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また、単に『FF11』の世界観やキャラクター、モンスターが描かれているだけでなく、“オンラインRPGとしての『FF11』プレイヤーの動向やネットミーム”までもがコンテンツ内で表現され、『FF11』の世界“ヴァナ・ディール”がまさに『FF14』の中で息づくように描かれているのが特徴だ。
そこで今回はエコーズ オブ ヴァナ・ディールの第1弾である“ジュノ:ザ・ファーストウォーク”の内容をもとに、その制作意図や各要素に込められた想い、そして『FF11』に対する想いを開発チームに訊いてみた。なお、今回の取材はできるだけ数多くのスタッフにコメントをいただくために、メールインタビューの形で実施している。ぜひ、さまざまな開発者の言葉をチェックしてほしい。
【コンテンツ全般】エコーズ オブ ヴァナ・ディールが目標としたもの
――『FF11』のクロスオーバーコンテンツはいつごろから検討されていたのでしょうか。また、パッチ7.xでの公開が決定した経緯をお聞かせください。
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
2022年の年末ごろに、7.xアライアンスレイドシリーズの題材のアイデア出しを開始しました。さまざまなタイトルとのクロスオーバーも含め、多くのアイデアがありましたが、以下のような理由で『FF11』を題材とすることを決定しました。
- 『FF11』が発売20周年であること(当時)
- 『FF11』の熱心なファンであった開発者が『FF14』チーム内に多くいたこと
- 『FF11』の元開発者が『FF14』チーム内に多くいたこと
- 同じスタジオ内であるため『FF11』チームの協力を得やすかったこと
- 『FF14』プレイヤーの中にも『FF11』の熱心なファンである人が多くいたこと
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■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
個人的にMMORPGというジャンルのゲームには、特殊な魅力と独特の強烈なゲーム体験があると思っています。そして、MMORPGに熱中したプレイヤーは、そのタイトルに特別な思い入れや思い出を持っていることが多くあります。ですので、『FF11』をプレイしたことがあるプレイヤーに向けては、その思い出を『FF14』チームが本当に大切に扱っているということが伝わるようにしたいと考えました。
そして、『FF11』をプレイしたことがない『FF14』プレイヤーに対しては、『FF11』というゲームを一切知らなくてもコンテンツを十分に楽しむことができて、『FF11』の魅力を少しでも伝えることができるようなコンテンツにするということを最も重視し、開発を進めてきました。
一歩間違えば、『FF11』を知らないプレイヤーが置いてけぼりになってしまいますし、さじ加減次第で、『FF11』を軽く扱っているようにも捉えられかねません。非常に繊細なバランス感覚が必要な目標ではありますが、私たちはそれができると確信していますし、第2弾以降もこの点を重視して制作していきたいと思っています。
■シナリオチームより
エコーズ オブ ヴァナ・ディールのシナリオを通して私たちが重視しているのは、原作を知らないプレイヤーが、「『FF11』を遊んでみたい」と思ってもらえるようなものにすることです。そのための工夫として、『FF11』と『FF14』の世界にはさまざまな共通点があるため、それらを繋ぎにすることで『FF11』を知らないプレイヤーにも親しみやすくしたり、ふたつの世界を繋ぐ役割を持つ“アルシャール”という冒険者を登場させたりしています。
我々シナリオ担当も含め、本件に関わる開発者には、『FF11』に人生の大半を捧げ、多くの思い出をくれた『FF11』への深い愛情と感謝の気持ちを持つ者が大勢います。その恩返しとしてヴァナ・ディールの素晴らしさを伝えるということに今後も注力してまいります。
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■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
着手する時期がパッチ7.0のシナリオ作業の繁忙期であったため、先行してバトルコンテンツチームで4体のボスを決めるところから作業を開始しました。ゲームコンテンツ班とバトルシステム班から『FF11』に詳しいゲームデザイナーの協力を数名要請し、それぞれがボスのアイデアを出して、それを持ち寄って何度も議論を重ねました。最初に決まったのがボス1のプリッシュとボス4の闇の王で、つぎにボス3のアークエンジェル、最後にボス2のファヴニルという流れでした。
■シナリオチームより
