに関しましては、声とキャラクターの性格が合うかどうかのマッチングを大事に考えています。声優さん選びではリソースが豊富なKADOKAWAさんから大きなサポートをいただきました。 ――現在人気のキャラクターがあれば教えてください。
TEN
第1回βテストで人気だったのは星理恵、ミシェル、フューシャ、フラヴィア、香奈美です。
――今後、キャラクター同士の物語のムービーの制作や、ショートアニメ配信などの展開はあるのでしょうか?
TEN
実際にキャラクターを作るとき、キャラクターたちの関係性や過去について設定を考えています。展開についてですが、中国ではマンガの連載が始まりました。日本語版のリリース時には、日本のマーケットでも導入する予定です。 ――ゲーム内で描き切れない部分をマンガなどで補完していくイメージでしょうか?
TEN
そうですね。キャラクターの基本的なところはゲーム中に見られますが、それ以外の一部をマンガで見せていきたいです。さらにゲームとマンガ以外でもメディアミックスという形で皆様にお伝えできればと思います。 中国ではIPのグッズ展開をしており、東京ゲームショウ2024ではブースでアクリルスタンドやぬいぐるみを配布しました。中国では先月に発売された星理恵フィギュアが売れているので、今後日本でも販売する予定です。 ――競技としての展開予定も教えていただけますでしょうか?
TEN
競技についての展開として、8月にサウジアラビアで開催されたeスポーツワールドカップ(Esports World Cup)に参加してきました。日本でもストリーマーやプロゲーマーの大会をこれから行っていく予定です。 ――競技性が高いゲームほど硬派だったり、カジュアルなゲームほど遊びやすい反面、大会を開催するのは難しい印象がありますが、そのあたりのバランスの調整はどうされているのでしょうか。
TEN
『Strinova』 の特徴である弦化システムは比較的覚えやすい要素だと思うので、初心者でもこのシステムを通してキャラクターをコントロールしやすいと思います。また、一般的なシューティングゲームと同様に、上級者の方はキャラクターコントロールとスキルを活用して、さらに深い競技性を追求することができます。アクションとエイムスキルを両立させることが上達への近道ということですね。
――本作はキーボードとコントローラの両方でプレイ可能ですが、コントローラを使用するとエイムが難しいという問題があると思います。そのあたりの調整やコントローラを使ったプレイへのサポート機能のようなものは考えていますか?
ALAN
コントローラ使用時に表示をサポートする機能があり、現在調整中となります。 ――現在『Strinova』はPC版でのみプレイ可能ですが、今後はほかのプラットフォームにも展開される予定でしょうか?
ALAN
マルチプラットフォームでの展開を考えておりまして、これからプレイステーションフォーマット、X Boxフォーマット、スマートフォンにも対応していきます。 ――プラットフォーム展開をされた場合、クロスプレイにも対応する予定となりますか?
ALAN
スマートフォン版は独立させ、PC版と家庭用ゲーム版はクロスプレイに対応させようと考えています。 ――日本で発売されるのは、どのぐらいの時期になりそうでしょうか?
ALAN
先ほどもご説明しましたが、まず10月10日に第2回βテストがあり、リリース自体は第4四半期(10~12月)を予定しています。 ――最後に『Strinova』の日本語版リリースを楽しみにしている方へ、メッセージをお願いいたします。
ALAN
これまでβテストを行ってきましたが、今回のTGS2024も通して日本のファンの皆様が我々のゲームを愛していただいていると改めて感じました。本当に感謝しておりますし、勇気づけられています。 『Strinova』 はアニメの特徴も取り入れていてユニークなゲームです。これから皆様と“友達”となってゲームをいっしょに盛り上げていければと思っています。
TEN
アニメの特徴を取り入れていますので、ぜひとも日本の皆様にゲームを楽しんでいただきたいです。中国でのリリースから1年が経ち、さまざまなフィードバックをいただいて、モードや遊び方に関して改善を加えたうえでTGS2024での最新版の展示となりました。これからも多くのユーザーからのフィードバックをいただき、我々もゲームとともに成長していきたいと考えています。
ALAN
これからも 『Strinova』 のさまざまなコンテンツを展開していきますので、興味のある方はぜひ参加してください。
『Strinova』ブースレポート:試遊とコスプレイヤーの撮影で盛り上がったブース。スタンプラリーでグッズもゲット 『Strinova』 ブースはメインステージ、撮影エリア、抽選エリアに分かれており、メインステージではゲームのムービーを映し出す巨大なスクリーンと試遊コーナーを設置。さらに、本作のキャラクターの衣装に身を包んだコスプレイヤーを撮影することができた。
メインステージから見て右奥の撮影エリアには、本作に登場する銃のレプリカが並べられており、コントローラを使ってPS5版の 『Strinova』 を試遊できるスペースも。
反対側の抽選エリアにはぬいぐるみやアクリルスタンド、缶バッジなどのグッズが展示され、デフォルメされた愛くるしいキャラクターたちをじっくりと眺められるようになっていた。
なお、当ブースではスタンプラリーが実施。SNSへの投稿や試遊、アンケートへの回答などによってグッズとスタンプをもらうことができ、スタンプの数に応じて限定品の抽選も行われていた。
東京ゲームショウ2024で 『Strinova』 は多くの日本ユーザーから注目を集めていた。会場で試遊できなかった人は、ぜひとも10月10日からのβテストに参加して、本作の魅力を存分に体験してほしい。