2025年4月24日に発売された『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』(ハンドレッドライン。発売:アニプレックス。対応プラットフォームはNintendo Switch、PC(Steam))。
クリエイターインタビューのキャラクター編は、小高和剛氏に加えてイラストレーターの小松崎類氏としまどりる氏にも参加いただき、取材を実施。本作を彩る個性豊かな特防隊のメンバーを始め、侵校生、部隊長たちのコンセプトや制作秘話を中心に話を聞いた(取材日は2025年2月28日)。
小高和剛氏(こだかかずたか)
ディレクション&シナリオ担当。キャラクター関連では、必要な素材の発注を行っている。文中は小高。
小松崎類氏(こまつざきるい)
キャラクターデザイン担当。特防隊のメンバーはもちろん、侵校生たちのデザインも行う。文中は小松崎。
しまどりる氏(しまどりる)
クリーチャーデザイン担当。侵校生のデザインだけではなく、校舎のデザインなども担当している。文中はどりる。
素材の点数はこれまでの作品と比べてもケタ違いのボリュームに
――本作の企画書を初めて見たときの小松崎さんと、どりるさんの印象を教えてください。
小松崎
初期の企画の段階でおおよそのプロットを把握していたので、その延長で考えていましたが、本作のコンセプトが“100のエンディング”だっただけに、イラストの素材数もひと筋縄ではいかないだろうなあという予感はありました。実際にはその想定をさらに上回り、いつもよりはるかにきびしかったです(苦笑)。
どりる
僕は小高と小松崎の作品のファンでトゥーキョーゲームスに入社したので、たいへんだろうけど、ついていくしかないという感じでしたね。小高と小松崎はとにかく手を動かすタイプで作業が早い。文句を言うヒマがあるなら、やれることをやっていくしかないなと。
――特防隊のメンバーは、どのように発注をしてデザインを進めていったのでしょうか?
小高
特防隊のメンバーは、キャラクターの特徴やあだ名、厄師寺ならヤンキー、飴宮ならパンクといった感じですね。そういった情報をまとめた資料とシナリオを小松崎に渡して、デザインを考えてもらいました。
小松崎
キャラクターは、これまでの作品と同じように作っています。設定に基づいてひとりずつ詰めていくのではなく、まずキャラクターの総数とおおよその要素を把握して全員のラフをいったん作ります。そのうえで全体のバランスを調整しつつ大枠を決定し、その後、キャラクターごとに詰めていくという流れです。
――デザイン作業はスムーズでしたか?
小松崎
これもいつも通りなのですが、最初の段階からデザインが変化していないという点では、マスコットキャラクターはすんなりと決まります。今回もSIREIが最初に決定しました。
小高
当時はSIREIのキャラクターを深く考えていなかったので、小松崎がいいと思うデザインを採用しました。SIREIの個性は、デザインに合わせる形で考えています。
――NIGOUもすんなり決まりましたか?
小松崎
そうですね。NIGOUはSIREIの色違いでいいと言われたのですが、ちょっと変えたくて、いまのデザインになりました。
――ほかにこだわったポイントはありますか?
小松崎
SIREIとNIGOUは、体を半透明にしたくて。それで脳やハートが透けるようなデザインにしています。
小高
小松崎にはロボットだと伝えていたのに、脳が描かれていたのでちょっと悩みました。「ロボットなのに脳があっていいのかな?」と。でも、人間の脳を実用化できたらいちばん優れたコンピューターなんじゃないかという考えにいたって、SIREIとNIGOUには人間の脳のような優秀なコンピューターが入っているという裏設定を作ることで落ち着きました。
――なるほど。
小松崎
あと、シナリオを読んで今回のマスコットはひどい目に遭うことが想像できたので、モノクマのように動物をモチーフにするのはやめました。動物に似ているマスコットキャラクターがひどい目に遭うのは見たくないんです。ですから、ひどい目に遭っても多少は許されるデザインにしようと考えました。
――特防隊に話題を移しまして、生徒たちの中で印象に残っているのは?