ボスの選定が進む中で、「『FF11』のボスたちが、なぜ『FF14』の世界に現れるのか」の設定の立て付けを考え始めました。仮に、ボスの見た目や名称をお借りするだけであれば、いまひとつコラボとは呼べないように思い、たとえばファヴニルなら、ボヤーダ樹にいるからこそ、“『FF11』のファヴニル”と呼べるだろうと思いました。そのあたりの着想から、黒幕はヴァナ・ディールを再現する能力を持つ者、という風に決まっていきました。
――『FF11』チームとは、具体的にどのような監修のやり取りで進められたのでしょうか。
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
『FF11』チームにはバトルコンテンツ全体として、『FF11』と『FF14』の世界観、設定にうまくマッチしているか、『FF14』オリジナルのアレンジをしている部分に懸念がないかなどの確認を中心にお願いしました。コンテンツの企画段階では各ボスバトルの企画概要ができた時点で『FF11』チームにプレゼンテーションし、『FF11』チーム視点からみて修正すべき点がないか確認していただきました。実装段階では、レイドダンジョンの背景確認や各種アートチェック、報酬アイテムの名称、コンテンツの名称チェックなど多岐にわたる協力をいただきました。
『FF11』チーム側のチェックで最も重視していただいたのは、各要素が『FF11』側の世界設定と扱われ方から大きくズレていないか、という点です。大胆にアレンジされている場合でも、それが『FF11』チームから見て問題ないかをチェックしてもらっています。たとえば、『FF14』ファヴニルのハリケーンウィングは、『FF11』ファヴニルのハリケーンウィングから絵表現もバトルメカニクスも大きくアレンジされています。そのアレンジの方向性が『FF11』チームからみて魅力的に感じられるか、イメージから大きく逸脱していないかなどを確認していただきました。
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エコーズ オブ ヴァナ・ディールのシナリオ原案からプロット、シナリオ本文、音声収録にいたるまで、制作物は適宜『FF11』チームに監修を依頼しています。ジュノに配置されている“ヴァナ・ディールの冒険者”を再現した、エコーズの残滓のコーディネートもご監修いただいています。『FF14』には“スコピオハーネス”や“バーミリオクローク”のような『FF11』からお借りしている装備がありますので、それらと『FF14』の装備を組み合わせてヴァナ・ディールの冒険者らしく見えるか、『FF11』チームと何度もやり取りを重ねながら作りあげていきました。
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【ストーリー・キャラクター】親しみやすく、インパクトの強いキャラクターとしてのプリッシュ
■シナリオチームより
よりリリースのタイミングが早く、シナリオのボリュームも比較にならないほど大きい7.0メインクエストのほうが、当然ながら先に開発に着手しております。その開発過程で、7.1リリースとなるエコーズ オブ ヴァナ・ディールの設計も、後追いしてスタートすることになりました。
なぜ、『FF11』のキャラクターが『FF14』の世界に来るのか、誰がそれを導いたのかといった大枠を考えるにあたって、7.0メインクエスト側に使えそうな要素がないかを探した結果、エレクトロープや永遠人、サレージャの存在などがピックアップされることになりました。したがって、7.0メインクエストの初期からかと問われれば違うのですが、7.1エコーズ オブ ヴァナ・ディールの初期からかと問われればイエスとなります。
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■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
アライアンスレイドで最初に戦うことになるボスキャラクターは、『FF11』を知らないプレイヤーにとっても親しみやすく、インパクトの強いキャラクターが必要だと考えました。シャントット、リミララ、ライオン、テンゼン、イロハ、限界クエストのマートなどなど(※)、たくさんのアイデアを並べ、議論を重ねました。プリッシュは『FF11』の顔としてさまざまな作品(『ディシディア ファイナルファンタジー』など)に登場しており、性格も個性的かつ魅力的で、条件にぴったり当てはまるのと、ボスバトルとしてのメカニクスの組み立てが比較的やりやすかったのが、プリッシュを選んだ理由です。
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■シナリオチームより
バクージャジャを起用した理由としては、『FF11』を知らないプレイヤーにもエコーズ オブ ヴァナ・ディールのストーリーを楽しんでもらいたいからです。本シリーズは“双血の教え”の呪縛から解放されたあと、彼がどのような生き方を見つけていくのかを見届ける物語でもあります。
【グラフィック・BG】龍のねぐらにリディルが置かれた経緯とは?
――アーテリスの中にヴァナ・ディールを再現するにあたり、最も留意した点をお聞かせください。
■リードバックグラウンドアーティスト 高梨佳樹氏より
オリジナルの『FF11』をよく知っている方はもちろんですが、そうではない方にも満足していただけて、ヴァナ・ディールに興味を持ってもらえるような風景を描くという点に最も留意しました。この実現のために、オリジナルをリスペクトしつつ、大胆なアレンジも辞さない、そんなスローガンを掲げて制作しました。
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■リードバックグラウンドアーティスト 高梨佳樹氏より
まったく環境の異なる複数のエリアを、ひとつのコンテンツの中に収めるには、開発序盤の段階で、仕様上の制約や限界を考えてかなり試行錯誤する必要があります。とくにアライアンスレイドでは、雄大なスケールの景観が連続的に登場することが殆どなので、今回だけではないですが、本当に毎回ギリギリなんです。
また今回のアライアンスレイドでは従来のものよりロケーションが多く、BG(バックグラウンド)アセットの量が多いということに加え、グラフィックスアップデートで高解像度になったテクスチャ制作など、イチから新規に作成する必要が多かったのも苦労した点です。
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■リードバックグラウンドアーティスト 高梨佳樹氏より
企画が発注された段階で、チーム内の『FF11』プレイヤーや元『FF11』開発スタッフ等を集めて情報共有の場を設けたときに、懐かしの思い出話があふれる中で、「龍のねぐらといえばリディル!」(※)となり、ではBGでこっそり置いておきましょうとなって配置したものです。
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■リードバックグラウンドアーティスト 高梨佳樹氏より
オリジナルのデータは『FF11』側から提供してもらいましたが、モデル、テクスチャはすべて作り直していて、とくにモデルのスケールなどは『FF14』の仕様に合わせるため、初期設計の段階で担当者が何度もオリジナルと見比べて試行錯誤し再現しつつも、すべてデザインしなおしています。テクスチャに関しても、建物内に使われている漆喰や地面の風化具合などのディテールにこだわって表現しました。
またジュノ市民の生活感というのもより感じてもらいたかったので、原作の雰囲気を大切にしつつ外観ではベンチやお店などを配置して室内にもオブジェクトを追加して、より生活感を感じられるように作っています。
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クエスト用のエリアとしてジュノ下層を作った理由は、『FF11』のことが大好きなプレイヤーが集まって思い出を語ることができる場所を用意したかったからです。そのため、クエスト用のイベントマップはほかのプレイヤーの姿が見えない設定になっていることが多いですが、ジュノ下層では見える設定にしています。
【ボスバトル】各ボスのグラフィックやバトルギミックの開発経緯を訊く
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
ボスのアクション名などはほとんどが『FF11』のものをそのまま採用しており、バトルメカニクスやアニメーションなど、『FF14』特有のものになっているものも、なるべく『FF11』の技のイメージに近くなるように作っています。これは、「『FF11』の思い出を大切に扱いつつ、『FF14』としておもしろいコンテンツを作る」という大方針に沿ったものです。
エコーズ オブ ヴァナ・ディールの開発に関わってくれているスタッフたちの中には、寝食を忘れ『FF11』を遊び尽くした熱心なファンである人がたくさんいるのですが、そういったスタッフたちのこだわりから出たアイデアもたくさんあります。アークエンジェル戦のマラソンギミックはまさにバトル担当者のこだわりで生まれたギミックですし、アライアンスレイド道中に登場する冒険者NPCの演出などもそうです。
そして、『FF11』をプレイしたことがないスタッフたちも、徹底的に『FF11』のことを調べ上げて、上記のようなアイデアを積極的に出していました。振り返ると、個々のスタッフの熱い思いから生まれたさまざまな要素が絡み合い、大きなコンテンツになっていったのだなと、とてもうれしく思っています。
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【ボスグラフィックについて1】Prishe of the Distant Chains(プリッシュ)
ロングヘアを維持したまま、ギミックバトルを再現するのが難しいと判断したため、当初のデザインは“お団子ヘア”でした。しかしバトル画面に置いたときにあまりにも印象が変わってしまうので、最終的には髪を束ねています。末端肥大のデザインはコミカルな印象になってしまう危険性がありましたが、最終的にはバトルボイスの「ぐーるぐーる」などかみ合ったセリフもあいまって、非常にいいキャラクターになったと思います。「ぐーるぐーる」の回数で攻撃が変わるところも斬新でいいアイデアだったと思います。