小松崎
本作はこれまでの作品と異なり、戦闘中の衣装があって、全員ほぼ共通のデザインにすることが決まっていました。戦闘中でもキャラクターを判別しやすいように、体型や首から上の印象で特徴や差異を強く出す必要があったので、頭部の印象や体型に特徴を強く出すコンセプトにしています。いちばん強烈な印象のキャラクターとして基準となったのは飴宮ですね。僕は地味な色を使うことが多いのですが、飴宮はふだん使わない色も取り入れてデザインを考えています。彼女を基準に、ほかのキャラクターのバランスを決定しました。
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――キャラクターといえば、本作も表情の差分が多いと感じました。ひとりあたり、何パターンくらい用意されているのでしょうか?
小松崎
ひとりあたり20枚ほど、全体で300枚前後を基準として進める予定でしたが、今回は文字通りケタ違いに多くなりました。あまりにも多すぎて、途中で数えるのをやめましたから。
――数えていた時点で何枚だったのですか?
小松崎
マスターの1年くらい前の時点で、表情差分の総数は1368枚でした。それ以降も順調に増え続けていきましたが、怖くて数えていないので、最終的な総数は把握していません。
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どりる
最終的にどれくらいありそうですか?
小高
全キャラクター100枚以上はあって、多いものでは200枚くらいあるので……トータルで2000枚は超えているんじゃないですかね。
――表情差分がそこまで増えた理由は?
小松崎
表情差分は、シナリオを読み進めながら頭に浮かんだ表情やシーンのラフを描き、それをもとに精査して差分をどれにするかなど考慮しつつ、表情一覧にまとめるといういつもの流れで制作しています。ただ、今回はシナリオの量が多くてなかなか読み終わらず、表情のラフが増えていきました。最初の段階でいつもよりかなり多くなっていましたね。
小高
今回は一度減らすということをしたんです。それなのに数が増えてしまった理由は、本作はシナリオライターがそれぞれスクリプトを担当したからですね。これも欲しい、あれも欲しいというのが少しずつ集まった結果、逆に増えてしまった(苦笑)。
小松崎
最終的にここまで膨れ上がるとは、もちろん想定していませんでした。表情画に限らず、本作は素材数がケタ違いに多いので、もうこんな無茶な作品は作りたくないです……。
小高
ただ、小松崎が表情差分のイラストも全身まで描いてくれたおかげで、これまでのタイトルでやれなかったことができました。『ダンガンロンパ』シリーズでは、フィールドに表示するキャラクターのイラストは固定のものを使っていて、話し掛けた後にバストアップを表示し、状況に合った表情に変えていたんです。本作では、最初からシーンにあった表情の立ち絵を配置することができたので、これまでの作品よりも臨場感が増していると思います。
バイクや装甲車、ロボットも! ユニークな学生兵器の制作秘話
――生徒たちの学生兵器や学生鎧のデザインは、どのようにして生み出されたのですか?
小松崎
当初は、学生兵器のデザインは自分が担当するのではなく、別の方にお願いする予定でした。本作の設定画は別作品の作業で多忙な時期に仕上げなくてはならず、作業できる時間があまりにも少なかったのです。ただ、諸事情で別の方にお願いするのが難しくなり、けっきょく自分ですべて手掛けることになりました。使用する武器はキャラクターごとに決まっていたのですが、学生兵器はバトルに大きく関わるため、まずはメディア・ビジョンさんにおおよそのサイズ感や形状を出してもらい、それをもとに特徴づけをしていきました。
小高
飴宮の学生兵器は包丁ですが、なぜか宙に浮いています。口で説明するよりも、実際にモック(試作品のこと)を見てデザインを考えてもらったほうがいいので。
――ユニークな学生兵器が多いですよね。共通のコンセプトがあれば教えてください。
小松崎
デザインのコンセプトとしては、血骨から生成されているイメージだったので、ディテールが生々しいものが多いと思います。
――とくに印象に残っている学生兵器は?