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【ボスグラフィックについて2/3】Fafnir(ファヴニル)/Ark Angel(アークエンジェル)
ともに『FF11』オリジナルに近いデザイン・再現を目指しました。『FF11』は意匠など文化的設定にかなり決まりがあったため表現の補完が非常に難しく、ディテールアップは実際に『FF11』で開発していたスタッフにお願いしています。
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【ボスグラフィックについて4】Shadow Lord(闇の王)
体は少しアレンジしつつも、本家の印象を崩さないようにリデザインしています。ですので、最初から持っている剣も原作のものに近いようにしています。
当初は持っている剣が変形して鎧になるというアイデアがありましたが、デザイン的な制限が大きく困難だったため、鎧は『FF14』オリジナルデザインになりました。じつはこの鎧、『FF13』時代のモンスターラフアイデアがベースになっています。『FF13』時代のラフアイデアのひとつが、いまになって再現されているのはデザイナー冥利に尽きますね。
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【ボスバトルについて1】Prishe of the Distant Chains(プリッシュ)
グラフィックス、バトルメカニクスなど、すべての要素において“プリッシュらしさ”を表現することを重視しました。『FF14』プレイヤーにはプリッシュをすでに知っている人もいれば、知らない人もいます。プリッシュを知っているプレイヤーには「懐かしさとともに、『FF14』の世界だからこそのさらなる魅力を感じていただくこと」を、プリッシュを知らないプレイヤーには「プリッシュを知ってもらい、そして好きになっていただくこと」を目標としました。これらを同時に達成するために、さまざまな要素を組み込んでいます。
たとえば、『FF11』では印象的な技である“崑崙八象脚”や“羅刹七星拳”などをピックアップし、これらをダイナミックに『FF14』流にアレンジすることで、懐かしいプリッシュらしさや驚きを感じてもらいつつ、思いっきりのいい元気なキャラクターという印象を与える狙いがありました。
さらに、プリッシュが「ぐ~る、ぐ~る」と腕を回して力を溜めるギミックや、モンクと白魔道士のハイブリッドジョブのような戦い方、バトル中のセリフやボイス、プレイヤーの行動に対するリアクションなどなど、ありとあらゆる要素に“プリッシュらしさ”を感じていただけるよう制作しました。
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【ボスバトルについて2】Fafnir(ファヴニル)
ファヴニル戦は“力強い巨大なドラゴンとのダイナミックで派手なバトル”というメインコンセプトを設定しました。このコンセプトをしっかり表現できれば、『FF11』を知っているプレイヤーにも知らないプレイヤーにも、魅力的でおもしろいと思っていただけるバトルを作ることができるという、鮮明なイメージが企画当初からあったためです。まずはこのコンセプトといくつかのギミックアイデアを書いた草案資料を作成しました。
そこから決めたコンセプトに沿うようにギミックのアイデアや技の絵表現など、詳細企画の作成を進めていきました。その作業の中で、『FF11』のファヴニル戦で印象深い要素である“スパイクフレイル”(※)や“Darter(トンボ)の乱入”(※)など、『FF14』のバトルとしてうまく取り入れられる要素を精査し、採用させていただきました。“ハリケーンウィング”や“ドラゴンブレス”なども原作の技名からとったものですが、メカニクスや絵表現などは、メインコンセプトにあうように大胆にアレンジしています。
『FF11』チームに企画内容を説明した際は、『FF11』プロデューサー兼ディレクターである藤戸洋司さんや協力してくださったチームの皆さんが、「かっこよく力強いファヴニルになりそうですね!」と喜んでくださったのがとても印象に残っています。
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【ボスバトルについて3】Ark Angel(アークエンジェル)
アークエンジェル戦の企画開発は、“5体のアークエンジェルたちと24人のヒカセンとの乱戦”にこだわり、そこにおもしろさや真新しさが感じられるように、さまざまな工夫をしました。この部分にこだわったのは私自身がかつて『FF11』に熱中した大ファンでもあり、当時の強烈な体験とおもしろさを『FF14』プレイヤーの皆さんに少しでも伝えたいという強い想いがあったためです。あのカオスで魅力的なゲーム体験を『FF14』に落とし込めないか、左手に愛する文鳥を握り、匂いを嗅ぎつつ、悩み、苦しみ、そして楽しみながら企画開発を進めました。
実際にこのバトルを制作するにはさまざまなハードルがあり、一度作ったものを壊しては作り直す、を何度も繰り返しました。とくに、特定のアークエンジェルが先に倒されてしまった際の例外仕様など、レアケースの仕様を成立させるのに苦労しました。リリース後は、多くのプレイヤーの皆さんに新鮮な楽しいバトルだと感じていただけたようで、とてもうれしく思っています。
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【ボスバトルについて4】Shadow Lord(闇の王)
ボス4闇王(闇の王)について、担当者が別件で対応できないため監督役であるリードバトルコンテンツデザイナーの中川から回答いたします。エコーズ オブ ヴァナ・ディール第1弾のラスボスである闇王戦のコンセプトは「『FF11』の要素を大切に扱いつつ『FF14』ならではのオリジナリティを追加し、かっこよく魅力的な闇王を表現すること」でした。アライアンスレイドのラスボスであり、かつ『FF11』発売当初のラスボスでもある闇王戦は、今回のアライアンスレイド第1弾において盛り上がりのピークにしたいと考えていました。
コンセプトに沿った絵表現を実現するため、ギミックのメカニクスなどはいったん置いておいて、まずは絵的な表現のアイデアをたくさん出すところから始めました。無数のアイデアを出し、それをテーブルに並べ、ひとつひとつのアイデアについて担当者と私で吟味し、絞り込んでいくという作業を毎日繰り返しました。そういった作業を経て、最初に決めた要素が“金色の鎧を纏い全盛期の力を開放する”というものです。“『FF11』メインストーリーのラスボス闇王の姿”から“金色の鎧を纏う全盛期の闇王”に変身し、最大の必殺技を繰り出すというアイデアでした。
演出のアイデアを字コンテとしていくつか書いてみて、そのアイデアをもとにアーティストたちと議論を重ね、バトル内容が確定する前に先行して絵コンテを詰めていきました。鎧が無数の部品に分かれてそれがひとつひとつ闇王の身体に装着されていくという、王道感のある演出ですが、実際にこれを制作するのはなかなか骨が折れる作業でした。少しだけ実装仕様的な話をさせていただくと、この演出には“闇王”、“全盛期闇王”、“鎧”の3つのキャラクターモデルを使用しています。この3つのモデルの位置関係を固定化し同時にアニメーションを流すことで変身演出を実現しているのです。
じつはアニメーションの担当者は絶アレキサンダーの合体演出を担当したアーティストで、こういった複数のキャラクターモデルを使った演出に慣れていたことと、難易度の高い演出はむしろ腕の見せどころということで、とてもモチベーション高く作業をしてくださり、本当に素晴らしいものを作ってくれました。
そして、こういった演出を詰める作業と並行して、コンテンツ担当者側で“ギガスラッシュ”、“インプロージョン”、“アンブラスマッシュ”など、さまざまな要素の絵表現やメカニクスを詳細化していくという作業を進めていきました。ギミックのメカニクスについては、ラスボスということもあり、変化球ではなくストレートで力強いイメージになるよう強く意識しました。多くの人たちの協力もあり、最初に決めたコンセプトからブレないボス戦を作ることができ、そして多くのプレイヤーの皆さんに楽しんでいただけたようで、とてもうれしく思っています。
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【その他】第2弾もヴァナ・ディールの素晴らしさを伝えるものに
■シナリオチームより
ジュノ下層に配置されている冒険者の“エコーズの残滓”は、『FF11』プレイヤーを再現した存在という設定になっています。プレイヤー間で流行った要素なども含めて、MMOである『FF11』ならではの雰囲気を感じていただけるようにしています。
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■シナリオチームより
当初は星芒祭と連動してジュノ下層のBGMが切り替わる想定をしていませんでした。しかし、パッチ7.1のリリース後にエコーズ オブ ヴァナ・ディールの感想をフォーラムやSNS等で追っていたところ、プレイヤーの皆さんが『FF11』の星芒祭BGMを期待されていることを知り、BGMの発注を取り仕切っているシニアストーリーデザイナーの石川夏子に急遽相談を持ちかけました。すでに新規リソースの追加を締め切っているタイミングでしたが、石川がサウンドチームや関係各所に掛け合い、『FF11』チーム出身のプランナーたちも全面協力してくれたことで実現にいたりました。
――“ジュノ:ザ・ファーストウォーク”公開後、プレイヤーの反響の中でとくに印象深いものがありましたら教えてください。
■リードアーティスト 茂木雄介氏より
やはり、『FF11』を知っているプレイヤーが知らないプレイヤーに小ネタを教えているところでしょうか。バトルだけでなく、そういった要素もいろいろ探してくれているようですね。
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