小松崎
コストの高いものがとにかくたいへんだった印象です。具体的には厄師寺のバイク、川奈の装甲車、銀崎のロボットですね。とくにロボットは、メディア・ビジョンさんにいろいろ迷惑をかけてしまいました。学生兵器のサイズ感は、基本的にモックに合わせているのですが、ロボットだけ大きくしたんですよ。
――その理由とは?
小松崎
ロボットにするなら、銀崎がちゃんと乗り込めるサイズにしたくて(苦笑)。しかも、僕が勝手にロボットから盾に変形するギミックを追加してしまったせいで、変形を成立させるためにメディア・ビジョンさんにはたいへんな手間をかけさせてしまいました。設定画には、変形機構の可動域などの矛盾がたくさんあったにもかかわらず、うまく変形するように制作していただけたので、とても感謝しています。
小高
ロボットはモーション数がとんでもないことになりましたが、メディア・ビジョンさんのおかげでめちゃくちゃかっこよくなりました。
――続いて、学生鎧のデザインについておうかがいします。こちらは、どのようにデザインを進めていったのでしょうか?
小松崎
学生兵器と同じく、こちらも合間でなんとか制作した記憶があります。学生鎧は基準となる澄野でまず制作して、バンカラのようなイメージをベースにデザインを考えていきました。本当はマント姿で闊歩する印象にしたかったのですが、3Dモデルを制作する際にマントはあまりに手間がかかるため、本編ではほぼカットされてしまいました。学生鎧は血液から生成されているという設定があるので、マントがあったり、なかったりしても問題はないということで……。ただ、バトルモデルのほうはメディア・ビジョンの担当者さんに無理を言って再現していただきました。かなり制限のある中で、たいへんだったと思います。
――霧藤の学生鎧はかなり印象的ですね。
小松崎
とある設定のために、霧藤だけ学生鎧のデザインが異なるのですが、張り切ってデザインしました。
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小高
僕はほかの生徒たちの色違いでいいと思っていたのですが、小松崎が設定を反映したデザインにしてくれました。
小松崎
デザインをするまではよかったのですが、表情差分を描くときにちょっと後悔しました。とにかく描くのがたいへんなデザインなので(苦笑)。
侵校生はカラフルに。部隊長はモノクロで
――侵校生や部隊長といったクリーチャーのデザインは、どのように発注したのでしょうか?
小高
侵校生は、カラフルでトイっぽい感じにしてほしいと、どりるに伝えました。シナリオが全体的にシリアスなので、敵のデザインはポップなほうがギャップもあって怖いかなと。あと、敵が凶悪な姿になることは最初から決まっていたのですが、カラフルな見た目のほうが変身したときに不気味さが増すと思いました。
どりる
侵校生は、小高のオーダーをもとに制作していますが、小松崎の影響で個別に詰めていくのではなく、最初に全体のバランスを考えた後、1体ずつ完成させていきました。侵校生を並べたときに、カプセルトイっぽく見えるようにシルエットを意識したのを覚えています。
小松崎
実際にフィギュアを見に行ったよね。
どりる
中野ブロードウェイに足を運んで、ソフビの怪獣フィギュアなどを参考にしました。
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――あまりにもカラフルなので、バトルのたびにおいしそうだなと思いました(笑)。
小高
ダルマーは、ごちゃごちゃさせてゼリービーンズ(そら豆のような形をした砂糖菓子)のように見せたいと言っていたよね?
どりる
そうでしたね。3体1組でひとつのマスに表示させるようにすれば、ごちゃごちゃ感も出せるし、敵の大群と戦っている雰囲気をより出せると考えて提案しました。ひとつのマスに複数の敵を表示するアイデアは、趣味で遊んでいた『ウォーハンマー』(イギリスのボードゲーム)が参考になりました。
――なるほど。ほかにクリーチャー関連で制作秘話があれば教えてください。
小松崎
侵校生の彩度はすごく調整したよね。
どりる
初期のモデルもデキはよかったのですが、思ったよりも彩度が低くて。ライティングの調整ではもう彩度を上げられないということで、テクスチャーそのものを描き直して彩度を上げています。そのおかげで、お菓子のようにおいしそうで鮮やかな色味になりました。
――ボスの部隊長のデザインは、小高さんからどのようなオーダーがあったのでしょうか?
小高
ザコ敵の侵校生がカラフルなデザインですので、ボスの部隊長はモノクロで、神々しい雰囲気にしてほしいとお願いしました。
どりる
共通のオーダーはそのふたつで、それぞれ個別の希望もありました。たとえば、初めて戦う第一部隊長は、「最初のボスには見えないくらい強そうな見た目にしてほしい」と。
小高
あとは、「とにかくデカくしてほしい」とも伝えました。シミュレーションRPGの敵がデカくていいのかという議論はいったん置いて、デカければ強そうに見えるだろうと(笑)。
――確かに(笑)。
どりる
それで、第一部隊長はドラゴンをモチーフにしてみました。体験版を遊んでいただいたプレイヤーの中には、「いきなり強そうなボスが出てきた」と反応してくれている方もいて、小高の狙い通りにデザインできたと思います。
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――部隊長は人型のデザインもありますが、こちらはどなたが担当されたのでしょうか?
小高
小松崎ですね。
小松崎
当初はクリーチャーデザインが得意などりるにお願いしたいと考えていましたが、彼もほかの仕事と並行して作業を進めていて余裕がなかったため、僕がすべて手掛けています。部隊長の人型も設定や制作コストが大きく関係していて、デザインするうえでの制限があり、なんとかその範疇に収めるように努めましたが、何かしらデザインで差別化したくて。それでわかりやすく、マスクのデザインをすべて変えることにしました。
小高
イラストをチェックしたとき、マスクのデザインが「髑髏の騎士(マンガ『ベルセルク』に登場するキャラクター)みたいでかっこいい!」と思いました。小松崎に人型のデザインを発注したときは、スケジュールがギリギリでしたし、数も多いので、もっとシンプルなデザインが上がってくると思っていたんです。時間がない中で細部までこだわってデザインしてくれたので、うれしい想定外でしたね。
イベントCGは600枚以上! 細部を調整してますます美麗に
――どりるさんは、校舎などの背景デザインも担当されているとうかがいました。
どりる
はい。学園の外観や廊下などを担当していて、細々としたものも描きました。
小高
僕や小松崎には、“困ったときのどりる頼み”みたいな気持ちがあって、何かあったときはどりるにサポートしてもらうことが多いです。たとえば、学園に侵校生が攻めてきたときに警報が鳴りますが、当初はスピーカーのデザインがイマイチだったんですよ。このままでは緊張感が生まれないと思い、どりるに印象的なデザインのスピーカーを考えてもらいました。
どりる
それで言うと、よくわからない木箱も修正しましたよ(苦笑)。けっこうギリギリのタイミングでお願いされて、ふつうに考えたら手を加えるようなものではないのですが、小高は細部までこだわってディレクションするので。
小松崎
無難なデザインのものは、どりるに修正してもらうことが多いですね。
――背景デザインでとくに苦労されたものはありますか?
小高
いちばんに思いつくのは最終防衛学園の外観だよね。バトル中にずっと表示されるので、どりるには印象的な見た目にしたいとお願いしました。どりるはいろいろなパターンのデザインを考えてくれましたが、好戦的な学園のデザインも描いてくれたんです。当時は最終防衛学園の設定がいまと違っていたこともあって、戦艦大和のような大砲で、こちらからどんどん攻撃する、みたいなアイデアもありました。
どりる
実際に戦艦を参考にしましたね。
――むしろ、実在する学校はあえて参考にしなかったのでしょうか?
どりる
はい。戦艦や戦車、宇宙船などの資料をひたすら眺めながら、なぜか学校を描いていました(笑)。最終防衛学園は、タイトルにも含まれる本作を象徴する建造物ですし、トゥーキョーゲームスの一員で、小高と小松崎のサポートを任されている僕の立場的にも、無難なものは出すことができません。僕の仕事は「こうしたらおもしろいんじゃないか」と全力で楽しみながら頭をひねって、小高や小松崎が喜びそうな外連味のあるデザインを生み出すことだと思っているので、つねに攻めるようにしています。
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――フロアごとに廊下の雰囲気が変わるのも印象的でした。これもどりるさんのこだわりでしょうか?