たくさんのコメントや感想をいただき、印象深いものはたくさんあるのですが、ひとつだけ上げるとすると、リリース直後のファヴニル戦のプレイヤーの反応がとても印象深かったです。
リリース直後はプレイヤーの皆さんがゲーム画面を配信してくださっているのを、複数ディスプレイを使って同時にたくさんの配信を観させていただいているのですが、どの配信を観ても最初のスパイクフレイルで、ほぼすべてのプレイヤーがファヴニルの前足の近くに行って、初見にもかかわらずうまくスパイクフレイルを避けていたのがとても印象に残っています。また、ドラゴンブレスの炎に焼かれて皆が倒れ、「これだよこれ」と戦闘不能になって全滅しているのにとてもうれしそうで、そのときの光景が強く記憶に残っています。
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プレイ動画やSNSで、『FF11』を経験したプレイヤーさんたちの「ジュノだー!」など、各フェイズに入った瞬間に声を上げて驚きと懐かしさが合わさった反応だったり、経験していないプレイヤーさんでも「色どりがきれい」、「美しい」といったコメントだったりをたくさん見かけて、すごく楽しんでいただいている感じが伝わり、とてもうれしく思っています。
■シナリオチームより
リリース後、エコーズ オブ ヴァナ・ディールについて届いた感想の中でオリジナルキャラクターである“アルシャール”を気に入ってくださっている方がおり、たいへんうれしい気持ちになりました。
――エコーズ オブ ヴァナ・ディールの第2弾については、まだまったく語れない段階かと思いますが、お答えできる範囲で、光の戦士たちに期待してほしい部分をお聞かせください。
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
すでにエコーズ オブ ヴァナ・ディール第2弾アライアンスレイドの開発は始まっていて、第1弾の開発スタッフとは別のスタッフが制作しています。第1弾とはまた毛色の異なる驚きに満ちたバトルコンテンツになりそうで、私自身も楽しみにしています。まだ少しお時間をいただいてしまいますが、楽しみにお待ちいただければと思います。そしてもし、第1弾をプレイして少しでも『FF11』に興味を持ってくださったなら、『FF11』のほうもプレイしていただけると、たいへんうれしいです。
■シナリオチームより
第1弾の物語ではプリッシュやヴァナ・ディールの紹介が中心となりましたが、第2弾からは、プリッシュやアルシャールが『FF14』の世界での冒険を通して何を想い、何を成すのか。ともに旅をしながら見届けていただけますと幸いです。
――最後に、最も印象深いヴァナ・ディールの思い出と、『FF11』へのメッセージをお願いします。
■リードバトルコンテンツデザイナー 中川誠貴氏より
『FF11』は私が20代のころに寝食を忘れ、熱中したゲームです。プレイ時間は10000時間を超えていて、私の人生の一部と言っても過言ではありません。『FF11』で知り合った友人はアメリカのメリーランド州に住んでいて、彼の家に遊びに行ったり、彼が日本に来て私が京都や大阪の観光案内をしたりなど、現実世界における友人になりました。また、自分の中学時代からの親友は『FF11』のゲーム内で苦楽をともにした女性と結婚し、いまではお子様も含めた家族皆で一緒に『FF14』も楽しんでくれています。
そして、ヴァナ・ディールでの経験は私のゲームデザイナーとしての仕事にも大きな影響を与えていて、最もわかりやすい例でいうと『FF14』の“禁断の地 エウレカ”というコンテンツは、基礎部分のゲームデザインを考えるうえで、『FF11』でのゲーム体験を大きく参考にしました。“禁断の地 エウレカ”はいまなおたくさんのプレイヤーの皆さんに楽しんでいただいていて、とても息の長い愛されるコンテンツになりました。これは、『FF11』のプレイ経験があったからこそできたことだと思っています。
『FF11』を開発してくださった方々、いまなお『FF11』を運営開発し続けてくれている方々、およびすべての関係者の方々に、この場を借りて感謝を述べさせていただきます。こんなにも素晴らしいゲームを生み出してくださり本当にありがとうございます。
■シナリオプランナーAより
シーフのAFを手に入れるべくオズトロヤ城のTreasure Cofferを開けたところ、当時高額だったアストラルリング(※)の乱獲目的と誤解されて怒られたことです。『FF11』との出会いがなければ、『FF14』の開発チームで働くこともなかったことでしょう。ヴァナ・ディールは我が人生です。
“ジュワユース”(※)を取りに行きたいと言ったとき、フレンドがふたつ返事で手伝ってくれたこと。そして現在、そのフレンドと一緒にエコーズ オブ ヴァナ・ディールのシナリオを作成していることです。学生時代にのめり込んだゲームにクロスオーバーの形で関わることができて光栄に感じています。第2弾以降も、引き続きヴァナ・ディールの世界の素晴らしさを伝えていければと思います。
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