どりる
いえ、それは小高のこだわりです。プレイヤーを飽きさせないように、フロアごとにデザインを変えてほしいとオーダーされました。
小高
廊下も複数のパターンを考えてもらい、色合いといっしょにデザインを決めました。廊下にはいろいろ配置されていますが、それぞれちゃんと裏設定があり、東京団地の歴史や文化をもとにどりるが考察して、学園内に置かれていても違和感のないものを描いてくれました。
――食堂の調理マシーンが千手観音になっているなど、施設の背景もユニークでした。
どりる
千手観音のロボットは僕のアイデアです。小高に自動調理マシーンを考えてほしいとお願いされたので、昭和の未来予想のイラストや万博の映像からイメージを広げました。
小高
AIに頼んでも、千手観音の自動調理マシーンは出てこないんじゃないかな(笑)。
――確かに(笑)。あとは、イベントCGについてもお聞かせください。
小高
本作にはイベントCGが600枚以上収録されています。基本的には外部スタッフさんに描いてもらいましたが、最終的な仕上げは小松崎とどりるにお願いしました。ベースはできているんですけど、シナリオの展開上、とくに盛り上げたいイベントCGを中心にクオリティーアップを図るためです。
小松崎
確か、マスターアップの2ヵ月くらい前に、急にその作業が入ってきたんですよ。
どりる
そうでしたね。
小高
とにかく数が膨大なので、外部スタッフさんたちも手が回っていなくて、どりるがほぼゼロから描いたイベントCGもあったよね?
どりる
ちょっとした仕上げだと聞いていたのに、なぜか線画から描くことになって……。マスターアップの2ヵ月前なのに、この作業量はさすがにもう無理だと思いました(苦笑)。
――最後の最後に修羅場が待っていたと……。
小高
イベントCGは、シナリオとの食い違いがないかをチェックするのもたいへんでした。よくあるミスとしては、学生鎧を着ていないといけないシーンなのに私服だったり、そのタイミングではいないはずのキャラクターがなぜかいたりして……。本来は、シナリオを書いた人間であれば全体像を把握しているのでチェックしやすいはずなのですが、本作はシナリオの量が膨大で分担していますし、自分が書いた量も多すぎて覚えていないという。けっきょく、前後のシナリオを読んでイベントCGにミスがないかをチェックしなければいけなかったので、とても時間がかかりました。
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小松崎
本作に限らず、我々の作品はとにかく無茶なコンセプトのものが多いのですが、今回はひときわ奇抜になっています。トゥーキョーゲームスのメンバーはもちろん、多くの方々のお力添えのおかげでなんとか完成まで持っていくことができたと思います。
小高
僕が言うのもあれですが(苦笑)、ふつうに考えたら実現するのは困難な企画なのに、よく完成させることができたよね。細部までこだわったうえで作りきれたのでよかったですし、借金をした甲斐もあったと思います。本作を作る人生と作れない人生をどちらか選ぶなら、間違いなく作る人生を選んでよかったと断言できますが、もう1回やるかと言われたら……。
小松崎
やりたくない(苦笑)。
小高
いまの気持ちはそうだよね。正直、続編という言葉も聞きたくない(苦笑)。
――(笑)。小高さんにそこまで言わしめるほどの本作が気になった人は、ぜひ体験版をチェックしてほしいですね。
小松崎
配信されている体験版でプレイできるのは、氷山の一角でしかありません。本編では予想だにしない体験が待っていますので、ぜひ手に取っていただき、“エンディングまで”プレイしていただきたいです。
どりる
難しいとは思うのですが、ひとつのエンディングを迎えた後、できればすべてのルートをプレイしてほしいです。イベントCGだけでも多くの人の手がかかっていますので、じっくり見てもらえるとうれしいです。
小高
本当にそうだよね。シナリオのインタビューでは、「満足したタイミングでプレイをやめてもらっていい」とお伝えはしましたが、本音を言えば、すべて堪能してほしいです。
『ハンドレッドライン』スタッフインタビュー